
現場から事務所に戻ると、スマホとデジカメに300枚の写真。どの写真がどの工程で、どの部位を撮ったものかを思い出しながら、フォルダに分け、台帳に貼り、説明を書く。工事写真の整理は、現場の仕事が終わったあとの夜にたまっていきます。
写真の仕分けや説明の下書きは、AIが手伝いやすい仕事です。写っている物を読み取り、黒板の文字を拾い、決めた形に並べるのは、決まった手順のくり返しだからです。
この記事では、写真の整理が夜にたまる理由から、撮るときに決めておくこと、AIで写真を仕分けて台帳の形にする手順、人が確かめる所までを、1現場1日分の例で説明します。
写真の整理が夜にたまる理由
帝国データバンクが2026年3月に茨城県内の会社に聞いた調査では、生成AIを業務で「活用している」割合は、建設が35.7%と、業界別で小売に次いで高い数字でした。書類の多い建設業では、AIを試し始めている会社が少なくありません。
ただ、工事写真の整理は、まだ手作業のままという声もよく聞きます。整理に時間がかかるのには、次のような理由があります。
工事写真の整理に時間がかかる理由| 理由 | よくある様子 |
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| あとで思い出している | 撮ったときの工程や部位を、夜に写真を見ながら思い出す |
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| 撮る道具がばらばら | 監督のスマホ、作業員のスマホ、デジカメに写真が分かれる |
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| 枚数が多い | 似た写真が何十枚も並び、選ぶだけで時間がかかる |
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| 説明を毎回書く | 台帳の説明欄を、1枚ずつ手で打ち込む |
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| 提出先ごとに形が違う | 元請けや発注者によって、台帳の形や並べ方が違う |
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どれも、1枚ずつ見ればすぐ終わる作業です。けれども、1日に数百枚、1つの工事で何千枚となると、監督や事務の方の夜の時間を確実に削っていきます。現場が重なる時期には、整理が数日遅れ、どの写真がどの日のものか分からなくなることもあります。
このうち、AIで大きく減らせるのは「あとで思い出す」「選ぶ」「説明を書く」の3つです。そのためには、撮るときに少しだけ決めごとをしておく必要があります。
撮るときに決めておくこと
AIは、写真に写っているものから多くのことを読み取れます。とくに、黒板(工事名や工種、部位を書いて写し込む板)の文字は、読み取りやすい手がかりです。撮るときの決めごとを3つ挙げます。
- 黒板の書き方をそろえる:工種・部位・測った値などの書く順番と言葉を、現場ごとに決めて、作業員の方とも共有する
- 区切りの写真を撮る:工程が変わるときに、黒板だけを大きく写した1枚を撮ると、そこから次の工程と分かる
- 写真を集める場所を1つにする:その日の写真は、だれが撮ったものでも、夕方までに同じ場所へ集める
電子の黒板を使っている現場では、黒板の情報が写真のデータに入っていることがあります。その場合は、AIが文字を読み取る手間が減り、仕分けの間違いも少なくなります。
決めごとは現場の声で作る
黒板の書き方は、事務所で決めて押しつけるより、現場の方と一緒に決めるほうが守られます。「この言葉なら書きやすい」という声を聞いて、短い言葉にそろえます。
AIで写真を仕分けて、台帳の形にする
写真が1か所に集まったら、次の順でAIに手伝わせます。まずは、ふだん使っている生成AIの画面に写真を何枚か渡して試すところから始められます。
- その日の写真を、撮った時刻の順に並べる
- AIに写真を渡し、黒板の文字(工種・部位・測った値)と、写っているものの短い説明を、1枚ずつ表に書き出させる
- 黒板の無い写真は、前後の写真の黒板から工程を推し量らせ、「推し量った」と印を付けさせる
- 似た写真が続く所では、ピントや明るさの良いものを候補として挙げさせる
- 書き出した表を工程ごとに並べ替え、提出先の台帳の形(並べ方・説明欄の書き方)に合わせて説明文を下書きさせる
- 人が表と写真を見比べ、印の付いた写真と数字を中心に確かめてから、台帳に貼る
3つ目の手順の「印」が大切です。AIが推し量った所と、黒板から読み取った所を分けておけば、人は印の付いた所だけを重点的に見ればよくなります。全部の写真を同じように見直す必要がなくなります。
提出先ごとの形は、見本で覚えさせる
元請けや発注者ごとに台帳の形が違う場合は、過去に出した台帳を1冊見本としてAIに見せ、「この並べ方と説明の書き方に合わせて」と頼みます。見本があると、説明文の言い回しや、測った値の書き方がそろいやすくなります。
AIに書き出させる表の列(例)| 列 | 中身 | どこから取るか |
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| 写真の番号 | 撮った時刻の順の番号 | 写真のデータ |
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| 撮った日時 | 年月日と時刻 | 写真のデータ |
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| 工種・部位 | 例:基礎の配筋、北側の通り | 黒板の文字 |
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| 測った値 | 例:かぶり厚さ、間隔 | 黒板の文字 |
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| 説明の下書き | 台帳の説明欄に入れる短い文 | 黒板の文字と写真の中身 |
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| 印 | 黒板が読めず推し量った、など | AIが付ける |
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最初からすべての列をそろえる必要はありません。工種・部位と印の2つだけでも、仕分けの手間は大きく変わります。使いながら、提出先が求める列を足していきます。
例:1現場1日分の写真
ここでは、県内で住宅の基礎や外構の工事を受ける、従業員25人ほどの工務店を例に考えます(例として作った会社です)。ある日の基礎工事の現場で、監督と作業員2人のスマホに、合わせて180枚の写真が残りました。
例の工務店で、1日分の写真の整理の前と後| 作業 | 前 | AIを使った後 |
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| 写真を集める | 夜に各自のスマホから送ってもらう | 夕方までに共有の場所へ入れる決まりにした |
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| 工程ごとに分ける | 写真を見ながら思い出して、フォルダに分ける | AIが黒板の文字から表にし、監督が印の付いた写真だけ見る |
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| 使う写真を選ぶ | 似た写真を見比べて選ぶ | AIが挙げた候補から選ぶ |
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| 説明を書く | 台帳の説明欄に1枚ずつ打ち込む | 見本に合わせたAIの下書きを読んで直す |
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この工務店では、最初の1週間、AIの書き出した表と写真を、監督が全部見比べました。黒板の書き方をそろえてからは、読み違いが出るのは黒板が光って見えにくい写真が中心だと分かり、その写真だけを重点的に見るようにしています。
例の枚数は、考え方を示すためのものです。現場の規模や工程によって、写真の数も、AIに任せられる所も変わります。
人が確かめる所
工事写真は、工事が正しく行われたことを示す大事な記録です。AIはあくまで下書きと仕分けの手伝いで、次の所は人が確かめます。
- 測った値:黒板から読み取った数字が、写真の中の黒板と合っているか
- 工程と部位:仕分けた先が合っているか。とくに、黒板の無い写真の推し量りが合っているか
- 写真の中身:写真そのものを加工・差し替えしていないか。AIに写真を「きれいにする」よう頼まない
- 提出先の決まり:写真の撮り方や台帳の形が、発注者や元請けの決まりに合っているか
とくに写真そのものには、AIで手を加えないようにします。明るさを直したり、写り込みを消したりすると、記録としての信頼を損ねるおそれがあります。AIに任せるのは、写真の周りの「文字の仕事」だけ、と決めておくと安心です。
いばらきAIにご相談いただいたら
いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、会社名と、写真の整理で困っていることを一言お送りください。外に出せる写真が数枚あれば、ご相談の場で、黒板の読み取りや説明の下書きを試してお見せします。
業務ツールの開発では、話を聞いたエンジニアがそのまま作ります。現場の写真を集めて、黒板の文字ごとに仕分け、提出先の形の表にする道具を、御社の台帳の見本に合わせ、試作を見ていただきながら形にします。アカウントは御社の名義で作ります。
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まとめ:黒板の書き方を現場とそろえる
- 写真の整理がたまるのは、撮るときの情報をあとで思い出しているから
- 黒板の書き方・区切りの写真・集める場所を決めると、AIが仕分けやすくなる
- 測った値と写真の中身は人が確かめ、写真そのものには手を加えない
まずは次の現場で、黒板に書く言葉と順番を、作業員の方と一緒に決めてみてください。それだけで、夜の写真の整理が少し楽になり、AIに任せる準備も整います。うまくいった書き方は、次の現場にもそのまま持っていけます。