茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

現場と事務所の書類の書き直しを、減らせないか?

茨城の建設業のAI活用|現場と事務所の書類仕事を減らす

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 県内で生成AIを業務で使う建設業の企業は35.7%。業界別では小売に次いで2番目に高い
  • 書類の手間の多くは、現場のメモを事務所で清書し、別の書式へ写す「書き直し」から生まれる
  • AIには、メモや写真から決まった書式の下書きを作る作業を任せ、数量・金額・安全に関わる所は人が確かめる
  • 最初の1歩は、現場ごとに「どの書類を、誰が、いつまでに出すか」の一覧を作ること
木材の上に置いた黄色いヘルメット

現場監督が夕方に事務所へ戻り、日報を書き、写真を整理し、元請けに出す書類をそろえる。現場の段取りは頭に入っていても、書類は夜まで終わらない。県内の工務店や建設会社から、よく聞く話です。

建設業は、現場の仕事と同じくらい書類の仕事が多い業界です。しかも、現場で書いたメモを事務所で清書し、同じ内容を別の書式に写し直す、という書き直しが何度も起きます。

この記事では、県内の建設業でAIがどのくらい使われているかを確かめたうえで、現場と事務所の間の書き直しがどこで起きているか、AIに任せる所と人が確かめる所、現場ごとの書類の一覧を作る手順を紹介します。

県内の建設業は、AIをどのくらい使っているか

帝国データバンク水戸支店が県内の企業に聞いた調査(2026年3月)では、生成AIを業務で「活用している」建設業の企業は35.7%でした。業界別では、小売の36.4%に次いで2番目に高く、県内全体の27.9%を上回っています。

建設業がAIを早く取り入れている背景には、書く仕事の多さがあると考えられます。同じ調査では、生成AIの使い道の1位が「文章の作成・要約・校正」(46.3%)でした。施工の計画、安全の書類、近隣へのお知らせ、元請けへの報告と、建設会社には文章を作る場面がたくさんあります。

人手の事情も重なる

県の資料では、2025年1月時点で正社員が「不足」と感じている県内企業は56.1%でした。建設の現場では、若い人が入りにくく、ベテランの監督が複数の現場を掛け持ちすることも増えています。監督が書類に追われる時間は、そのまま現場を見る時間を削ります。

茨城は道路の総延長が全国第2位(55,454キロメートル)と、守るべき社会の基盤が多い県です(茨城の豆知識)。道路や橋、上下水道の工事と点検は、これからも続きます。少ない人数で工事を回すために、書類の時間を減らすことは、どの建設会社にとっても避けて通れない課題です。

現場と事務所の間にある書き直し

建設会社の書類仕事を、現場と事務所のやり取りの流れで並べると、同じ内容が何度も書き直されていることが分かります。

建設会社でよく起きる書き直しの例
最初に書く所書き直す先書き直しの中身
現場のメモ帳・ホワイトボード作業日報作業の内容、人数、時間を清書する
作業日報工程表・出来高の表進み具合を表に写す
作業日報元請けへの報告書元請けの書式に合わせて書き直す
スマホの写真写真台帳工種ごとに並べ、説明を付ける
朝礼・KY活動(危険を予想して話し合う活動)の記録安全の書類元請けの書式へ写す
業者からの見積書・納品書原価の表工事ごとに金額を集める

どの書き直しも、最初の記録さえあれば中身は決まっています。人が頭を使っているのは、書式に合わせて言葉を整える部分と、写し間違いがないかを確かめる部分です。前者はAIが得意で、後者は人が残すべき仕事です。

書き直しが減らない理由

  • 元請けごとに書式が違い、1つの記録を使い回せない
  • 現場のメモが走り書きで、書いた本人にしか読めない
  • 書類の締め切りが監督の手帳にしかなく、事務の担当が先回りできない
  • 書類を作る人と、現場を知っている人が別で、確かめのやり取りが往復する

4つのうち、AIが直接効くのは1つ目と2つ目です。3つ目と4つ目は、書類の一覧と役割分担を決めることで減らせます。AIを入れる前に、この2つを整えておくと、AIの下書きが生きてきます。

写真台帳づくりは、建設の書類の中でも特に時間がかかる仕事です。写真の整理だけを取り上げた記事もあるので、あわせて読んでみてください。

工事写真の整理をAIで短くする方法を読む

AIに任せる所、人が確かめる所

AIは、手書きのメモや写真から文字を読み取り、決まった書式の下書きを作ることができます。一方で、建設の書類には、数量・金額・安全のように、間違えると大きな問題になる中身が含まれます。どこまでAIに任せるかは、書類ごとに線を引きます。

建設の書類で、AIに任せる所と人が確かめる所
書類AIに任せる所人が確かめる所
作業日報現場のメモや音声から、日報の書式で下書きを作る人数・時間・作業の中身が合っているか
元請けへの報告書日報をもとに、元請けの書式で文章を整える進み具合の表現と、伝えてよい中身か
安全の書類朝礼で話した内容を、決まった欄に振り分ける危険の見立てと対策が現場に合っているか
原価の表見積書・納品書から、工事名・品名・金額を読み取って並べる金額と工事の割り振りが正しいか
近隣へのお知らせ工事の期間・時間・内容から、文面の下書きを作る日付と時間、言い回しが失礼でないか

AIは間違えることがあります。読み取った数字、書き写した日付、作った文の中身は、出す前に担当の人が目を通します。特に安全の書類は、AIの下書きをそのまま出すのではなく、現場を知っている監督が読み、自分の言葉で直してから出すようにします。

原価の表づくりも、AIの読み取りが効く場面です。業者から届く見積書や納品書は、会社ごとに形がばらばらで、事務の担当が工事名を見ながら1枚ずつ表に打ち込んでいることが多い書類です。AIに工事名・品名・数量・金額を読み取らせて並べ、どの工事に割り振るかの判断と、合計の確かめを人が受け持てば、月末に原価がまとまるまでの時間が短くなります。工事の途中で原価の動きが見えるようになると、追加の費用が出そうな現場に早く気づけます。

書く代わりに、話して残す

現場の記録は、書くより話すほうが早い場面が多くあります。帰りの車に乗る前に、スマホに向かって今日の作業を1分ほど話してもらい、その音声をAIで文字にして日報の書式に振り分ける、という使い方です。走り書きのメモを清書する手間がなくなり、事務所に戻ってからの時間が短くなります。

話すときは、「現場名」「作業の中身」「人数」「明日の段取り」の順に話す、と決めておくと、AIが欄に振り分けやすくなります。話した内容と下書きが食い違っていないかは、監督が画面で確かめます。

もう1つの線引きは、AIに入れる情報です。施主の名前や住所、図面などは、入れてよいかを社内で決めておきます。元請けとの取り決めで外に出せない書類があれば、それも先に確かめます。入れる場合も、入れた内容をAIの会社が学習に使わない設定にしてから使います。

例:現場ごとの書類の一覧を作る

AIで書き直しを減らす前に、まず「どの現場で、どの書類を、誰が、いつまでに出すか」を一覧にします。この一覧があると、書類の抜けが減るうえ、どの書類からAIに任せるかも決めやすくなります。

例:社員45人の土木と建築の会社

常に6〜8つの現場が動いていて、監督は4人。元請けごとに報告書と安全の書類の書式が違い、どの現場で何をいつ出すかは、それぞれの監督の手帳にしか書かれていません。事務の担当は、監督から「あの書類、明日まで」と言われて初めて準備に取りかかります(会社の規模や中身は説明のための例です)。

この会社で、現場ごとの書類の一覧を作り、書き直しを減らしていく手順は次のとおりです。

  1. 監督それぞれに、受け持ちの現場で出している書類を全部挙げてもらう(書類の名前、出す先、出す頻度、締め切り)
  2. 元請けから渡された書式のファイルを、現場ごとに1か所に集める
  3. 挙がった書類を、AIで「現場×書類」の一覧表に整え、締め切りの近い順に並べる
  4. 一覧のうち、毎週・毎日出す書類で、元のメモや日報から書き直しているものに印を付ける
  5. 印の付いた書類から1つ選び、元のメモをAIに読ませて、元請けの書式で下書きを作る
  6. 監督が下書きを直して出し、直した所を記録して、次の下書きの頼み方に生かす

1つ目の手順で全部の書類を挙げてもらうと、多くの会社で「同じ中身なのに、元請けごとに別の書式で出している」書類が見つかります。こうした書類は、元の記録を1つにして、書式ごとの下書きをAIに作らせる形にすると、書き直しが一気に減ります。

例の会社で書類の回し方がどう変わるか(見込みを含む)
見直す前見直した後
出す書類の把握監督それぞれの手帳現場×書類の一覧表で全員が見られる
事務の担当の準備言われてから取りかかる締め切りの近い順に先回りできる
元請けごとの報告書日報を見ながら監督が書き直すAIが日報から下書きし、監督が直す
監督が夜にする書類日報・報告書・写真の整理下書きの確かめが中心になる

全部の現場で一度に始める必要はありません。書類に慣れた監督の現場を1つ選び、1か月ほど試してから、ほかの監督に広げます。試した監督が「どこを直すことが多かったか」を話してくれると、ほかの現場では最初から下書きの質が上がります。

いばらきAIにご相談いただいたら

元請けから渡された報告書の書式と、その書式に書き直す前の日報やメモを、1組そろえてメールでお送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)で、日報から元請けの書式の下書きをAIで作り、監督の方がふだん書き直したものとどれくらい近いかを見ていただきます。

開発では、監督の方にスマホで試作を使っていただき、話す順番や下書きの欄の並びを現場に合わせて直します。聞き取りから作るまでをエンジニア(代表)1人が受け持つので、現場の言い回しが途中で抜け落ちにくい形です。

元請けが増えたときの書式の追加は、保守の小さな直しとしてお受けします。

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まとめ:現場ごとに、出す書類を書き出す

  • 県内の建設業の生成AIの活用は35.7%。書く仕事の多い業界で、使い始めている会社が多い
  • 手間の多くは、現場のメモを事務所で清書し、別の書式へ写す書き直しから生まれる
  • AIには下書きを、人には数量・金額・安全の確かめを残す

まずは、受け持ちの現場を1つ選び、出している書類の名前と締め切りを紙に書き出してみてください。書き出した書類のうち、同じ中身を別の書式へ写しているものが、AIに任せる最初の候補です。書き出した一覧を事務の担当にも渡しておくと、締め切りを分け合えるようになります。

出典・参考

よくある質問

建設業でAIを使うと、何がいちばん楽になりますか。

現場のメモや日報を、別の書式へ書き直す作業が楽になります。

元請けごとの報告書や安全の書類は、元の記録があれば中身は決まっています。AIが下書きを作り、監督は確かめて直すだけ、という形にすると、夜の書類の時間を短くできます。

現場の監督はパソコンに向かう時間がありません。

現場ではスマホで話す・撮るだけにして、書類の形にする作業は事務所かAIが受け持つ形を考えます。

話した内容を文字にし、日報の書式に整える作業はAIに任せられます。監督には、できた下書きを確かめてもらうだけにします。

安全の書類をAIで作っても問題ありませんか。

下書きに使うことはできますが、中身は現場を知る人が確かめて直す必要があります。

危険の見立てや対策は、現場ごとに違います。AIの下書きをそのまま出すのではなく、監督が自分の言葉で直してから出すようにしてください。

小さな工務店でも、AIを使う意味はありますか。

あります。人が少ない会社ほど、社長や監督が書類を抱えているためです。

県内の調査でも、建設業は生成AIの活用が高い業界でした。まずは見積もりの説明文や、施主へのお知らせの下書きのように、毎回書いている文章から試すと、手応えをつかみやすくなります。

元請けの書式が決まっていて、変えられません。

書式は変えずに、その書式の下書きをAIに作らせる形で進めます。

元請けから渡された書式のファイルを見本としてAIに渡せば、同じ欄の並びで下書きを作れます。元請けごとに書式が違っても、元の記録を1つにしておけば、書式ごとに書き分けられます。

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事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

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  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
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