紙の記録を生かす公開 約7分で読めます

棚に並んだ紙の台帳を、すぐ調べられる形にできるか?

紙の台帳や帳簿をAIでデータ化する方法|確かめ方つき

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 紙の台帳は、捨てずに残したまま、写しをデータにする
  • 読み取りの前に、表の列と「読めない字の扱い」を決めておく
  • 確かめは、全部を見直すのではなく、AIに2回読ませて食い違った所と、間違えると困る列に絞る
手書きの古い台帳

事務所の棚に、年ごとに綴じた手書きの台帳が並んでいます。お客さまの名前、品物、日付、担当。「3年前にこのお客さまに何を納めたか」と聞かれるたびに、だれかが台帳を出してきて、ページをめくって探します。探し方を知っているのは、長く勤めている1人か2人です。

紙の台帳は、書き続けている限り役目を果たします。ただ、探す、数える、比べる、といった使い方には向いていません。データにすれば、検索も集計もできるようになります。

この記事では、紙の台帳が残る理由と、AIで読み取って表にする手順、読み違いの確かめ方を、手書きの台帳1冊分の例で説明します。

紙の台帳が残る理由

紙の台帳がデータにならないまま残るのには、どの会社にも似た理由があります。

  • 量が多い:何十冊もある台帳を、人が打ち込むのは現実的でない
  • 字が読みにくい:書いた人ごとに字の癖があり、略し方も違う
  • 書き方が途中で変わる:年によって列が増えたり、書く順番が変わったりしている
  • いまも書き続けている:新しいページは紙のまま増えていく

1つ目と2つ目は、AIで軽くできるようになりました。写真に撮った手書きのページから、文字を読み取って表の形にするのは、いまのAIが得意なことの1つです。3つ目と4つ目は、読み取りの前に決めておくことで片づけます。

中小企業基盤整備機構の調査では、AIを「既に導入している」中小企業は20.4%で、8割近くはまだ導入していません。紙の台帳のデータ化は、効果が目で見て分かりやすく、社内に「AIで何ができるか」を伝える最初の取り組みにも向いています。

読み取り→表にする手順

いきなり全部の台帳に手をつけるのではなく、まず1冊を選びます。1冊で手順を固めてから広げるほうが、やり直しが少なく済みます。よく調べものに使う年の台帳か、いちばん新しい台帳が向いています。

  1. 台帳の列を確かめ、データにする表の列を決める(例:日付・お客さまの名前・品物・数量・担当・備考)
  2. 「読めない字の扱い」を決める(読めない所は推測で埋めず、『判読不可』と書かせる)
  3. 台帳を1ページずつ、明るい所でまっすぐ上から撮る。ページの番号が写るようにする
  4. 写真を数ページずつAIに渡し、「1行を表の1行にして。ページ番号と、そのページの何行目かも添えて」と頼む
  5. 同じ写真を、別の日にもう一度AIに読ませ、2回の結果を並べる
  6. 2回の結果が食い違った所と、『判読不可』の所を、人が元の写真で確かめる
  7. 確かめ終わった表を、決めた場所に保存する。紙の台帳は、そのまま棚に戻す

4番の「ページ番号と何行目か」を添えさせるのは、あとで確かめるときのためです。表のどの行が台帳のどこから来たかが分かれば、気になった行の元の字を、写真ですぐに見られます。

7番で紙の台帳を残すのは、データの読み違いに気づいたときに、元に戻って確かめられるようにするためです。また、帳簿の種類によっては、紙のまま保存する決まりがあるものもあります。捨ててよいかは、顧問の税理士の方や、その帳簿に関わる決まりを確かめてから判断してください。

撮るときの段取り

撮る作業は、思ったより時間がかかります。机の上に台帳を開いて置く場所を決め、スマートフォンを同じ高さに構えて、ページを送りながら撮っていくと、写真の大きさがそろいます。綴じ目の近くの字が影になりやすいので、ページを手で軽く押さえ、影が出ていないかを数枚ごとに見ます。撮り終えたら、写真の枚数と台帳のページ数が合っているかを確かめてから、読み取りに進みます。

列が途中で変わる台帳は、年ごとに分ける

何年分も続く台帳では、途中で「担当」の列が増えた、品物の書き方が変わった、ということがよくあります。全部を1つの表にまとめようとせず、列の形が同じ年ごとに分けて読み取ります。年ごとの表ができてから、そろえられる列だけをつなげるほうが、取り違えが起きにくくなります。

読み違いの確かめ方

AIの読み取りは、全部が正しいわけではありません。とはいえ、何百行もある表を人が1行ずつ写真と見比べるのでは、手で打ち込むのと変わらない手間がかかります。確かめる所を絞ります。

読み違いが起きやすい所と、確かめ方
起きやすい読み違い例確かめ方
似た形の数字1と7、0と6、4と92回読ませて食い違った数字を、人が写真で見る
くずした字の名前お客さまの名前の漢字名前の一覧(取引先の一覧など)と照らし、一覧に無い名前だけ人が見る
略し方「同上」「〃」「〇〇様方」略し方の一覧を先にAIに渡し、展開のしかたを決めておく
行の飛ばしや重なり1行を読み飛ばす、2行を1行にまとめるページごとに、台帳の行数と表の行数が同じかを数える
書き足し・消し線線で消して横に書き直した数字消し線のある行に印を付けさせ、人が見る

なかでも効き目が大きいのは、2回読ませて食い違った所だけを見るやり方です。AIの読み違いは、毎回同じ所で起きるとは限りません。2回の結果が一致した所は、正しく読めている見込みが高く、食い違った所に読み違いが集まります。人が見る量を、全体のうちの一部に減らせます。

ただし、2回とも同じように読み違えることもあります。間違えると困る列(数量や日付など)は、食い違いが無くても、ページの初めの数行を抜き出して写真と見比べ、読み取りの調子を確かめておくと安心です。

例:手書きの台帳を1冊分

架空の会社の例です。ある年の納品の台帳1冊(およそ100ページ、1ページ20行ほど)をデータにすることにしました。

例:進め方と、確かめた量

事務の方が1冊を撮るのに半日ほどかかりました。AIに2回読ませた結果を並べると、食い違いが出たのは全体の1割に満たない行で、『判読不可』は数十か所でした。人が写真で確かめたのは、この食い違いと判読不可の所、名前の一覧に無かった名前、そしてページごとの行数が合わなかった3ページです。行数が合わなかったページは、いずれも1行が読み飛ばされていたので、その行を書き足しました。

例:できあがった表の一部(架空の内容)
ページ・行日付お客さまの名前品物数量担当確かめ
12-34月8日例:佐藤様例:部品A4山田
12-44月8日例:田中様例:部品B1(2回目は7と読んだ)山田写真で1と確かめた
12-54月9日判読不可例:部品A2鈴木写真でも読めず、担当に聞いた

判読不可の所は、その年に台帳を書いていた方に聞くと、多くは分かりました。書いた方がもういない場合は、無理に埋めずに『判読不可』のまま残し、備考に「写真あり」と書いておきます。分からないことを分からないと残すのも、データの信用を守る大事な決めごとです。

できた表は、お客さまの名前や品物で検索できます。「3年前にこのお客さまに何を納めたか」は、台帳をめくらずに分かるようになりました。品物ごとの数量を月別に数えるのも、表計算で済みます。

1冊目で手順が固まったら、ほかの年の台帳に広げます。2冊目からは、略し方の一覧や名前の一覧が1冊目でできているので、確かめる所がさらに減ります。いまも書き続けている台帳は、月末にその月のページを撮って読み取る、と決めておくと、紙とデータが離れていきません。

いばらきAIにご相談いただいたら

初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。どんな台帳や帳簿が残っていて、データにしたら何に使いたいかをうかがいます。台帳の写真を数ページお借りできれば、その場でAIに読み取らせて、表の形でお見せします。

台帳の写真を入れると、2回の読み取りと食い違いの印付けまでが自動で済み、人は印の所だけを確かめればよい、という道具が必要なときは、業務ツールの開発としてお受けします。お話をうかがったエンジニアがそのまま作り、試作で1冊分を読み取って確かめていただきながら直します。道具と一緒に、説明のスライドと説明の動画もお渡しします。

業務ツールの開発について見る

まとめ:よく使う台帳を1冊選び、10ページだけ撮る

  • 紙の台帳は捨てずに残し、写しをデータにする
  • 表の列と「読めない字は推測で埋めない」を先に決める
  • ページ番号と行を添えさせ、2回読ませて食い違った所を人が見る
  • ページごとの行数を数えて、読み飛ばしを見つける

まずは、いちばんよく調べものに使う台帳を1冊選び、10ページだけ撮ってAIに読ませてみてください。どのくらい読めるか、どこで迷うかが分かれば、1冊分の段取りが組めます。

出典・参考

よくある質問

手書きの帳簿でも、AIで正しく読み取れますか。

多くの行は読み取れますが、くずした字や似た形の数字は読み違えることがあります。

そのため、2回読ませて食い違った所や、読めなかった所を人が写真で確かめる手順を残します。

データにしたら、紙の台帳は捨ててもよいですか。

すぐには捨てないことをおすすめします。読み違いに気づいたときに、元に戻って確かめられるようにするためです。

帳簿の種類によっては保存の決まりもあるので、捨ててよいかは顧問の税理士の方などに確かめてから判断してください。

台帳のデジタル化は、スキャナーが無いとできませんか。

スマートフォンのカメラで始められます。明るい所で、まっすぐ上から撮れば、AIで読み取れる写真になります。

冊数が多い場合は、ページを送りながら撮れる道具を使うと、撮る時間を短くできます。

何十冊もある台帳を、全部データにする必要がありますか。

全部でなくてかまいません。よく調べものに使う年や、いま集計したい年から始めます。

1冊目で手順と名前の一覧ができると、2冊目からは確かめる所が減るので、必要になった台帳から順に広げていけます。

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