
週の終わり、運行管理の担当の方が、点呼の記録簿と運転日報を並べて1枚ずつめくっていく。記入の抜けはないか、日報の出庫の時刻と点呼の時刻が合っているか、休憩の書き方はそろっているか。運送会社では、こうした確かめに毎週何時間もかかることがあります。
抜けや食い違いを探す作業は、AIが手伝いやすい仕事です。決めた項目が埋まっているか、2つの記録の時刻が合っているかを見るのは、決まった手順のくり返しだからです。
この記事では、点呼と日報の書類でたまる手間を整理し、記録の形をそろえる方法、AIで抜けと食い違いを見つける手順を、1週間分の記録の例で説明します。
点呼と日報の書類でたまる手間
帝国データバンクが2026年3月に茨城県内の会社に聞いた調査では、生成AIを業務で「活用している」割合は、運輸・倉庫で26.7%でした。4社に1社ほどが使い始めている一方で、点呼や日報のような毎日の記録の確かめは、まだ人の目に頼っている会社が多いようです。
点呼記録と運転日報は、どちらも毎日、運転者の数だけ増えていきます。確かめに時間がかかるのは、次のような理由からです。
点呼記録と日報の確かめに時間がかかる理由| 理由 | よくある様子 |
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| 書き方がばらばら | 時刻を「8:05」と書く人、「8時5分」と書く人、「805」と書く人がいる |
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| 2つの記録が別の紙 | 点呼の記録簿と日報が別にあり、並べて見比べるしかない |
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| 手書きが読みにくい | 急いで書いた字が読めず、本人に聞き直す |
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| 空欄の意味が分からない | 書き忘れなのか、該当しないから空けたのかが分からない |
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| 確かめが週末にたまる | 毎日見る時間が無く、まとめて見るので量が多い |
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このうち、AIで減らせるのは「探す」作業です。どこに空欄があるか、どこで時刻が合わないかを見つけるところまでをAIに任せ、見つかった所をどう扱うかは人が決めます。
記録の形をそろえる
AIに確かめを手伝わせる前に、記録の形と書き方をそろえます。形がそろっていれば、AIは項目を読み取りやすく、人も見やすくなります。
- 時刻の書き方を1つに決める(例:24時間の表し方で「08:05」)
- 車の番号と運転者の名前の書き方を決める(略し方をそろえる)
- 該当しない欄には、空けずに「なし」と書く決まりにする
- 点呼記録と日報で、同じものを指す項目(出庫・帰庫の時刻など)の名前をそろえる
- 手書きの場合は、記入欄の大きさに余裕をもたせ、数字を書く欄を分ける
3つ目の決まりは小さなことですが、効き目は大きいです。空欄が「書き忘れ」だけを意味するようになれば、AIが空欄を拾ったときに、そのまま確かめの候補にできます。
記録の項目そのものは変えない
点呼の記録に残す項目は、法令で決まっています。形をそろえるのは書き方の話で、項目を減らしたり言い換えたりすることではありません。項目が決まりに合っているかは、運行管理の担当の方が確かめてください。
AIで抜けと食い違いを見つける手順
記録の形がそろったら、次の順でAIに手伝わせます。紙の記録でも、写真やスキャンにすれば始められます。
- 1日分の点呼記録と日報を、写真かスキャンにして日付ごとにまとめる
- AIに渡して、決めた項目の形の表に書き出させる(運転者・車・点呼の時刻・出庫と帰庫の時刻など)
- 読み取れなかった文字は、推し量らずに「読めない」と印を付けさせる
- 書き出した表から、空欄の項目を一覧にさせる
- 点呼の時刻と日報の出庫・帰庫の時刻を突き合わせ、決めた幅を超えて離れている所を一覧にさせる
- 運行管理の担当の方が、2つの一覧だけを元の記録と見比べ、本人への確かめや書き直しの要否を決める
5つ目の手順の「決めた幅」は、会社の運行の形によって変わります。何分以上離れていたら確かめるかを、運行管理の担当の方が先に決めておきます。AIに決めさせるものではありません。
一覧は、ほかの仕事にも使える
毎日の記録が表になってたまっていくと、確かめのほかにも使い道が出てきます。たとえば、運転者ごとの出庫と帰庫の時刻を並べると、帰りが遅くなりがちな曜日や行き先が見えてきます。配車を考えるときや、運転者の方の働く時間を見直すときの材料になります。
ただし、こうした使い方を広げる前に、まずは確かめの手伝いとして毎日回る形を作ることが先です。表の読み取りが安定してから、使い道を1つずつ足していきます。
毎日少しずつ回す
この手順は、週末にまとめてやるより、毎日の帰庫のあとに1日分ずつ回すほうが楽です。その日のうちなら、運転者の方の記憶も新しく、確かめや書き直しがすぐに済みます。翌朝の点呼のときに、前の日の書き忘れを本人に伝える、という流れにすると、毎日の仕事の中に自然に収まります。
例:1週間分の記録
ここでは、県内で食品や日用品の配送を受ける、トラック20台ほどの運送会社を例に考えます(例として作った会社です)。点呼は事務所で行い、点呼記録簿は紙、運転日報も運転者の方が手書きしています。運行管理の担当の方は、毎週金曜の午後を記録の確かめに使っていました。
1週間分の記録をAIに書き出させたところ、拾われたのは次のような所でした。
例の会社で、AIが拾った所と、担当の方の判断| AIが拾った所 | 元の記録を見ると | 担当の方の判断 |
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| 日報の帰庫の時刻が空欄 | 書き忘れ | 翌朝の点呼で本人に確かめて書き足してもらう |
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| 点呼の時刻と出庫の時刻が大きく離れている | 日報の時刻の書き違い(午前と午後) | 本人に確かめて直してもらう |
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| 運転者の名前の読み取りが「読めない」 | 略した書き方で、読み取れなかった | 名前の書き方の決まりを全員に伝え直す |
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| 休憩の欄が空欄 | 休憩はとっていたが書いていなかった | 書き方の決まりを伝え、本人に書き足してもらう |
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この会社では、拾われた所だけを元の記録と見比べるようにしたことで、金曜の確かめの時間が短くなりました。また、同じ人が同じ欄を書き忘れていることが一覧で見えるようになり、点呼のときに一言添えて伝えられるようになっています。
例の台数や拾われた内容は、考え方を示すためのものです。実際に拾われる所は、会社の記録の形や運行によって変わります。
AIに任せない所
点呼記録と日報は、運転者の方の安全と、会社の運行の記録に関わる書類です。AIはあくまで探す手伝いで、次のことは人が行います。
- 点呼そのもの:運転者の方の様子を見て、乗務させてよいかを判断する
- 記録の書き直しの判断:どの記録を、だれが、どう直すかを決める
- 法令の決まりの確かめ:記録の項目や残し方が決まりに合っているか
- AIの読み取りの確かめ:数字や時刻の読み違いがないか
AIが書き出した表を、そのまま正式な記録の代わりにすることはしません。正式な記録は元の記録簿や日報で、AIの表は確かめのための手元の資料、という分け方をはっきりさせておきます。
いばらきAIにご相談いただいたら
いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、会社名と、記録の確かめで困っていることを一言お送りください。運転者の方の名前を伏せた記録の見本があれば、ご相談の場で、AIで表に書き出す様子をお見せできます。
業務ツールの開発では、話を聞いたエンジニアがそのまま作ります。毎日の記録を写真から読み取り、空欄と食い違いの一覧を運行管理の担当の方に届ける道具を、御社の記録の形に合わせ、試作を見ていただきながら形にします。作ったあとは、保守として、不具合の対応や小さな直しもお受けします。
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まとめ:時刻の書き方を1つに決める
- 確かめに時間がかかるのは、形がばらばらで、2つの記録を目で突き合わせているから
- 書き方をそろえ、該当しない欄には「なし」と書く決まりにする
- AIには空欄と食い違いを拾わせ、判断と法令の確かめは人が行う
まずは、点呼記録と日報の時刻の書き方を1つに決め、運転者の方に伝えてみてください。それだけで、目で見比べる手間も、AIで読み取る手間も減ります。