茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

配車と日報の事務に追われる毎日を、変えられるか?

茨城の運送・物流会社のAI活用|配車と日報の集計から

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 茨城は工場立地面積が全国第1位(10年間の累計)、道路の総延長が全国第2位。運ぶ仕事の多い県
  • 県内で生成AIを業務で使う運輸・倉庫の企業は26.7%
  • 最初に任せやすいのは、紙の日報を読み取って、車ごと・荷主ごとの表1枚にまとめる集計
  • 配車は、AIに下書きを作らせ、決めるのは配車の担当、という分け方にする
夜に停まる配送トラック

夕方、配車の担当がホワイトボードと電話の前に張りつき、翌日の注文を見ながら、どの車に誰を乗せるかを組んでいく。そのあいだに戻ってきた運転手の日報を受け取り、月末には日報を見ながら請求書を作る。運送会社の事務所では、配車の担当に仕事が集中しがちです。

配車は、経験と勘がものを言う仕事です。だからこそ、その人が休むと会社が止まります。この記事では、茨城の物流の数字を確かめたうえで、配車・日報・請求のどこに手作業がたまっているか、日報の集計をAIで表1枚にする方法、翌日の配車表の下書きをAIに作らせる手順を紹介します。

茨城の物流を数字で見る

茨城は、ものを運ぶ仕事が生まれやすい県です。県の「茨城の豆知識」(令和8年6月現在版)から、物流に関わる数字を拾うと次のようになります。

茨城の物流に関わる数字(茨城の豆知識)
項目数字全国での順位
工場立地面積(平成28年〜令和7年の10年間の累計)1,201ヘクタール第1位
道路実延長55,454キロメートル第2位
東京都中央卸売市場での県産青果物のシェア—22年連続 第1位

新しい工場が建ち続け、首都圏の市場へ野菜や果物を送り出し、それを長い道路網がつないでいます。工場の部品や製品、農産物、日用品と、運ぶ荷物の種類も多様です。

荷物の種類が多いと、配車の組み方も複雑になります。冷やして運ぶ荷物、時間の指定が厳しい工場の部品、季節によって量が大きく変わる農産物。どの車に何を積めるか、どの荷主がどの時間を求めるかといった決まりが増えるほど、配車は特定の担当の経験に頼りやすくなります。

帝国データバンク水戸支店の県内調査(2026年3月)によると、生成AIを業務で「活用している」運輸・倉庫の企業は26.7%でした。県内全体の27.9%とほぼ同じ水準で、建設(35.7%)や小売(36.4%)よりは低めです。

運転手の時間の決まりと、事務の時間

トラックの運転手には、働く時間の決まりがあります。厚生労働省の資料によると、時間外労働の上限は、臨時的特別な事情がある場合でも年960時間です。1日の拘束時間も、基本は13時間以内(延ばす場合も最大15時間)と決められています。

運転手の時間に上限がある以上、運ぶ量を保つには、配車の組み方と、運転手が事務に取られる時間の両方を見直す必要があります。日報を書く、伝票を整理する、事務所で報告する。こうした時間を短くすることも、運転手の時間を守る手の1つです。

配車・日報・請求でたまる手作業

運送会社の事務を、注文を受けてから請求するまでの流れで並べると、同じ情報が何度も書き写されていることが分かります。

運送会社の事務の流れと、たまりやすい手作業
段階いまの手作業の例困りごとの例
注文の受付荷主から電話・メール・FAXで届く注文を、配車表に書き写す形がばらばらで、書き写しに時間がかかる
配車車と運転手の空き、荷物の量、時間の指定を見て、担当が組む担当しか組めない。休むと止まる
運行の記録運転手が紙の日報に、行き先・時間・距離を書く字が読みにくい。書き漏れがある
集計日報を見ながら、車ごと・荷主ごとの数字をExcelに打つ月末に集中し、残業になる
請求集計を見ながら、荷主ごとの請求書を作る日報と請求の数字が合わないことがある

入口の注文をそろえると、後ろが楽になる

表の5つの段階のうち、後ろの段階の手間は、入口の注文がばらばらなことから始まっていることが多くあります。電話で受けた注文は受けた人のメモに、メールの注文は受信箱に、FAXの注文は紙のまま机に。配車の担当は、これを全部見て回りながら配車表に書き写しています。

AIは、メールの本文やFAXの画像から、荷主・荷物・量・積む場所・届ける場所・時間の指定を抜き出して、同じ形の一覧にそろえられます。電話の注文も、受けた人が決まった項目でメモを取り、撮って入れれば、同じ一覧に入ります。注文が1つの一覧にそろうと、配車も集計も請求も、同じ元の情報から作れるようになります。

このうち、点呼の記録と日報の確かめについては、別の記事でくわしく扱っています。この記事では、日報の集計と配車の下書きに絞って書きます。

点呼記録と日報の確かめをAIで短くする方法を読む

AIで、日報の集計を表1枚に

最初にAIに任せやすいのは、日報の集計です。日報は毎日たまり、書く項目もほぼ決まっていて、集計した結果は日報の合計と見比べれば確かめられます。

  1. 運転手と話して、日報の欄のうち集計に使う項目を決める(日付・車番・運転手・荷主・着いた時間・積み始めた時間・帰着の時間・距離)
  2. 「着いた時間」と「積み始めた時間」の欄が日報に無ければ、書き足してもらう。荷主ごとの待ち時間を出すためです
  3. 荷主と行き先の略し方を、1つの名前にまとめた一覧を作る
  4. 帰着したら日報を撮る。AIが項目を読み取り、一覧の名前にそろえて1日分ずつ表に足す
  5. 拘束時間が長かった日と、読み取りに自信のない値に印を付け、運行管理の担当が日報と見比べる
  6. 月末に、車ごと・運転手ごと・荷主ごとの合計を1枚にまとめ、請求の元にする

5つ目の手順で拘束時間の長かった日に印を付けておくと、集計のついでに、運転手の時間が上限に近づいていないかも見られます。ただし、時間の決まりを守れているかの最終的な判断は、運行管理の担当が元の記録で行います。読み取りの間違いで時間がずれることもあるためです。AIの集計は、気づくきっかけとして使います。

日報の集計でまとめる表の例(月末に1枚で見る形)
見る単位表に出す項目の例使い道
車ごと稼働した日数、走った距離、空で走った距離車の使い方の偏りを見る
運転手ごと乗った日数、拘束時間の合計、長かった日時間の決まりに近い人に早く気づく
荷主ごと運行の回数、距離、待ち時間の長かった日請求の元にする。待ち時間の相談の材料にする

荷主ごとの待ち時間は、日報に「着いた時間」と「積み始めた時間」が書いてあれば出せます。どの荷主の所で待ち時間が長いかが数字で分かると、荷主と時間の相談をするときの材料になります。

表1枚にまとまると、月末の請求も楽になります。荷主ごとの運行の回数と距離が日々たまっていくので、月末に日報の束を最初からめくり直す必要がなくなります。請求書の金額が日報と合わない、という食い違いも、日ごとに表で確かめていれば月末を待たずに見つけられます。

例:翌日の配車表の下書き

日報の集計が回り始めたら、次は配車です。配車をAIに丸ごと任せるのは現実的ではありませんが、下書きを作らせて、担当が直す形なら試せます。

例:トラック20台の地場の運送会社

配車は、20年近く担当しているベテラン1人が組んでいます。翌日の注文は夕方までに電話とメールで届き、ベテランが毎日2時間ほどかけて配車表を作ります。社長は「ベテランが休んだ日も、ほかの人が組めるようにしたい」と考えています(会社の規模や中身は説明のための例です)。

この会社で、配車表の下書きをAIに作らせるまでの手順は次のとおりです。

  1. ベテランに、配車を組むときに見ていることを話してもらう(「この荷主は朝一番」「この運転手はこの道を知っている」「この車は大きい荷物用」など)
  2. 話した内容を、AIで「決まりの一覧」に整え、ベテランに読んで直してもらう
  3. 翌日の注文を、荷主・荷物・量・時間の指定の一覧にそろえる(電話の注文は受けた人がメモを撮って入れる)
  4. 注文の一覧と、車と運転手の空き、決まりの一覧をAIに渡し、配車表の下書きを作らせる
  5. ベテランが下書きを見て直し、直した理由を一言ずつ残す
  6. 直した理由を決まりの一覧に足していき、下書きの精度を上げる

この進め方の大事な点は、配車の決まりが紙に残ることです。AIの下書きの出来がまだ十分でなくても、決まりの一覧と直した理由の記録があれば、ベテランが休んだ日に別の人が配車を組む手がかりになります。

例の会社で配車がどう変わるか(見込みを含む)
見直す前見直した後
配車の決まりベテランの頭の中決まりの一覧として残っている
配車表づくりベテランが一から組む(2時間ほど)AIの下書きをベテランが直す
ベテランが休んだ日社長が電話で聞きながら組む下書きと決まりの一覧を見て、別の人が組む
決めるのは誰かベテラン変わらず人(ベテランか代わりの担当)

AIの下書きには、荷主の急な変更や、運転手の体調、道路の工事のように、一覧に書かれていない事情は入りません。最後に決めるのはいつも配車の担当で、AIの役目はその手前までです。下書きをそのまま運転手に渡さない、という決まりを最初に置いておきます。

いばらきAIにご相談いただいたら

まとめの節で書いてもらう「配車で気をつけていること」と、日報の写真を何枚か、メールに添えてお送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)で、日報を読み取った集計表の試作と、決まりの一覧から配車の下書きを作る流れをお見せします。

日報の集計から配車の下書きへと、段階を分けて作るのがおすすめです。それぞれの段階で、事務の担当や配車の担当の方に試作を触っていただき、荷主の呼び方や表の列を直してから本番に移します。作るのは、ご相談をうかがったエンジニア(代表)本人です。

荷主が増える、車が入れ替わる、といった変化に合わせた直しや、使い方の問い合わせは、保守として受け付けます。

業務ツールの開発について見る

運送業のAI活用について見る

茨城県の会社のAI導入について見る

まとめ:1週間分の日報を、写真に撮ってみる

  • 茨城は工場も道路も多く、運ぶ仕事の多い県。運輸・倉庫の生成AIの活用は26.7%
  • 最初は日報の集計から。読み取り→呼び方をそろえる→人が印の行を確かめる
  • 配車はAIに下書きを作らせ、決めるのは人。決まりを書き残すことが、休んだ日の備えになる

まずは、1週間分の日報をスマホで撮ってみてください。何枚あるか、荷主や行き先の書き方がどれくらいばらばらかが分かると、集計をAIに任せたときの準備の量が見えてきます。

あわせて、配車の担当に「配車で気をつけていること」を5つだけ書いてもらうのもおすすめです。5つでも書き出されていれば、その担当が休んだ日に助けになり、配車の下書きをAIに作らせるときの最初の材料にもなります。

出典・参考

よくある質問

配車をAIに任せても大丈夫ですか。

下書きを作らせるところまでなら試せますが、決めるのは人です。

AIは、注文と車の空き、書き出した決まりをもとに下書きを作れます。ただ、急な変更や運転手の体調のような事情は入らないので、配車の担当が見て直してから決めます。

運転手が日報を書くのを嫌がります。

書く量を増やさず、撮るだけ・話すだけの形を考えます。

紙の日報の書き方はそのままにして、帰着したら撮るだけにすれば、運転手の手間はほとんど増えません。書き漏れが多い欄は、帰り道にスマホに話して残す形も考えられます。

運行管理のシステムやデジタコがあります。AIは必要ですか。

システムが記録しない部分の手作業が残っていれば、AIが役に立ちます。

デジタコ(デジタル式の運行記録計)は走行の記録を取りますが、荷主ごとの請求の集計や、配車の決まりの記録は別の作業として残っていることが多くあります。いまのシステムの出力をそのまま使い、その先の手作業から見直します。

荷主との待ち時間の話し合いに、集計を使えますか。

使えます。日報に着いた時間と積み始めた時間が書かれていれば、荷主ごとの待ち時間を出せます。

記憶ではなく、日付つきの数字で示せるのが強みです。ただし、読み取りの間違いが混じっていないかを、話し合いの前に元の日報で確かめておきます。

ベテランの配車係が、仕事を取られると感じないか心配です。

配車の決まりを残す作業は、ベテランの知恵を形にする作業だと伝えるのがよいと考えます。

下書きを直すのはベテランで、決めるのも人のままです。ベテランが休める日を作るため、という目的を最初に共有しておくと、協力を得やすくなります。

無料相談

会社名と困りごとを、一言送るだけ

まずは30分、
話を聞かせてください。

時間
30分〜
相談料
無料
場所
オンライン

訪問をご希望の場合はご相談ください。

事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。