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試したAIが、なぜ数か月で使われなくなるのか?

AI導入の失敗を防ぐ|中小企業が試作で止まる理由と先に決める3つ

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 試作で止まる理由は、使う人・人が確かめる所・作ったあと支える人のどれかが決まっていないこと
  • 使う人は「だれが、どの場面で、毎日開くか」まで決める
  • 人が確かめる所を決めないと、確かめの手間が増えて、元のやり方に戻る
  • 作ったあと直す人がいないと、小さな不具合で使われなくなる
チェス盤の上で倒れた駒

取引先への納期の返事を、AIが下書きする試作ができた。社内で見せたときは「これは早い」と声が上がったのに、3か月たって画面を開いているのは、作るのを手伝った1人だけ。ほかの人は、前と同じように返事をいちから書いている。

AIの導入でよく起きるのは、試作が動かないことよりも、動いた試作が毎日の仕事に入らないまま止まることです。試作の出来が悪かったのではなく、試作の外側で決めておくことが抜けていた、という場合が多くあります。

この記事では、試作で止まる3つの理由と、それぞれを防ぐために先に決めておくことを、すぐ使える確かめの手順と一緒にまとめます。

試作で止まる3つの理由

試作は「AIでこの仕事ができるか」を確かめるためのものです。ところが、試作でできることが分かっても、それだけでは毎日の仕事は変わりません。試作から先に進まない理由は、多くの場合、次の3つのどれかです。

試作で止まる3つの理由と、その時に起きていること
理由起きていること先に決めること
使う人が決まっていない作るのを手伝った人だけが使い、ほかの人は前のやり方を続けるだれが、どの場面で、毎日開くか
人が確かめる所が決まっていないAIの結果を全部見直すことになり、かえって手間が増えるどこまでAIに任せ、どこを人が見るか
作ったあと支える人がいない小さな不具合や使いにくさが直らず、少しずつ使われなくなるだれに直してもらうか、どう連絡するか

中小企業基盤整備機構の調査では、AIを入れるうえで妨げになっていることとして「社内の IT/AI ノウハウ不足」(AI:42.0%)が挙がり、入れたあとの課題では「運用担当者の負荷が重い」が3割前後でした。試作を作る力だけでなく、試作を毎日の仕事に入れて回し続ける力が求められていることが分かります。

3つとも、試作を作る前でも決められることです。逆に言えば、試作を作ってから考え始めると、その間に試作への関心が薄れていきます。

試作を作る前に確かめる5つの問い

  1. この仕事を毎日(または毎週)しているのはだれか、名前を言えるか
  2. 試作がうまく動いたら、今のやり方のどの作業をやめるか
  3. AIの結果のうち、間違えたら困るのはどこか
  4. 使っていて困ったとき、だれに言えばよいか
  5. 取引先や品目が変わったとき、だれが直すか

5つのうち答えられない問いがあれば、それが試作で止まる候補です。答えられないまま作り始めても構いませんが、試作を見せる日までに答えを決めておきます。

使う人が決まっていない

「みんなで使えるように」と作った試作ほど、だれのものでもなくなりがちです。使う人は、名前と場面まで決めます。

  • だれが:「営業部」ではなく、「受注の担当の2人」のように人で決める
  • どの場面で:「取引先から納期の問い合わせが来たら」のように、仕事のきっかけで決める
  • 何を置きかえるか:「今まで書いていた返事を、下書きから直す形に変える」と、やめる作業まで決める

3つ目の「やめる作業」が抜けると、新しい道具は「余裕のあるときに使うもの」になります。前のやり方が残っている限り、忙しい日には前のやり方に戻るからです。

作る段階から、使う人に触ってもらう

使う人が決まったら、試作の段階から、その人に触ってもらいます。作る側が想像した使い方と、現場の使い方は、たいてい少しずつずれています。画面のボタンの位置、読み込ませる書類の形、出てきた文の長さ。触った人の一言で直せる所は、作る前に直しておきます。

社長が使う人を決めるときの目安

最初に使う人は、その仕事にいちばん時間を取られている人にします。手間が減ったことを本人がいちばん感じられるので、ほかの人に広げるときの話し手にもなってくれます。

ほかの人に広げる順番

最初の人が毎日使えるようになってから、ほかの人に広げます。一度に全員へ広げると、使い方の質問が同時に集まり、答える人が追いつかなくなります。

  • 最初の人が2週間ほど使い、困った所を直してから次の人へ
  • 次の人には、最初の人が横で使い方を見せる
  • 使い方の質問が出たら、説明の資料に書き足していく

人が確かめる所が決まっていない

AIは間違えることがあります。帝国データバンク水戸支店の茨城県内の調査でも、生成AIの懸念や課題として「情報の正確性」が40.8%に上りました。だからといって、AIの出した結果を毎回すべて見直していては、自分で書くのと手間が変わりません。確かめる所を決めないまま使い始めると、こうした「全部見直し」が起きて、元のやり方に戻ってしまいます。

確かめる所は、間違えたときに困る度合いで決めます。

人が確かめる所の決め方
AIが作るもの間違えたときに困る度合い確かめ方の例
社外に出る文の中の日付・数・金額大きい送る前に、元の記録と1行ずつ見比べる
社外に出る文の言い回し中くらい送る前に担当が読み、気になる所だけ直す
社内向けの要点のまとめ小さい使う人が読んで、おかしければ元に当たる
下書きのたたき台小さい確かめずに、人が仕上げる前提で使う

日付や金額のように、元の記録と照らせる所は、照らす手順を決めておきます。言い回しのように正解が1つでない所は、担当の判断で直してよいことにします。全部を同じ重さで確かめないことが、手間を増やさないこつです。

人の判断が要る仕事は、人に残す

中小企業基盤整備機構の調査では、効率化が難しい仕事として「人の判断が必要な業務(営業提案、顧客折衝など)」を挙げた会社が7割近くありました。判断の要る所までAIに任せようとすると、確かめの手間がふくらみます。AIには材料をそろえるところまでを任せ、判断は人に残す、と決めておくと、確かめる所もはっきりします。

確かめた結果を、短く残す

確かめて直した所は、どこをどう直したかを一言残しておきます。同じ直しが何度も出てくるなら、それはAIへの頼み方か道具の作りを直すべき所です。直しの記録がたまると、確かめる所を減らしてよいか、増やすべきかの判断にも使えます。

作ったあと支える人がいない

使い始めてしばらくすると、小さな困りごとが出てきます。取引先が書類の形を変えた、新しい品目が増えた、新しく入った人が使い方を知らない。どれも小さなことですが、直す人がいないと、その度に「前のやり方のほうが早い」と感じる人が増えていきます。

作ったあと支える人は、次の3つを決めておきます。

  1. 困ったときの連絡先:社内のだれに言えばよいか、作った人にどう連絡するかを、使う人全員が知っている状態にする
  2. 直す人と範囲:不具合や小さな直しはだれが受けるか、大きな作り足しはどう相談するかを決める
  3. 使い方の残し方:説明の資料や動画を用意し、新しく入った人にも渡せるようにする

社内に直せる人がいない場合は、作った人に保守を頼むのが近道です。その場合も、アカウントやデータは自社の名義にしておくと、相手が替わっても道具は手元に残ります。

直してもらうときの伝え方

直す人が社外にいる場合、伝え方で直るまでの早さが変わります。次の4つを一言ずつ添えるだけで、確かめが早く進みます。

  • どの画面で
  • 何をしたときに
  • どうなったか(どうなってほしかったか)
  • 画面の写真や、読み込ませた書類(伏せる所は伏せて)

例:納期の返事の下書きを、試作から毎日の仕事に入れる

冒頭の会社(架空)で、3つを決め直した場合の例です。使う人は受注の担当2人に決め、「納期の問い合わせが来たら、まず下書きを出してから直す」と決めました。確かめる所は、下書きの中の日付と数だけを、出荷の予定表と見比べる形にしました。困ったときは担当の1人が社内の窓口になり、取引先の書き方が変わったときなどは作った人に直してもらう段取りにしました。

例の会社(架空)で、決め直す前と後
決めること決め直す前決め直した後
使う人だれでも使えるように、と全員に案内しただけ受注の担当2人。問い合わせが来たら、まず下書きを出す
やめる作業決めていない(前のやり方も残っていた)返事をいちから書くのをやめ、下書きを直す形にする
人が確かめる所決めていない(全部読み直していた)日付と数だけを、出荷の予定表と見比べる
困ったときの窓口作るのを手伝った1人に、なんとなく聞いていた担当の1人が社内の窓口。書き方の変化は作った人が直す

使い始めの1か月の確かめ方

  1. 使い始める日を決め、その日から前のやり方をやめる
  2. 1週目は、使う人に毎日「使えた・使えなかった」を一言で残してもらう
  3. 使えなかった日は、その理由を1行で書いてもらう
  4. 2週目の終わりに理由を集め、直す所を1つずつ片づける
  5. 1か月たったら、前と比べて手間がどう変わったかを使う人に聞く

「使えなかった理由」は、次に直す所の一覧になります。理由が残っていれば、止まりかけた試作も立て直せます。

いばらきAIにご相談いただいたら

初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)では、止まってしまった試作や、これから試したい仕事をうかがいます。データがあれば、その場でAIを使って動くものを1つお見せします。

AX推進顧問では、月2回の定例で、任せる仕事と順番を決めるときに、使う人と人が確かめる所も一緒に決めます。道具を作るときは、話を聞いたエンジニアがそのまま作り、使う方に試作を触っていただきながら直します。道具と一緒に、説明のスライドと説明の動画もお渡しします。

作ったあとは保守として、不具合の対応・小さな直し・問い合わせの窓口をお引き受けします。アカウントは御社の名義で作るので、作ったものは御社の手元に残ります。

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まとめ:試作を作る前に、使う人の名前を書く

  • 試作で止まる理由は、使う人・人が確かめる所・支える人のどれかが決まっていないこと
  • 使う人は名前と場面、やめる作業まで決める
  • 確かめる所は、間違えたときに困る度合いで分ける
  • 作ったあとの連絡先と直す人を、使い始める前に決める

まずは、試してみたい仕事を1つ選び、その横に「毎日使う人の名前」と「人が確かめる所」を書いてみてください。2つが書ければ、試作から先に進む準備ができています。

出典・参考

よくある質問

一度止まった試作は、作り直すしかありませんか。

作り直さずに済む場合もあります。止まった理由が、使う人や確かめる所が決まっていなかったことなら、試作はそのまま使えます。

使っていた人に、使わなくなった理由を一言ずつ聞くところから始めてください。理由が分かれば、直す所が見えてきます。

社員がAIの結果を信用せず、使ってくれません。

確かめる所を決めると、使いやすくなります。どこを見ればよいかが分からないと、全部を疑うことになるためです。

日付や金額のように照らせる所は照らす手順を決め、言い回しは担当の判断で直してよい、と伝えます。

社内にITに詳しい人がいなくても、使い続けられますか。

続けられます。詳しい人の代わりに、困ったときの連絡先と、直してもらう相手を決めておきます。

説明の資料や動画を用意しておけば、新しく入った人にも使い方を渡せます。

試作の段階で、何を確かめればよいですか。

AIがその仕事をこなせるかに加えて、使う人が毎日開けそうかを確かめます。使う人本人に触ってもらうのがいちばんの確かめです。

触った人の「ここが使いにくい」という一言は、作り込む前に直しておきます。

AIの導入がうまくいったかは、どう判断すればよいですか。

使う人が毎日使っているか、前と比べて手間が減ったかの2つで見ます。試作がよく動くかどうかだけでは判断しません。

使い始める前に、今の仕事にかかっている時間を書き留めておくと、あとで比べられます。

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事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

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  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。