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入れたシステムが、なぜ現場で使われないのか?

業務システムが使われない会社へ|AIは先に動く見本で確かめる

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 使われない理由の多くは、入力の手間が増えた・現場の流れと順番が違う・困った時に聞く先が無い、のどれか
  • 今のツールは、やめる前に「誰が・どの画面で・どこで止まったか」を現場に聞いて確かめる
  • 次に作るときは、仕様書だけで決めず、動く見本を現場の人に触ってもらってから作り込む
  • 作ったあとも、使いながら直せる体制を決めておく
古いブラウン管のパソコン

時間をかけて選び、説明会も開いて入れた業務システム。ところが数か月たつと、現場では結局、前と同じ紙やExcelで仕事が回っている。システムには誰も入力しておらず、利用料だけが毎月出ていく。そんな状態に心当たりはありませんか。

使われないのは、現場の人のやる気が足りないからとは限りません。多くの場合、ツールの形と、現場の仕事の流れが合っていないことが原因です。そして、その合わなさは、使い始めてから初めて分かることがほとんどです。

この記事では、業務システムが使われなくなる理由と、今あるツールの見直し方、そして次に作るときに、動く見本で先に確かめてから作る進め方を説明します。

使われなくなる理由

業務システムが使われなくなる理由は、会社ごとにさまざまに見えて、実はいくつかの形にまとまります。自社に当てはまるものがないか、表で確かめてみてください。

業務システムが使われなくなる主な理由
理由現場で起きていること現場に聞くと出てくる言葉
入力の手間が増えた紙に書いたあと、同じことをシステムにも入れている「紙のほうが早い」「二度手間になる」
仕事の順番と画面の順番が違う現場の流れに合わない順で入力を求められる「先にここを入れないと進めない」
現場の言葉と画面の言葉が違う品名や作業の名前が、ふだんの呼び方と違う「どれを選べばいいか分からない」
その場で使えない倉庫や現場ではパソコンを開けず、あとでまとめて入れることになる「事務所に戻ってから入れる」
困ったときに聞く先が無い分からない所があると、使うのをやめて前のやり方に戻る「誰に聞けばいいか分からない」
使う理由が伝わっていない入力しても、その結果を誰が何に使うのかが見えない「入れても何も変わらない」

本当に使われていないかを確かめる

「使われていない気がする」という段階なら、まず事実を確かめます。見るのは、次の3つです。

  • 入力の数:ここ1か月で、ツールに入った件数は、本来入るはずの件数のどのくらいか
  • 使っている人:入力している人が、特定の1人か2人に偏っていないか
  • 紙やExcelの残り:ツールを入れる前の紙やExcelが、今も同じように書かれていないか

入力の数が少なく、紙やExcelが今も書かれているなら、ツールは使われていないと見てよいでしょう。1人だけが入力している場合は、その人が無理をして支えていることがあり、その人が抜けたときに止まります。

どの理由も、ツールを選ぶときの説明や仕様書だけでは見えにくいものです。画面の一覧や機能の表では「できる」と書いてあっても、現場の人が実際の仕事の中で使えるかは、別の話だからです。

既製のツールが合いにくい仕事

既製のツールは、多くの会社に共通する仕事の流れに合わせて作られています。そのため、次のような仕事では、ツールの側に仕事を合わせる無理が出やすくなります。

  • 取引先ごとに書類の形や決まりが違い、例外の扱いが多い仕事
  • 現場の呼び方や、長年の手順がそのまま仕事の質につながっている仕事
  • 倉庫や作業場など、パソコンの前にいない人が入力する仕事

使い続けることの難しさは、調査にも表れています。中小企業基盤整備機構の調査では、AIなどを入れたあとの運用の課題として、「運用担当者の負荷が重い」が3割前後にのぼりました。入れたあと、誰がどう支えるかまで決めておかないと、ツールは使われなくなりやすいということです。

今のツールを見直す前に、現場の流れを聞く

使われていないツールを前にすると、「別のツールに替えよう」と考えがちです。ただ、なぜ使われなかったのかを確かめないまま替えると、次のツールでも同じことが起きます。まずは現場の流れを聞き、どこで止まったのかを確かめます。

  1. そのツールを使うはずだった人を2〜3人選ぶ(役職の高い人より、毎日その仕事をしている人)
  2. 「ツールを入れる前、その仕事をどんな順番でやっていたか」を、1日の流れで話してもらう
  3. 「今は、その仕事をどうやっているか」を同じように話してもらう
  4. 2つの流れを並べ、ツールを使うはずだった所で、何が起きているかを書き出す
  5. 止まった所ごとに、上の表のどの理由に近いかを当てはめる
  6. 「直せば使える所」と「仕事の流れと根本から合わない所」に分ける
例:聞き取りを並べた書き出し(架空の内容)
場面ツールを入れる前今止まった所
朝の段取り事務所のホワイトボードで今日の作業を確かめるホワイトボードのまま作業場ではツールの画面を開けない
作業の記録紙の作業票に書く紙に書き、夕方に事務の人がツールに入れる二度手間になっている
日報の提出作業票を社長の机に置く作業票を社長の机に置くツールで日報を見る人がいない

直す・替える・作り直すの分け方

  • 直す:止まった所が、項目の多さや呼び方など、設定で変えられる所だけのとき
  • 替える:仕事の流れは一般的で、今のツールだけが合っていないとき(ほかの既製のツールで足りる)
  • 作り直す:自社の仕事の順番や言葉が独特で、既製のツールでは合わせきれないとき

聞くときは、「なぜ使わないのか」と問い詰める聞き方を避けます。責められていると感じると、本当の理由が出てきません。「前のやり方の、どこが便利だったか」を聞くと、ツールに足りないものが見えてきます。

設定を変えれば使える場合もある

画面の項目を減らす、呼び方をふだんの言葉に変える、といった設定の見直しで使われるようになることもあります。替える前に、今のツールで変えられる所がないかも確かめてください。

動く見本で確かめてから作る

今のツールが仕事の流れと根本から合わないと分かったら、自社の流れに合わせた道具を作ることも選べます。そのときに大切なのが、作り込む前に、動く見本で確かめることです。

これまでの業務システムづくりは、先に仕様書を固め、その通りに作って、できあがってから現場が初めて触る、という順番が多くありました。この順番だと、「使ってみたら違った」と分かるのが最後になり、直すのにも時間がかかります。

仕様書で決めてから作る進め方と、動く見本で確かめてから作る進め方
比べる所仕様書で決めてから作る動く見本で確かめてから作る
現場の人が初めて触るときできあがったあと作り始めてすぐ
合わない所が分かるとき使い始めてから見本を触った時点
直し方仕様書を直して作り直す見本を直して、もう一度触ってもらう
決める人主に、仕様書を読める人毎日その仕事をする人も加わる

仕様書が要らなくなるわけではありません。決めたことを書き残す役目は残ります。順番を入れかえ、見本で確かめた結果を書き残す、と考えると分かりやすいでしょう。

AIを使うと、動く見本を作る時間が短くなりました。話を聞いてすぐに、画面と動きのある見本を用意できるので、現場の人に触ってもらい、合わない所を早いうちに直せます。

見本は、いちばん毎日使う1画面から

動く見本は、最初から全部の機能をそろえる必要はありません。現場の人が毎日いちばん使う画面を1つだけ作り、そこで入力の手間と順番が合っているかを確かめます。その1画面が使えると分かってから、ほかの画面を足していきます。

見本を触ってもらう人は、その仕事を毎日している人にします。社長や管理職が触って「よさそうだ」と決めても、毎日入力する人が使いにくければ、また同じことが起きます。

見本を触ってもらうときに見ること

  • 説明しなくても、最初の画面で何をすればよいか分かるか
  • ふだんの仕事の順番どおりに入力できるか
  • 現場(倉庫や作業場)で、手元のスマートフォンやタブレットで使えるか
  • 紙のときより、入力の手間が増えていないか

実例:在庫管理のツールを作り直した話

いばらきAIの実例を1つ紹介します。会社名は伏せています。

実例:在庫管理のツールを作り直した話

県内の企業で、別のコンサル会社が3か月かけて入れた在庫管理のツールが、使いにくさから現場で採用されませんでした。在庫管理アプリを1週間で作り、即日本番運用を開始。現在も毎日、全社員向けのツールとして使っていただいています。

この例で、前のツールが使われなかった理由は「使いにくさ」でした。かけた期間が長くても、現場で使いにくければ、ツールは採用されません。

前のツールにかけた時間や費用を思うと、作り直すことに迷いが出るかもしれません。ただ、使われないツールを使い続けても、手間は減りません。どこで止まったかを確かめたうえで、使える形に変えることを考えるほうが、現場の手間は早く減ります。

ツールが使われるかどうかを分けるのは、時間をかけたかどうかより、現場の人が使える形になっているかどうかです。どの会社でも同じ期間で作れるわけではありませんが、動くものを早く現場に見せる進め方は、どの道具づくりにも使えます。

作ったあとも使われ続けるために

使い始めた直後は使われていても、しばらくすると前のやり方に戻ってしまうことがあります。使われ続けるために、作る前に次のことを決めておきます。

  • 困ったときに聞く先:使い方の質問や不具合を、誰に伝えればよいか
  • 小さな直しの受け方:「この項目を足したい」といった声を、どう集めてどう直すか
  • 使い方の残し方:新しく入った人に、何を見せれば使い方が伝わるか
  • 使う理由の伝え方:入力した結果を、誰が何に使っているか(集計を社長が見ている、など)

使い始めの1か月にすること

  1. 使い始める日を決め、その日から紙やExcelを並行して書くのをやめる日も決めておく
  2. 最初の1週間は、使う人から毎日一言ずつ、困った所を集める
  3. 集めた声のうち、すぐ直せる小さなものから直し、直したことを使う人に伝える
  4. 1か月たったら、入力の数と、紙やExcelが残っていないかを確かめる

並行して紙も書く期間を決めずに始めると、慣れた紙のほうに戻りやすくなります。終わりの日を決めておくことが、前のやり方に戻らないための助けになります。

とくに、入力した結果がどう生かされているかが見えると、現場の人にとって入力が「やらされる作業」ではなくなります。集計の結果を朝礼で見せる、在庫の数を全員が同じ画面で見られる、といった形で、入力した人に結果を返すことが大切です。

いばらきAIにご相談いただいたら

初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。使われていないツールと、今の仕事のやり方をうかがい、どこで止まっているかを一緒に整理します。その場でAIを使って、動くものを1つお見せします。

AX推進顧問では、月2回の定例で現場の流れを知り、AIを使える仕事の一覧と取り組む順番を決めます。今のツールを直して使うか、作り直すかも、ここで一緒に考えます。

作り直すと決まったら、お話をうかがったエンジニア(代表)が、そのまま開発します。試作を現場の方に触っていただきながら直し、使える形にしてから本番に移ります。道具と一緒に、説明のスライドと説明の動画をお渡しし、アカウントは御社の名義で作ります。作ったあとの不具合の対応・小さな直し・問い合わせの窓口は、保守としてお引き受けします。

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まとめ:使っていない人に、前のやり方の便利さを聞く

  • 使われない理由は、手間・順番・言葉・使う場所・聞く先・使う理由のどれかに近いことが多い
  • 替える前に、現場の流れを聞いて、どこで止まったかを確かめる
  • 次に作るときは、動く見本を現場の人に触ってもらってから作り込む
  • 困ったときに聞く先と、小さな直しの受け方を、作る前に決める

まずは、そのツールを使うはずだった方に、「前のやり方の、どこが便利だったか」を1つ聞いてみてください。そこに、次の道具に要るものが入っています。

出典・参考

よくある質問

作り直すと、今のツールに入っているデータはどうなりますか。

今のツールからデータを取り出せるかを、作り直す前に確かめます。取り出せれば、新しい道具に移せるかを試作の段階で試します。

使われていなかったツールでは、データが途中までしか入っていないこともあります。その場合は、紙やExcelに残っている記録とあわせて、どこから使うかを決めます。

ツールが使われないのは、社員のやる気の問題ではないのですか。

やる気だけの問題であることは少ないです。多くは、入力の手間が増えた、仕事の順番と画面の順番が違う、といったツールの側の合わなさが原因です。

使っていない方に、前のやり方のどこが便利だったかを聞くと、ツールに足りないものが見えてきます。

使われていないツールは、すぐやめたほうがいいですか。

すぐやめる前に、なぜ使われないかを確かめてください。設定の見直しで使われるようになることもあります。

確かめないまま別のツールに替えると、同じ理由でまた使われなくなることがあります。

今の業務システムの一部だけを作り直すことはできますか。

できます。使われていない所だけを、現場の流れに合わせた道具に置きかえる方法もあります。

今のシステムとどうつなぐかは、試作を見ながら一緒に決めます。

現場の人がパソコンに慣れていません。

慣れていない方が使えるかを、動く見本の段階で確かめます。画面の項目を絞る、スマートフォンで使える形にするなど、使う方に合わせて直します。

道具と一緒に説明の動画もお渡しするので、あとから入った方にも使い方を伝えられます。

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  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
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