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作った道具が止まったら、誰がどう直すのか?

業務ツールの保守で決めておくこと|作った道具を止めないために

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • ツールが止まる原因の多くは、作ったあとの変化(使う人・データ・外のサービス)にある
  • 保守で決めることは「範囲」「連絡の仕方」「名義」「渡してもらう資料」の4つにまとめられる
  • 項目を1つ足すような直しは保守、仕事の流れが変わる作り足しは開発として分けて頼む
  • 作った人がいなくなる心配には、アカウントの名義と説明の資料で備える
スパナとドライバー

月曜の朝、出荷の担当の方から「画面が開かない」と電話が入る。作ってくれた人の連絡先を探しても、名刺が見当たらない。そもそも、直してもらうのにいくらかかるのか、どこまで頼んでよいのかも決めていなかった。業務ツールを入れた会社で、ときどき起きることです。

ツールは、作った日がいちばん新しい状態です。使う人が増え、扱う品目が増え、つないでいる外のサービスが変わるうちに、少しずつ合わなくなっていきます。保守は、そのずれを小さいうちに直すための約束です。

この記事では、ツールが止まるのはどんなときか、保守で決めておくこと、小さな直しと新しい機能の分け方、作った人がいなくなったときの備えを、作る前に決めておける形で説明します。

業務ツールが止まるのはどんなときか

作った直後に問題なく動いていたツールでも、使い続けるうちに止まったり、おかしな動きをしたりします。原因は、作りの悪さよりも、作ったあとの変化であることが多いです。

止まる原因になりやすい変化

  • 使う人が増えた:3人で使う想定のツールを、20人で同時に開くようになった
  • データが増えた:1年分の記録で作った一覧が、3年分になって表示が遅くなった
  • つないでいるサービスが変わった:AIや表計算のサービスの仕様や料金の形が変わった
  • 仕事のやり方が変わった:取引先が増えた、伝票の書式が変わった、新しい商品の区分ができた
  • パソコンやスマートフォンが替わった:新しい機種や更新後の画面で、ボタンが押しにくくなった

AIを使ったツールでは、つないでいるAIのサービスが更新されて、同じ頼み方でも答えの形が少し変わることがあります。動いてはいるのに、表の列がずれる、要約が長くなる、といった形で出てきます。気づくのは、毎日使っている現場の方です。

運用の悩みは、どこの会社にもある

中小企業基盤整備機構の調査(令和8年3月)では、AIを導入した中小企業が挙げた導入後の運用課題は、「ランニングコストが高い」が44.0%で最も高く、次いで「運用担当者の負荷が重い」(29.1%)、「従業員による活用が進まない」(28.9%)の順でした。

入れたあとの手間は、多くの会社が感じています。保守を決めておくのは、その手間を社内のだれか一人に背負わせないためでもあります。

利用料と使う量を、月に一度見る

調査で最も多かった「ランニングコストが高い」は、使い始めてから気づくことが多い悩みです。AIや表計算のサービスの利用料は、使う人の数や、AIに読ませる量で変わるものがあります。

月に一度、請求の明細と、ツールを使った回数や人数を並べて見る担当を決めておきます。急に増えた月があれば、使い方が変わったのか、設定に無駄があるのかを、作った人と一緒に確かめます。使っていない人のアカウントが残っていないかも、このときに見ます。

止まったときの「代わりの手順」を決めておく

保守を頼んでいても、直るまでのあいだ仕事は待ってくれません。ツールが止まった日に、何で仕事を回すかを先に決めておくと、現場があわてずに済みます。

たとえば、入出庫を記録するツールなら「止まったら、紙の記録表に書き、直ったあとでまとめて入れる」。AIで文面の下書きを作るツールなら「止まったら、前回の文面をコピーして手で直す」。代わりの手順は、ツールを作る前の、紙やExcelで回していたころのやり方であることが多いです。

代わりの手順を書いた紙を1枚、ツールを使う場所に貼っておきます。止まった日にそれを見れば、「どうしよう」で手が止まる時間は短くなります。

保守で決めておくこと

保守の約束は、細かく見えても、決めることは大きく4つです。作る前の打ち合わせで、次の表の左の列を1つずつ確かめておくと、あとで困りません。

保守で決めておくことと、確かめる問い
決めること確かめる問い決めていないと起きること
範囲不具合の対応・小さな直し・使い方の質問のうち、どれを頼めるか「これは保守ですか」のやり取りで、直るまでが遅れる
連絡の仕方だれが、何で、どんな情報を添えて連絡するか電話で口頭だけ伝わり、どの画面の話か分からない
名義ツールとAIのアカウントは、だれの名義で作られているか作った人と連絡が取れなくなると、中身を開けない
渡してもらう資料使い方の説明、画面ごとの説明、操作の動画はあるか新しく入った人に教えられるのが、一人の社員だけになる
見直しの時期保守の中身を、いつ、だれと見直すか使い方が変わっても、最初の約束のまま続く

連絡の仕方は、書く中身まで決めておく

不具合の連絡は、「動かない」だけでは確かめに時間がかかります。社内で連絡の書き方をそろえておくと、直る早さが変わります。

  1. どの画面で(ツールの名前と、開いていた画面)
  2. 何をしたときに(押したボタン、入れた内容)
  3. どうなったか(止まった、表示が違った、文字が出た)
  4. いつからか(今日から、先週の更新のあとから)
  5. 画面の写真(スマートフォンで撮ったもので十分)

例:連絡のひな形を1つ置いておく

例として、社内のチャットやメールの下書きに「画面/したこと/起きたこと/いつから」の4行のひな形を置いておきます。担当の方は埋めて送るだけです。受ける側も、どこを見ればよいかがすぐに分かります。

社内の窓口役を1人決める

現場の何人もが、思い思いに作った人へ連絡すると、同じ不具合が3回届いたり、反対の頼みごとが別々に届いたりします。社内で「ツールのことはこの人に集める」という窓口役を1人決めておくと、連絡が整理されます。

窓口役は、パソコンに詳しい人である必要はありません。現場の声を聞いて、ひな形に沿って書き直し、送る役目です。総務の方や、そのツールをいちばん使う部署の責任者が向いています。休みのときに代わる人も、あわせて決めておきます。

AIを使ったツールは「答えの見本」を残す

AIを使ったツールには、ほかのツールにない確かめ方があります。いつも入れる内容と、そのときに返ってきてほしい答えを、3〜5組ほど見本として残しておくことです。

例として、注文のメールから品名と数量を抜き出すツールなら、実際に届いたメールを3通選び、正しい抜き出し結果と一緒に保存しておきます。AIのサービスが更新されたと聞いたら、その3通を入れ直して、同じ答えが返るかを見ます。違っていれば、頼み方を直す合図です。

この見本は、保守を頼む側にも、受ける側にも役に立ちます。「なんとなくおかしい」ではなく、「この見本で、この欄がずれた」と伝えられるからです。

小さな直しと新しい機能の分け方

保守の話でいちばんもめやすいのが、「この直しは保守の中か、別の依頼か」です。分け方の目安は、仕事の流れが変わるかどうかです。

頼みたいことの例と、どちらに当たるかの目安
頼みたいこと(例)仕事の流れは変わるか目安
一覧に「担当者」の欄を1つ足したい変わらない小さな直し
ボタンの文字を分かりやすくしたい変わらない小さな直し
新しい取引先の伝票の書式にも対応したい少し変わる内容を見て相談
承認の段階を1つ増やしたい変わる作り足し(開発)
別の部署でも使えるようにしたい変わる作り足し(開発)
ほかのシステムとつないで、自動で取り込みたい変わる作り足し(開発)

「内容を見て相談」の行のように、どちらとも言える頼みごともあります。そのときに迷わないよう、「迷ったら一度相談して、見積もりを見てから決める」と社内で決めておくのが現実的です。

例:「欄を1つ足す」が作り足しになるとき

例として、日報のツールに「現場名」の欄を足すだけなら小さな直しです。ところが、その現場名ごとに月の合計を出して、社長に毎週届けたいとなると、集計と送る仕組みが新しく要ります。頼む言葉は似ていても、中身は作り足しです。頼むときは「何のために足したいか」まで書くと、どちらに当たるかが早く分かります。

小さな直しをためすぎない

小さな直しは、1つずつは小さくても、ためると使いにくさが積み重なります。現場の方が「まあいいか」と我慢しているうちに、紙やExcelに戻ってしまうこともあります。月に一度、気になっていることを集めて送る日を決めておくと、我慢がたまりません。

3か月ごとに、保守の中身を見直す

保守の約束は、作った日の使い方を前提に決めています。使い方が変われば、頼みたいことも変わります。3か月に1回ほど、窓口役と作った人とで、次のことを確かめる時間をとると、約束と実際のずれが小さく保てます。

  1. この3か月に届いた連絡を並べ、多かった種類を見る(不具合か、使い方の質問か、直しの頼みか)
  2. 使う人の数と、扱うデータの量が、作ったときからどれだけ増えたかを見る
  3. 現場で我慢している使いにくさが残っていないか、窓口役が聞いてくる
  4. 次の3か月で直すものと、作り足しとして相談するものに分ける

使い方の質問が多ければ、説明の動画を足すほうが早いかもしれません。直しの頼みが多ければ、仕事の流れそのものが変わり始めている合図です。数を見ると、次に打つ手が選びやすくなります。

作った人がいなくなったら

外に頼んで作ったツールで、社長がいちばん心配されるのがここです。作った人が辞めた、連絡が取れなくなった、という話は珍しくありません。備えは、作る前に決めておく3つです。

  1. アカウントを自社の名義で作ってもらう:ツールを置いている場所、AIのサービス、表計算のサービスの契約を、御社の名義にしておきます。
  2. 説明の資料を受け取る:画面ごとに何をするかの説明と、操作の動画をもらっておきます。
  3. 中身の置き場所を一覧にしておく:どのサービスに、どのアカウントで、何が入っているかを1枚にまとめ、社内の決まった人が持っておきます。

この3つがそろっていれば、作った人と連絡が取れなくなっても、ツールは手元に残ります。別の人に直してもらうときも、資料と一覧が出発点になります。

例:アカウントの一覧の書き方

例として、表に「サービスの名前/何に使っているか/名義/ログインできる社内の人」の4列を作ります。行は、ツールの置き場所、AIのサービス、データの保存先などです。パスワードそのものは書かず、社内の決まった方法で別に管理します。

データを取り出せるかも確かめる

もう1つ見落としやすいのが、ツールに入れた記録を、表の形で取り出せるかどうかです。取り出せれば、ツールを作り直すときも、ほかのツールに移すときも、これまでの記録を持っていけます。

作る前の打ち合わせで「入れた記録は、Excelで開ける形で取り出せますか」と一言聞いておきます。取り出す手順も、説明の資料に入れてもらうと安心です。

別の人に頼むときに渡すもの

それでも作り手を替えることになったら、新しく頼む人に次の4つを渡します。これだけで、中身を一から調べ直す時間がかなり減ります。

  • アカウントの一覧(名義とログインできる社内の人)
  • 説明のスライドと操作の動画
  • 取り出した記録(Excelで開ける形)
  • これまでの連絡と直しの記録(窓口役が残したもの)

最後の「直しの記録」は、窓口役がメールを1つのフォルダにまとめておくだけで十分です。何が、いつ、なぜ変わったかが分かると、新しい人は同じ失敗をくり返さずに済みます。

いばらきAIにご相談いただいたら

いばらきAIの保守では、いばらきAIが作った業務ツールについて、不具合の対応、小さな直し、問い合わせの窓口をお引き受けします。機能の大きな作り足しや新しい道具づくりは、開発としてご相談のうえでお見積もりします。

アカウントはお客さまの名義で作り、作ったものはお客さまのものです。道具と一緒に説明のスライドと説明の動画をお渡しするので、使い方も社内に残ります。保守のご契約のあいだは、作った本人が続けて支えます。

連絡はメールでお送りください。どの画面で、何をしたときに、どうなったかを一言添え、画面の写真があれば一緒にお送りいただくと、確かめが早く進みます。保守の内容は、どこまで任せたいかをうかがって決めます。

保守について見る

まとめ:作る前に、保守の4つを決めておく

  • 止まる原因は、作ったあとの変化にあることが多い
  • 範囲・連絡の仕方・名義・渡してもらう資料を、作る前に決める
  • 仕事の流れが変わる直しは、保守ではなく作り足しとして相談する
  • アカウントの一覧を1枚作り、社内の決まった人が持つ

まずは、いま使っているツールについて、アカウントの名義がだれになっているかを確かめてみてください。分からなければ、それが最初に決めることです。これから作る予定なら、打ち合わせの前に、この記事の表の左の列を印刷して持っていくと、聞き漏らしが減ります。

出典・参考

よくある質問

いばらきAI以外で作ったツールの保守も頼めますか。

いばらきAIの保守は、いばらきAIが作った道具が対象です。中身を知らない道具は、直すにも確かめるにも時間がかかるためです。

ほかで作ったツールが使いにくい、止まりがちといったご相談は、メールでお送りください。作り直しが合うかどうかも含めて、ご相談の場でうかがいます。

保守を頼まないと、ツールは使えなくなりますか。

使えなくなるわけではありません。アカウントがお客さまの名義なら、保守を頼まなくてもツールは手元に残ります。

ただ、つないでいるサービスの変化などで、いずれ直しが必要になることはあります。そのときに頼める先を決めておくのが、保守の役目です。

直してほしいことは、すぐに対応してもらえますか。

どのくらいで直せるかは、中身によって変わります。止まって仕事が進まないものから先に確かめます。

どの画面で何が起きたかを添えて連絡いただくと、確かめが早く進みます。急ぎかどうかも一言添えてください。

AIの答えがおかしくなったときも、保守で見てもらえますか。

見ます。AIのサービスが更新されて、答えの形が変わることがあるためです。

おかしいと感じた答えと、そのとき入れた内容を一緒に送っていただくと、頼み方の直しで済むかどうかを確かめられます。AIは間違えることがあるので、数字や判断に関わる所は、人が確かめる手順を残した形で作っています。

保守は、ツールを作ってすぐに頼むものですか。

使い始めと同時に決めておくのがおすすめです。使い始めの数週間に、小さな直しや使い方の質問がいちばん多く出るためです。

どこまで任せたいか、社内でどこまで受け持てるかによって、保守の中身は変わります。作る前の打ち合わせで、あわせてご相談ください。

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事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

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  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
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  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。