社内の決めごとと学び方公開 約10分で読めます

受けたあとも使われる研修は、どう選べばいいのか?

社員向けAI研修の選び方|一般の講座と、ふだんの事務を題材にした研修

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 研修のあと使われない理由は、題材が仕事と遠い・1回きり・使う環境がない、のどれかが多い
  • 研修には、動画・1日の講座・公開講座・少人数で回を重ねる研修などがあり、目的で選ぶ
  • 選ぶときは、題材・回数・人数・研修のあとに残るもの、を確かめる
  • 研修のあとは、頼み方の見本・社内ルール・相談できる人を社内に残す
机と椅子が並ぶ明るい教室

去年、社員を外部のAIの講座に送った。受けた直後は「便利そうですね」と言っていたのに、3か月たって聞いてみると、仕事で使っている人はほとんどいない。今年も研修の予算を取るよう言われたけれど、同じことになるのではないか。研修を任された担当の方から、よく聞く悩みです。

研修の中身が悪かったとは限りません。研修で習ったことと、自分の毎日の仕事との間に距離があると、学んだことは仕事に移りません。選ぶときに、その距離を縮められる研修かどうかを見ることが大事です。

この記事では、研修のあと使われなくなる理由、研修の種類と向く会社、選ぶときに確かめる問い、ふだんの事務を題材に学ぶ流れ、研修のあとに社内に残すものを説明します。

研修のあと使われない理由

社員の教育や研修を求める声は大きく、中小企業基盤整備機構の調査(令和8年3月)でも、中小企業がAIやITの導入にあたって求める公的な支援として、「従業員向けの教育・研修」を「必要である」とした割合は67.7%でした。研修の必要は、多くの会社が感じています。問題は、受けたあとに使われるかどうかです。

研修のあとAIが使われなくなる理由は、たいてい次の5つのどれかです。研修を選ぶ前に、去年の研修がどれに当たったかを振り返っておくと、選ぶ基準がはっきりします。

研修のあと使われない理由と、選ぶときに見る所
使われない理由よくある姿選ぶときに見る所
題材が自分の仕事と遠い講座の例は「旅行の計画を立てる」だった。自分の請求書の仕事にどう使うか分からない演習の題材が、ふだんの事務から選ばれるか
1回きり1日で多くのことを習い、翌週には忘れている回を分けて、間に自分で試す時間があるか
使う環境がない会社のアカウントがなく、何を入れてよいかも決まっていない研修の前に、使うサービスと社内の決まりを用意できるか
聞ける人がいない試してうまくいかなかったとき、相談する相手がいない研修の間や後に、質問できる場があるか
上の人が使っていない部長が使わないので、使っていると遊んでいるように見える管理職も一緒に受ける、または内容を知っているか

表の3つ目と5つ目は、研修の中身ではなく、会社の側で用意することです。どんなによい研修を選んでも、会社のアカウントがなく、入れてよい情報が決まっていなければ、社員の方は安心して使えません。研修の申し込みと同時に、使う環境を整えておきます。

生成AIの社内ルールの作り方

研修の種類と向く会社

AIの研修には、いくつかの形があります。どれがよい、悪いではなく、目的と会社の事情で選びます。

AI研修の主な形と、向く会社(目安)
研修の形よいところ気をつける所向く会社
動画で学ぶ講座好きな時間に、何人でも受けられる見て終わりになりやすい。質問しにくいまず全員に基本を知ってほしい会社
1日の集合講座短い期間で、まとめて学べる量が多く、忘れやすい。題材が一般的になりやすいAIが何かを、最初に知ってもらいたい会社
県や支援機関などの公開講座他社の人と一緒に学べる。参加しやすい題材は自社の仕事ではない。参加できる人数が限られる担当者1〜2人に先に学んでもらいたい会社
少人数で回を重ねる研修回の間に自分の仕事で試せる。質問しやすい期間がかかる。一度に受けられる人数は少ない実際の仕事で使える人を、数人ずつ育てたい会社
社内の勉強会自社の仕事の話ができる。気軽に始められる教える人がいないと続かないすでに使いこなしている社員がいる会社

1つに決める必要はありません。たとえば、まず動画で全員に基本を知ってもらい、そのうち実際に使う部署の数人に、回を重ねる研修を受けてもらう、という組み合わせもよくあります。研修のあとは、その数人が社内の勉強会で教える側に回ります。

社内の勉強会は、短く、決まった日に

社内の勉強会は始めやすい反面、教える人の負担が大きく、数回で止まりがちです。続けるには、1回30分、月に1回、決まった曜日、と小さく決めます。中身も「先月うまくいった使い方を1人1つ見せる」のように、準備のいらない形にします。

教える人を1人に固定しないことも大事です。毎回、違う人が1つずつ見せる形にすれば、教える側の負担が分かれ、見せる側に回った人の使い方も深まります。

選ぶときに確かめる問い

  1. 演習の題材は何か。メールの返事、議事録、日報のような、ふだんの事務から選ばれるか
  2. 何回に分かれているか。回の間に、自分の仕事で試す時間があるか
  3. 1回に何人で受けるか。一人ひとりが質問できる人数か
  4. 研修の間や後に、質問できる場はあるか
  5. 研修で使うAIのサービスは、会社で使うものと同じか。入れてよい情報の扱いに触れるか
  6. 研修が終わったときに、受けた人の手元に何が残るか(頼み方の見本、作ったものなど)

6つ目の問いが、見落とされやすいわりに大事です。研修の資料だけが残るのか、受けた人が自分の仕事で使った頼み方の見本が残るのかで、研修のあとに使われるかどうかが変わります。

ふだんの事務を題材に学ぶ流れ

研修で学んだことを仕事に移すいちばんの近道は、演習の題材を、受ける人がふだんしている事務から選ぶことです。メールの返事、会議の議事録、日報のまとめ、請求書の確かめといった、どの部署にもある仕事が題材になります。

題材が身近だと、研修の場で作ったものが、そのまま翌日の仕事で使えます。「旅行の計画」で頼み方を覚えた人は、自分の仕事に置きかえる一歩が要りますが、「取引先へのお詫びのメール」で覚えた人は、その一歩がいりません。

部署ごとの、演習の題材になりやすい事務(例)
部署題材になりやすい事務
営業問い合わせへの返事、見積書に添える文、訪問の記録のまとめ
総務社内のお知らせ、会議の議事録、よくある質問への答え
経理請求書と納品書の突き合わせ、取引先への確認のメール
現場・製造日報のまとめ、作業の手順の書き起こし、引き継ぎのメモ

研修を選ぶときには、受ける人の部署を伝え、題材がこうした事務から選ばれるかを聞いておきます。研修の側で題材を選ぶ場合でも、自社の部署に近い題材があるかどうかで、持ち帰りやすさが変わります。

回を重ねる意味

AIの使い方は、一度にたくさん習うより、1つずつ身につけるほうが残ります。1回の研修で1つの使い方を学び、次の回までの間に自分の仕事で何度か試す。次の回では、試してうまくいかなかった所を持ち寄って直す。このくり返しで、研修の場の知識が、仕事の手順に変わっていきます。

例:回を重ねる研修の組み立て

例として、全6回の研修なら、1回目に頼み方の基本をメールの返事で、2回目に要約を議事録で、3回目に表の整理を日報で、4回目に数字の確かめを請求書で、5回目に文の書き分けをお知らせの文で学び、6回目に、それまでの回で作った頼み方を自分の仕事用にまとめる、といった並べ方があります。回ごとに題材が違うので、受ける人の部署が違っても、どこかの回が自分の仕事に重なります(組み立ては説明のための例です)。

回の間の「宿題」を小さくする

回の間に試す宿題は、小さいほど続きます。「次の回までに、自分のメールの返事を3通、AIで下書きしてみる」くらいで十分です。試した結果は、うまくいったものも、いかなかったものも、次の回に持ってきてもらいます。うまくいかなかった例ほど、学びが大きくなります。

宿題で扱う書類は、社内ルールで決めた「入れてよい情報」の範囲にします。お客さまの名前を伏せてから試す、という手順も、宿題の中でくり返すと身につきます。

管理職も、少なくとも中身を知っておく

表の5つ目の理由「上の人が使っていない」は、研修を受けた人が職場に戻ったときに効いてきます。部長や課長がAIを知らないと、部下がAIで下書きを作っていても、手を抜いているように見えてしまうことがあります。

管理職が全部の回を受けられなくても、最初の回だけ一緒に受ける、研修の内容を受けた人から10分で聞く、といった形で中身を知っておきます。上の人が「それ、どうやったの」と聞くだけで、受けた人が職場で使い続ける後押しになります。

研修のあとに残すもの

研修が終わったときに、社内に何が残っているかで、その後が決まります。受けた人の頭の中だけに残るのでは、その人が忙しくなったり、異動したりすると消えてしまいます。

帝国データバンク水戸支店の調査(2026年3月)では、生成AIを活用している茨城県内の企業41社のうち17.1%が、悪影響として「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」を挙げています。研修を受けた人だけが使えるようになり、ほかの人との差が開く、ということは起こりえます。研修のあとに残すものは、その差を縮める材料にもなります。

  • 頼み方の見本集:研修で作った頼み方のうち、仕事で使えたものを、仕事の名前ごとに1枚にまとめる
  • 社内ルールの紙:入れてよい情報、確かめる所、困ったときの連絡先
  • 社内の相談役:研修を受けた人のうち1人に、ほかの社員の質問を受けてもらう
  • 次に試す仕事の一覧:研修の中で「これも使えそう」と出た仕事を書き出しておく

なかでも頼み方の見本集は、研修を受けていない社員の方にとって、いちばん役に立ちます。見本をまねるところから始められるからです。見本集は、社内の共有の場所に置き、使ってみて直した人が書き足せるようにしておきます。

例:頼み方の見本集の1枚

例として、「取引先へのお詫びのメール」という題の1枚に、使う場面(納期が遅れるとき)、AIへの頼み方の文(伝えたいこと・守ってほしい条件・文の長さ)、出てきた下書きの例、人が確かめる所(日付・新しい納期・相手の名前)を並べます。いちばん下に、作った人と直した人の名前を書いておくと、分からないときにだれに聞けばよいかも分かります。

相談役の負担を軽くする

相談役になった人に質問が集まりすぎると、その人の本来の仕事が回らなくなります。質問はチャットの決まった場所に書いてもらい、相談役は1日1回まとめて答える、と決めておきます。同じ質問が何度か出たら、答えを見本集に足せば、次からは見本集で済みます。

研修を受けた人と受けていない人の差を、どう社内に広げていくかは、別の記事でくわしく扱っています。

生成AIを社内に浸透させる順番

いばらきAIにご相談いただいたら

いばらきAIのAI研修は、AIの使い方を全6回で1つずつ身につける研修です。1〜5名の少人数で、1回2時間・約2か月、オンラインで行います。演習の題材は、メールの返事や議事録など、ふだんの事務から選びます。

少人数なので、回ごとに一人ひとりの質問をうかがえます。1名から受けられ、顧問や開発を契約していなくても、研修だけをお申し込みいただけます。研修の中で、ほかの社員の方へ使い方を広げる進め方も一緒に考えます。大きな道具が必要になったときは、開発でお手伝いします。

初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。メールで、受講する方の人数と、担当されている仕事を一言お送りください。研修の進め方をご説明します。

AI研修について見る

まとめ:選ぶ前に、去年の研修を振り返る

  • 使われない理由は、題材が遠い・1回きり・使う環境がない・聞ける人がいない・上の人が使わない
  • 研修の形は目的で選び、組み合わせてもよい
  • 選ぶときは、題材・回数・人数・質問の場・残るものを確かめる
  • 研修のあとは、頼み方の見本集・社内ルール・相談役を社内に残す

まずは、去年や前回の研修を受けた人に、「いま仕事でAIを使っているか、使っていないならなぜか」を聞いてみてください。返ってきた理由が、この記事の表のどれに当たるかを見れば、今年選ぶべき研修の形が見えてきます。

出典・参考

よくある質問

全員に受けてもらうべきですか、数人からでよいですか。

実際に使う部署の数人から始めるのがおすすめです。少人数のほうが、一人ひとりが自分の仕事で試し、質問できるためです。

全員に基本だけ知ってもらいたい場合は、動画の講座などと組み合わせます。最初の数人が使いこなせるようになったら、その人たちが社内で広げる役を担えます。

パソコンが苦手な社員でも、研修についていけますか。

題材がふだんの事務なら、ついていきやすくなります。新しい言葉より、いつもの仕事の手順の上でAIを使う形になるためです。

少人数で回を重ねる研修なら、分からない所をその場で聞けます。研修を選ぶときに、受ける方のパソコンの得意・不得意を伝えておくと安心です。

研修のあと、どのくらいで仕事に使えるようになりますか。

人と仕事によって違います。回を重ねる研修なら、研修の途中から、学んだ使い方を自分の仕事で試すことになります。

大事なのは、研修が終わったあとも、頼み方の見本集や相談できる人が社内に残っていることです。それがあれば、使える場面は少しずつ広がります。

研修と、AIの道具を作るのと、どちらを先にすべきですか。

社員の方に日々の仕事でAIを使ってほしいなら研修を、毎日まったく同じ流れの作業を減らしたいなら道具づくりを先に考えます。目的が違うためです。

どちらから始めるか迷うときは、どの仕事にAIが使えるかを洗い出すところから始めると、順番が決めやすくなります。

研修の効果は、どう確かめればよいですか。

研修の前と、終わって1〜3か月後に、同じ仕事の時間や、AIを使っている人の数を比べます。受けた直後の感想だけでは、仕事に移ったかどうかが分からないためです。

比べる仕事を研修の前に決め、前の記録をとっておくと、あとで社内に報告しやすくなります。

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  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
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  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。