茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

研修で学んだAIを、職場で使い続けるには?

茨城でAI研修をするなら|ふだんの事務で使い方を1つずつ身につける

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 県内には、県の事業の講座や、産業技術イノベーションセンターのワークショップなど、AIを学べる場がある
  • 生成AIを使う県内企業の17.1%が「使いこなせる社員とそうでない社員の差が広がった」と答えている
  • 研修は、メールの返事や議事録などふだんの事務を題材に、使い方を1回に1つずつ身につける形が続きやすい
  • 研修のあとは、うまくいった頼み方と、入れてはいけない情報の決まりを社内に残す
白い床に置いた2つのダンベル

「社員にAIを使えるようになってほしい。研修を探してくれないか」。社長からそう頼まれて、県内の研修を調べ始めた担当の方もいると思います。調べると、県の講座、オンラインの動画の講座、研修の会社の集合研修と、選択肢は意外に多く見つかります。

一方で、研修を受けたのに、翌月には誰もAIを使っていなかった、という話もよく聞きます。研修で習った例と、自分の毎日の仕事がつながらないまま終わってしまうためです。

この記事では、茨城県内で受けられるAIの講座を整理したうえで、研修を講座で終わらせないための工夫、ふだんの事務を演習の題材にして使い方を1つずつ身につける研修の流れ、研修のあとに社内に残しておきたいものを紹介します。

県内で受けられるAIの講座

茨城県内でも、AIを学べる公的な場が増えています。県の事業でも、学ぶ場が用意されています。2026年6月26日のピープルドットの発表によると、同社が県から受けた「データ分析・AI活用人材育成業務」では、県内に事業所を置く企業の従業員や経営者などを対象に、「100名程度」の受講生を募りました。講座の期間は2026年7月から2027年3月までで、データ分析の基礎から生成AIを使った業務改善までを、短い動画と小テストを中心に学ぶ形です。

茨城県産業技術イノベーションセンター(ITIC)は、令和元年度から県内中小企業のデジタル技術の活用を支援しています。令和6年度には、生成AIを使うワークショップを開き、26社33名が参加しました。

AIを学ぶ場の種類と、向いている使い方
学ぶ場形の例向いている使い方気をつけたいこと
県の事業の講座動画と小テスト、個別の勉強会などAIの基礎を幅広く知る受講の条件・定員・期間を確かめる
公的機関のワークショップ1日〜数回、ほかの会社と一緒に手を動かすほかの会社の使い方を知る自社の仕事に置きかえるのは会社に戻ってから
研修の会社の集合研修1日〜数日、決まった教材で学ぶ大人数に同じ基礎を伝える題材が一般的な例になりやすい
少人数の連続した研修数回に分けて、回ごとに演習使い方を1つずつ身につけ、仕事で使う受ける人の時間を、回ごとに確保する

どれが良い悪いではなく、目的によって合う場が違います。社員にまずAIに触れてほしいなら県の講座、仕事で毎日使う人を育てたいなら少人数で回を重ねる研修、という使い分けが考えられます。

選ぶ前に、社内で3つのことを決めておくと迷いが減ります。誰に受けてもらうか(部署と人数)、受けたあとに何ができるようになってほしいか(「議事録を自分でAIに整えられる」など)、受ける人の仕事の時間をどれだけ空けられるか、の3つです。特に3つ目を決めずに申し込むと、忙しい時期に回を休むことになり、身につく前に終わってしまいます。

講座で終わらせないために

帝国データバンク水戸支店の県内調査(2026年3月)では、生成AIを使っている企業の17.1%が、「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」と答えました。同じ調査で、生成AIを使ううえでの課題として「専門人材・ノウハウ不足」を挙げた企業は40.8%です。

全国でも、学ぶ場を求める声は大きくなっています。中小企業基盤整備機構の調査(令和8年3月)では、中小企業が求める支援として「従業員向けの教育・研修」を挙げた割合が67.7%でした。

ただ、研修を1回受けただけでは、使いこなせる社員とそうでない社員の差は縮まりません。差が広がる理由は、多くの場合、知識の量ではなく、毎日の仕事で使う回数の違いです。研修を講座で終わらせないためには、次の3つが効きます。

  • 演習の題材を、メールの返事や議事録など、受ける人がふだんやっている事務にする
  • 1回に詰め込まず、回ごとに使い方を1つずつ身につけ、次の回までに自分の仕事で使ってみる
  • 研修の中で、AIの答えを人が確かめる習慣をつける(AIは間違えることがあるため)

3つ目は特に大事です。AIの答えは、それらしく見えても間違っていることがあります。研修の段階から「数字は元の資料と見比べる」「送る前に自分で読む」という習慣をつけておくと、仕事で使い始めてからの事故を防げます。

もう1つ、会社の側でできることがあります。研修を受けた人が仕事でAIを使う時間を、上の立場の人が認めることです。「研修は受けてきたけれど、仕事中にAIを試していると遊んでいるように見られる」という声は少なくありません。社長や部長が「AIで試してみて、結果を教えて」と一言かけるだけで、使う回数は大きく変わります。

ふだんの事務を題材にした研修の流れ

ふだんの事務を題材に、使い方を1つずつ身につける研修の流れを、全6回の例で紹介します。回ごとに身につける使い方が1つ増え、演習の題材は回ごとに違うふだんの事務から選びます。

全6回の研修の流れ(例)
回身につける使い方演習の題材の例
1回目AIへの頼み方メールの返事
2回目文章を作る・直す議事録
3回目紙や画面を読み取る請求書
4回目まとめる・比べる日報
5回目手順を仕組みにする毎月の集計
6回目仕事で使い、広げる受ける人の担当の仕事

1回目の「頼み方」は、すべての土台です。誰に向けた、どんな長さの、何のための文かを伝えるだけで、AIの答えは大きく変わります。2回目以降は、文を直す、紙を読み取る、ばらばらの日報をまとめる、と使い方を広げ、5回目でくり返す作業を手順にまとめます。6回目で、身につけた使い方を自分の仕事に当てはめ、社内でどう広げるかを考えます。

5回目の「手順を仕組みにする」は、毎回同じ頼み方をくり返している作業を、決まった手順として書き残す回です。毎月の集計のように、同じ形の表を毎回作る作業は、頼み方と確かめ方を手順にしておけば、ほかの人に引き継ぐこともできます。

回と回の間にやること

  1. 研修で使った頼み方を、その週のうちに自分の仕事で1回使う
  2. うまくいった頼み方と、うまくいかなかった頼み方を、それぞれ1つメモする
  3. AIの答えを直した所があれば、何を直したかも書き添える
  4. 次の回の最初に、メモを持ち寄って、ほかの受講者と見せ合う

回と回の間を1〜2週間ほど空けると、この「仕事で使ってみる」時間がとれます。研修そのものより、この間の時間で使い方が身につく、と言ってもよいほどです。忙しくて使えなかった週があっても構いません。使えなかった理由をメモしておくと、次の回でどの仕事なら使えそうかを相談できます。

例:総務と経理の3人が受けた場合

例として、総務の2人と経理の1人が全6回の研修を受けるとします。2回目の議事録の演習のあと、総務の1人は、翌週の部長会議のメモをAIで議事録の形に整えてみました。決まったことと宿題の欄に分けて出すよう頼むと、うまくいきました。一方、発言者の名前を取り違えた所があり、自分で直しました。このメモを次の回で見せ合うと、経理の1人は「請求の問い合わせへの返事にも、同じ頼み方が使えそう」と気づきます(受講者と中身は説明のための例です)。

研修のあとに残すもの

研修が終わったあと、学んだことが受けた人の頭の中にしか残っていないと、その人が異動したり辞めたりしたときに消えてしまいます。研修のあとは、次の3つを、どの社員も見られる形で残しておきます。

研修のあとに社内に残すもの
残すもの中身の例使い道
頼み方の見本集「議事録に整える」「お客さまへの返事の下書き」などの頼み方と、出てきた答えの例研修を受けていない社員が、同じ頼み方で使える
AIに入れる情報の決まり入れてよい情報・入れない情報、名前を伏せる書類、学習に使わせない設定誰が使っても、情報の扱いがそろう
確かめ方の決まり数字は元の資料と見比べる、送る前に読む、などの手順AIの間違いを、出す前に止められる

頼み方の見本集は、研修の回と回の間に書いたメモをまとめれば、自然にできあがります。情報の決まりは、研修の中で「これは入れてよいか」と迷った場面を集めておくと、自社に合った決まりになります。

個人情報保護委員会は、生成AIのサービスに個人情報を入れる場合、利用目的の範囲内かを確かめること、入れた情報が学習に使われないかを確かめることなどを呼びかけています。社内の決まりを作るときの手がかりになります。

残したものは、共有のフォルダなど、社員が迷わず開ける1か所に置きます。使っているうちに、新しい頼み方や、決まりに足したいことが出てきます。半年に1回ほど、受講した人が集まって見直す日を決めておくと、古い中身のまま放っておかれることを防げます。

いばらきAIにご相談いただいたら

いばらきAIのAI研修は、AIの使い方を全6回で1つずつ身につける研修です。1〜5名の少人数で、1回2時間、約2か月かけてオンラインで行います。演習の題材は、メールの返事や議事録など、ふだんの事務から選びます。

AIを使ったことがない方でも、最初はAIへの頼み方のような基本から始めます。受講した方から、ほかの社員の方へ使い方を広げる進め方も、一緒に考えます。研修だけのお申し込みもお受けしています。

まずはメールで、受講する方の人数と、担当されている仕事を一言お送りください。無料のご相談(オンライン・30分〜)で、研修の進め方をご説明します。

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まとめ:受ける人のふだんの事務を3つ書き出す

  • 県内には、県の講座やワークショップなど、AIを学べる場がある。目的に合わせて選ぶ
  • 研修は、ふだんの事務を題材に、使い方を1回に1つずつ身につけ、回の間に仕事で使う
  • 研修のあとは、頼み方の見本集と、情報と確かめ方の決まりを社内に残す

研修を探す前に、受けてほしい社員のふだんの事務を3つ書き出してみてください。メールの返事、会議のメモ、毎月の集計など、その3つが演習の題材になる研修を選ぶと、学んだことが仕事に残りやすくなります。

書き出した3つは、研修を申し込むときに相手に伝えます。演習の題材を受ける人に合わせてもらえるかどうかも、研修を選ぶ目安になります。

出典・参考

よくある質問

AIを使ったことがない社員でも、研修についていけますか。

ついていけます。最初はAIへの頼み方のような基本から始める研修を選べば、使ったことがなくても大丈夫です。

演習の題材がメールの返事や議事録など、ふだんの事務であれば、AIの答えが良いか悪いかを自分で判断できるので、身につけやすくなります。

研修は、何人で受けるのがよいですか。

使い方を身につけることが目的なら、少人数のほうが向いています。

人数が多いと、1人ひとりが手を動かして質問する時間が減ります。まず少人数で受けた人が使い方を身につけ、その人から社内に広げる順番がおすすめです。受けた人が社内の相談役になれば、ほかの社員も気軽に聞けるようになります。

1日で終わる研修と、数回に分けた研修は、どちらがよいですか。

毎日の仕事で使えるようにしたいなら、数回に分けた研修が向いています。

回と回の間に自分の仕事で使ってみる時間がとれるので、習った使い方が身につきやすくなります。AIに触れるきっかけを作るだけなら、1日の講座でも構いません。

研修の効果は、どうやって確かめればよいですか。

受ける前と後で、決めた仕事にかかる時間と、AIを使った回数を比べるのが分かりやすい方法です。

たとえば、議事録づくりに毎回何分かかっていたかを受ける前に測っておき、研修のあとにもう一度測ります。あわせて、頼み方の見本集が何件たまったかを見ると、社内に残ったものの量も分かります。

研修で社内の書類を使っても大丈夫ですか。

使う前に、AIに入れてよい情報を決めておけば使えます。

お客さまの名前や個人の情報は伏せる、入れた内容をAIの会社が学習に使わない設定にする、といった決まりを、研修の最初に確かめておきます。

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