社内の決めごとと学び方公開 約10分で読めます

AIの答えが間違っていたら、どう気づけるのか?

生成AIの間違い対策|社長が心配な誤りを、人が確かめる所の決め方

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • AIは、もっともらしい作り話・古い情報・数え間違い・読み取り違いなどで間違える
  • 全部を確かめるのではなく、間違えたときの影響が大きい所だけを人が確かめる
  • 答えの出どころ(元の文のどこか)を示させると、確かめる時間が短くなる
  • 数字は、合計や件数と照らし合わせる形にすると確かめやすい
紙の文字を虫めがねで確かめる手元

社員がAIで作った取引先への案内文に、ありもしない「割引の条件」が書いてあった。送る前に気づいたからよかったものの、もし出ていたらと思うと、社長としてはAIを使わせるのが怖くなります。

生成AIは間違えます。これは使い方が悪いからではなく、仕組みからくる性質です。だからといって使わないのではなく、「どこを人が確かめるか」を先に決めておけば、間違いが外に出るのを防ぎながら、手間の減る所は減らせます。

この記事では、AIが間違えやすいのはどんな場面か、仕事ごとに人が確かめる所の決め方、答えの出どころを示させる頼み方、数字を合計で確かめる手順を説明します。

AIが間違えるのはどんなときか

生成AIは、たくさんの文章から「次に来そうな言葉」を予測して文を作ります。事実を調べて答えているのではありません。そのため、もっともらしいけれど事実と違う文を作ることがあります。これを「ハルシネーション(AIの作り話)」と呼びます。

帝国データバンク水戸支店の調査(2026年3月)でも、茨城県内の企業が挙げた生成AI活用の懸念・課題で、「情報の正確性」は40.8%と、上位に入っています。間違いの心配は、多くの会社に共通です。

AIが間違えやすい場面と、その例
間違いの種類起きやすい場面例
もっともらしい作り話知らないことを聞かれたとき、元の資料に書いていないことを補うときない割引の条件、存在しない法律の名前、実在しない取引先の名前
古い情報最近変わった決まりや値段を聞いたとき去年までの様式、改定前の料金
数え間違い・計算違い長い表の合計、件数を数えるとき合計が1行分ずれる、件数が1つ足りない
読み取り違い手書きの書類、かすれた印刷、写真から文字を読むとき「1」と「7」、「0」と「6」の取り違え
頼みごとの取り違え頼み方があいまいなとき「短く」と頼んで大事な条件まで消える
社内の事情を知らない社内だけの決まりや言葉が関わるとき社内の略語を別の意味に取る

頼み方で減らせる間違いもある

表のうち、「頼みごとの取り違え」と「社内の事情を知らない」は、頼み方でかなり減らせます。AIは、言われていないことは知りません。人に頼むとき以上に、条件を全部書いて渡します。

  • 守ってほしい条件を箇条書きで渡す:「値段と日付は変えない」「割引の話は書かない」
  • 社内の言葉の意味を添える:「『本社便』は、毎週火曜の本社行きの定期便のこと」
  • 長い仕事は分けて頼む:要約と清書を一度に頼まず、まず要約、確かめてから清書
  • お手本を1つ見せる:前に人が書いた、よくできた文を1つ添えて「この形で」と頼む

ただし、頼み方をどれだけ工夫しても、作り話や読み取り違いはなくなりません。頼み方は間違いを減らす手、確かめる所は間違いを外に出さない手、と分けて考えます。

間違いは、目立たない形で出てくる

厄介なのは、AIの間違いが、自信のある自然な文で出てくることです。人が書いた文なら、迷った所は言いよどんだり、「たぶん」と書いたりします。AIは、正しい所も間違った所も、同じ調子で書きます。読む側が「ここは怪しい」と気づく手がかりが少ないのです。

同じ調査で、生成AIを活用している県内企業41社のうち、「出力結果の誤りにより社内外でトラブルや損害が発生した」と答えたのは2.4%でした。大きな事故は多くありません。ただ、これは各社が何らかの形で確かめているからとも読めます。確かめる所を決めておくことが、事故を少なく保つ前提です。

確かめる所を決める

AIが作ったものを全部、一字一句確かめていたら、AIを使う意味が薄れます。確かめる所は、「間違えたときの影響が大きい所」に絞ります。影響の大きさは、だれに届くか、取り消せるかで決まります。

仕事ごとの、人が確かめる所の目安(例)
AIに頼む仕事間違えたときの影響人が確かめる所
社内の議事録の要約小さい(社内だけ、直せる)決まったこと・期限・担当者の名前だけ
お客さまへのメールの下書き中くらい(社外に届く)金額・日付・約束ごと・相手の名前
請求書や見積書の数字大きい(お金が動く)全部の数字。合計との照らし合わせ
取引先への案内文・チラシ大きい(多くの人に届く、取り消せない)条件・値段・日付・法律や制度の話
社内のアイデア出し小さい(採用するかは人が決める)確かめは不要。使うと決めたものだけ確かめる

確かめる所の決め方

  1. AIに頼む仕事を1つ選び、AIが出すもの(文・表・数字)を書き出す
  2. 出すものが、だれに届くか(社内・お客さま・多くの人)を書く
  3. 間違えたときに取り消せるか、お金や約束に関わるかを書く
  4. 影響が大きい所に印を付け、そこを人が確かめる所にする
  5. 確かめる所ごとに、何と見比べるか(元の書類・料金表・カレンダーなど)と、だれが見るかを決める

冒頭の案内文の例なら、「条件・値段・日付」が確かめる所です。見比べる相手は、自社の正式な料金表です。AIが書いた条件のうち、料金表に無いものがあれば消す、と決めておけば、ない割引が外に出るおそれは小さくできます。

例:お客さまへのメールの確かめる所

例として、問い合わせへの返事の下書きをAIに作らせる仕事なら、確かめる所を「金額・日付・約束ごと・相手の名前」の4つに決め、メールを送る画面の横に貼っておきます。送る前に4つだけ元の問い合わせと料金表に照らして見る。言い回しや段落の順番は、読んで違和感がなければそのまま使います。

見つけた間違いは、記録して頼み方を直す

確かめる所で間違いを見つけたら、直して終わりにせず、何を間違えたかを1行記録します。「値段を去年のものにしていた」「数量の単位を取り違えた」。記録が10件ほどたまると、間違いの癖が見えてきます。

癖が分かれば、頼み方に条件を足したり、確かめる所を入れ替えたりできます。間違いの記録は、AIの使い方を育てるいちばんの材料です。

確かめる人と作る人を分ける

影響の大きい所は、AIに頼んだ本人とは別の人が確かめるのが理想です。自分で頼んだ文は、頼んだ内容が頭にあるので、間違いを読み飛ばしやすくなります。人が足りなくて分けられないなら、時間をおいて読み直す、声に出して読む、だけでも見落としが減ります。

出典を示させる

確かめる時間を短くするいちばんの方法は、AIに「その答えは、どこに書いてあったか」を示させることです。出どころが分かれば、確かめる人はそこだけを見ればよくなります。

つくば市は、筑波大学との共同研究を兼ねて、自治体のチャットツールと連携させた生成AIを導入しました。その特徴の1つとして、生成AIによる回答の出典情報が示される点が挙げられています(地方自治研究機構の令和5年度の先進事例)。答えだけでなく出どころを示す形は、会社の仕事でも使えます。

出どころを示させる頼み方

  • 渡した資料だけを使って答えるように頼む:「次の資料に書いてあることだけを使って答えてください」
  • 出どころを添えさせる:「答えのそれぞれに、資料のどの文から取ったかを、その文をそのまま引いて示してください」
  • 分からないときの答え方を決める:「資料に書いていないことは、『資料に記載なし』と答えてください」

3つ目が特に大事です。AIは、分からないと言うより、もっともらしく答えようとする傾向があります。「分からないときはこう答えて」と決めておくと、作り話が減ります。

出どころも、本当にあるかを確かめる

AIが示した「出どころの文」そのものが、資料にない作り話のこともあります。示された文を資料の中で検索して、本当にあるかを確かめます。検索して見つからなければ、その答えは使いません。

インターネットを調べるAIでも、出どころを開いて見る

インターネットを調べて答えるAIは、答えと一緒に参考にしたページを示すことが多く、便利です。ただ、示されたページを開くと、答えと違うことが書いてある、日付がずっと古い、個人のブログだった、ということもあります。

法律や制度、役所の手続き、値段のように、変わりやすく間違えると困る話は、示されたページではなく、国や役所、取引先の公式のページを自分で開いて確かめます。AIの答えは、どこを確かめればよいかを知るための手がかりとして使います。

社内の資料から答えさせる形にする

よく聞かれる質問に答えさせたいなら、AIが自分の知識で答えるのではなく、社内の規程や手順書から答える形にすると、間違いが減ります。答えの横に、どの規程のどの条からかを出す道具にしておけば、確かめる人は規程を開いて見比べるだけで済みます。

例:数字は合計で確かめる

数字の間違いは、文の間違いより影響が大きく、しかも読んだだけでは気づきにくいものです。数字は「読んで確かめる」のではなく、「合計と照らし合わせて確かめる」形にします。

例:手書きの納品書の読み取り

例として、取引先から届く手書きの納品書を写真に撮り、AIで品名・数量・金額を表に起こすとします。1枚に10行ほどあり、いちばん下に手書きの合計が書いてあります(数字は説明のための例です)。

  1. AIに、各行の品名・数量・金額と、納品書の下に書いてある合計を、別々に読み取らせる
  2. 表計算で、AIが読み取った各行の金額を足す
  3. 足した結果と、AIが読み取った「書いてある合計」を比べる
  4. 一致すれば、その納品書は次へ進める
  5. 一致しなければ、その納品書だけ、人が元の写真と1行ずつ見比べる

この形なら、人が見るのは合計が合わなかった納品書だけです。全部を見比べるより、確かめる手間がずっと少なくなります。各行の足し算は表計算にさせ、AIには計算させないのがこつです。計算は表計算のほうが確かです。

照らし合わせに使える数字の例
書類照らし合わせる数字
納品書・請求書各行の金額の合計と、書いてある合計
日報作業時間の合計と、出勤から退勤までの時間
在庫の記録前の在庫+入った数-出た数と、数えた今の在庫
注文の一覧読み取った件数と、受け取ったメールや紙の枚数

合計が合っても、2つの行で読み違いが打ち消し合っている、ということもありえます。お金に関わる書類は、合計の照らし合わせに加えて、月に何枚かを人が抜き取りで見比べると、より安心です。

抜き取りで見る枚数は、最初は多めにし、間違いが見つからない月が続いたら減らしていきます。反対に、読み取り違いが続くようなら、写真の撮り方(明るさ、真上から撮る)を見直すと、AIの読み取りがよくなることがあります。間違いの原因が、AIではなく元の写真にあることも少なくありません。

いばらきAIにご相談いただいたら

いばらきAIでは、AIが間違えることを前提に、数字や判断に関わるところは、人が確かめる手順を残した形で道具を作ります。たとえば、AIが読み取った金額は元の書類と見比べる、送る前の文は担当の方が目を通す、といった形です。どこまでAIに任せるかは、試作を見ながら一緒に決めます。

AX推進顧問では、月2回の定例で社内の仕事を知り、AIに任せる仕事と取り組む順番を決めます。初回の定例でAIを使える仕事の一覧と順番をお渡しし、データがあれば、その場で試作もお見せします。試作で実際の書類を使ってみると、どこで間違えやすいかが具体的に見え、確かめる所を決めやすくなります。

初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。メールで、AIの間違いが心配な仕事を一言お送りください。

AX推進顧問について見る

まとめ:AIに頼む仕事ごとに、確かめる所を1行で書く

  • AIは作り話・古い情報・数え間違い・読み取り違いで間違える
  • 確かめる所は、間違えたときの影響が大きい所に絞る
  • 渡した資料だけで答えさせ、出どころを示させ、分からないときの答え方を決める
  • 数字は合計や件数と照らし合わせ、合わないものだけを人が見る

まずは、AIに頼みたい仕事を1つ選び、「この仕事で人が確かめるのは、○○と○○」と1行で書いてみてください。その1行が書ければ、AIの間違いが外に出る心配は、ぐっと小さくなります。確かめる所は、AIに入れる情報の決まりとあわせて、社内ルールの1項目にしておくと続きます。

生成AIの社内ルールの作り方

出典・参考

よくある質問

AIの間違いを、ゼロにすることはできますか。

ゼロにはできません。AIは言葉の並びを予測して文を作る仕組みなので、間違いは一定の割合で起きるためです。

そのため、間違いをなくすのではなく、間違いが外に出る前に人が気づく形を作ります。確かめる所を決め、出どころを示させ、数字は合計で照らし合わせる、の3つが基本です。

新しいAIなら、間違いは少ないのではありませんか。

少なくなることはありますが、なくなりはしません。新しいAIでも、知らないことを補って答えることがあるためです。

AIを新しいものに替えたときこそ、答えの形や間違い方が変わることがあります。替えたあとしばらくは、確かめる所を増やして様子を見ます。

確かめる人の手間が増えて、結局楽にならないのでは。

確かめる所を絞れば、楽になる分のほうが大きくなります。全部を確かめるのではなく、影響の大きい所だけを見るためです。

確かめる所が多すぎると感じたら、合計での照らし合わせのように、確かめ方そのものを軽くできないかを考えます。それでも手間が見合わない仕事は、AIに向いていない仕事と判断するのも1つの答えです。

社員が確かめずに使ってしまわないか心配です。

確かめる所を1枚にまとめ、AIを使う場所のそばに置いておきます。何を確かめればよいかが分かれば、確かめは習慣になりやすいためです。

道具を作る場合は、確かめたことに印を付けないと次へ進めない形にすることもできます。社内ルール全体の作り方は、別の記事にまとめています。

間違いが外に出てしまったら、どうすればよいですか。

まず、届いた相手に正しい内容を早く伝えます。AIを使ったかどうかに関わらず、自社が出したものとして訂正するのが基本です。

そのうえで、どの確かめる所をすり抜けたかを見て、確かめる所か見比べる相手を直します。だれが悪いかではなく、仕組みのどこに穴があったかを探します。

無料相談

会社名と困りごとを、一言送るだけ

まずは30分、
話を聞かせてください。

時間
30分〜
相談料
無料
場所
オンライン

訪問をご希望の場合はご相談ください。

事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。