
新しい物件が入るたびに、間取り図と設備の一覧を見ながら紹介文を書く。物件サイトに載せた日の夜には、問い合わせのメールが何通も届き、同じような質問に1通ずつ返事を書く。不動産会社の営業や事務の方の時間は、案内や契約の手前の「文章の仕事」に多く取られています。
紹介文も返信も、もとになる情報は物件の資料にそろっています。資料の内容を、読む人に合わせた文に整える作業は、AIが下書きを手伝いやすい仕事です。
この記事では、紹介文と返信にかかる時間を整理し、物件の情報からAIで紹介文を作る手順、返信の下書きで人が直す所を、1件の物件情報の例で説明します。
紹介文と返信にかかる時間
中小企業基盤整備機構が全国の中小企業に聞いた調査では、AIを入れている会社の導入分野として、営業・販売・サービス・アフターサービス部門が60.3%にのぼりました。お客さまとのやり取りに近い仕事は、AIを使い始めやすい所の1つです。
不動産会社の文章の仕事は、おおきく分けて次のようなものがあります。
不動産会社の文章の仕事と、時間がかかる所| 仕事 | 中身 | 時間がかかる所 |
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| 紹介文 | 物件サイトや自社のホームページに載せる説明 | 間取りや設備を見ながら、物件ごとにいちから書く |
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| 問い合わせの返信 | 空き状況、初期の費用、ペット、駐車場などの質問への答え | 同じような質問に1通ずつ答える |
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| 案内の連絡 | 内見の日時の相談、場所の案内 | 地図や待ち合わせ場所を毎回書く |
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| 条件の変更の知らせ | 賃料の見直しや、募集の終了 | 載せている場所ごとに直す |
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どれも、物件の資料や社内の決まりに答えが書いてあるのに、文章にする手間がかかっている仕事です。とくに紹介文と返信は、件数が多く、速さが問い合わせの結果を左右します。
一方で、案内の場でお客さまの話を聞き、暮らし方に合う物件を一緒に考えるのは、人にしかできない仕事です。文章の仕事をAIに手伝わせるのは、その時間を増やすためです。
物件の情報から紹介文を作る手順
紹介文の下書きは、次の順で作ります。ふだんの生成AIの画面で、1件の物件から試せます。
- 物件の情報を、決まった項目で書き出す(所在の地域・最寄りの駅やバス停からの距離・間取り・広さ・築年・設備・周りの店や学校・向いている住まい方)
- 事実と、担当の方の感想を分けて書く(例:「南向きの窓」は事実、「冬も明るい」は担当の方が内見で感じたこと)
- AIに、紹介文の長さと、読む人(単身・ご夫婦・お子さんのいる家族など)を決めて頼む
- AIに「書き出した項目に無いことは書かない」と決めて頼む
- 下書きの数字(広さ・距離・築年など)を、物件の資料と1つずつ見比べる
- 言いすぎの表現が無いかを読み、会社の言葉づかいに直す
4つ目の手順が大事です。AIは、それらしい文を作るために、書いていない設備や周りの様子を足してしまうことがあります。「項目に無いことは書かない」と決めて頼みます。5つ目の手順の見比べも、気になったときだけでなく、毎回の決まった作業にします。
読む人によって、前に出す所を変える
同じ物件でも、読む人によって知りたいことは違います。AIに頼むときに読む人を決めておくと、項目の並べ方と書きぶりを変えた下書きが作れます。
読む人ごとに、紹介文で前に出す所(例)| 読む人 | 前に出す所 | 後ろでよい所 |
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| 一人暮らしの方 | 駅やバス停からの距離、ネットの設備、近くの店 | 収納の多さ |
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| お子さんのいる家族 | 学校までの道のり、部屋の数、収納、周りの静かさ | 駅からの距離 |
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| 年配のご夫婦 | 階段の有無、病院や店までの距離、日当たり | ネットの設備 |
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どの読む人に向けるかは、物件の売りと、これまでの問い合わせの多い層から、担当の方が決めます。迷う物件は、2つの読む人に向けた下書きを並べて、合うほうを選ぶ方法もあります。
担当の方の一言が、紹介文の差になる
間取りや設備は、どの会社が書いても同じです。違いが出るのは、内見した担当の方が感じた「朝日がよく入る」「夜も通りが静か」といった一言です。AIに渡す項目に、この一言の欄を作っておきます。
返信の下書きと、人が直す所
問い合わせの返信は、紹介文よりも間違いが許されにくい仕事です。空き状況や費用を誤って伝えると、お客さまとの行き違いにつながります。AIに下書きさせる前に、よくある質問の答えをそろえておきます。
返信でよくある質問と、答えをそろえる場所| よくある質問 | 答えをそろえる場所 | 下書きで人が見る所 |
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| まだ空いていますか | その日の募集の一覧 | 一覧の更新日が今日か |
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| 初めにかかる費用は | 物件ごとの条件の表 | 数字が条件の表と合っているか |
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| ペットや楽器は大丈夫ですか | 物件ごとの条件の表 | 「相談」の物件を「大丈夫」と書いていないか |
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| 駐車場はありますか | 物件ごとの条件の表 | 空きの有無と台数 |
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| 内見はいつできますか | 担当の方の日程 | 日時の候補は人が入れる |
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AIには、届いた問い合わせの文と、その物件の条件の表を一緒に渡し、「表に書いてあることだけで答え、書いていないことは『確認してご連絡します』と書く」と頼みます。表に無いことを推し量って答えさせないのが、いちばんの決まりです。
問い合わせは、夜や休みの日に届くことも多いものです。翌朝に何通もたまった問い合わせへ、1通ずつ返事を書いていると、最初の返事が昼すぎになることもあります。下書きが朝のうちにそろっていれば、担当の方は確かめて送るだけになり、返事の速さを保ちやすくなります。
下書きは、担当の方が読み、表の中で人が見る所を確かめてから送ります。お客さまの名前や、ほかのお客さまの情報が混ざっていないかも、送る前に見ます。
例:1件の物件情報から3つの文を作る
ここでは、県内で賃貸の仲介と管理をする、従業員15人ほどの不動産会社を例に考えます(例として作った会社です)。新しく入った2LDKのアパートの1室について、物件サイト用の紹介文、店頭の掲示用の短い文、問い合わせへの返信に添える説明の3つを作ります。
例の物件で、AIに渡した項目と、できた文| 文 | AIに頼んだこと | 人が直した所 |
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| 物件サイト用の紹介文(200字ほど) | お子さんのいる家族に向けて、間取りと周りの学校を中心に | AIが書いた「公園が近い」は項目に無かったので消した |
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| 店頭の掲示用の文(2行) | 駅からの距離と、いちばんの売りを1つ | 「駅から近い」を、資料どおりの距離の書き方に直した |
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| 返信に添える説明(3文) | 内見の前に知っておきたいこと(駐車場・ごみ出し・日当たり) | 駐車場の空きを、その日の一覧で確かめて書き直した |
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1つ目の行のように、AIはもっともらしい周りの様子を足すことがあります。この会社では、下書きを読むときに「項目の一覧に無い言葉に線を引く」ことを決まりにしました。線を引いた所は、事実を確かめてから残すか消すかを決めます。
例の内容は、考え方を示すためのものです。どの長さの文が要るかは、物件を載せている場所や、店の見せ方によって変わります。
いばらきAIにご相談いただいたら
いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、会社名と、文章の仕事で困っていることを一言お送りください。お客さまの名前を伏せた問い合わせの文と、物件の資料の見本があれば、ご相談の場で、紹介文や返信の下書きを試してお見せします。
業務ツールの開発では、話を聞いたエンジニアがそのまま作ります。物件の条件の表から紹介文と返信の下書きを作り、担当の方が確かめてから送れる道具を、御社の物件の資料の形に合わせ、試作を見ていただきながら形にします。アカウントは御社の名義で作ります。
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まとめ:物件の項目の一覧を決める
- 紹介文と返信は、物件の資料にある情報を、読む人に合わせて書き直す仕事
- AIには「項目に無いことは書かない」と決めて頼み、数字は資料と見比べる
- 返信は、よくある質問の答えを条件の表にそろえてから下書きさせる
まずは、紹介文を書くときにいつも見ている物件の項目を、一覧にしてみてください。そこに「担当の方の一言」の欄を足せば、AIに渡す材料はそろいます。次に入る物件で、その一覧を使って下書きを1本作ってみてください。