
お店のお知らせやSNSの投稿を、事務や接客と兼ねて任されている方は多いと思います。始めた月は週に2回出せていたのに、繁忙期に入ると間が空き、気づけば最後の投稿が2か月前になっている。再開しようにも、何を書けばよいかが思いつかない。
発信が止まる理由の多くは、書く力の問題ではありません。毎回「何を書くか」をいちから考えていることと、書いてから出すまでの手順が決まっていないことです。この2つは、AIの手を借りて軽くできます。
この記事では、発信が止まる理由と、1か月分の投稿の種をAIと一緒に作る方法、下書きから人が直して出すまでの手順を、新しい商品の入荷を3週に分けて伝える例で説明します。
発信が止まる理由
兼務で発信を担当している方に、止まった理由を聞くと、だいたい次のどれかに当てはまります。
- 書く題材が思いつかない:毎回、その日に何を書くかを考えている
- 書くのに時間がかかる:1本の投稿に30分以上かけて、言い回しを悩んでいる
- 出してよいかを聞く相手が忙しい:社長や店長の確認待ちで、下書きが止まる
- 写真が無い:書くことはあっても、添える写真を撮り忘れている
AIが直接手伝えるのは、1つ目と2つ目です。題材の候補を出したり、短い下書きを作ったりするのは、AIの得意な仕事です。3つ目と4つ目は、社内の決めごとで軽くします。
帝国データバンク水戸支店の調査で、生成AIを業務で活用している茨城県内の企業に、主にどの業務で使っているかを聞いたところ、最も多かったのは「文章の作成・要約・校正」で46.3%でした。お知らせや投稿の下書きは、県内でもAIが使われている場面に近い使い方です。
1か月分の投稿の種をAIと作る
毎回「何を書くか」を考えるのをやめるために、月の初めに1か月分の種を並べておきます。種とは、投稿の題材と、そのために用意するもの(写真や数字)のことです。
例:1か月分の投稿の種(週に1本の場合)| 週 | 種類 | 題材 | 用意するもの |
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| 1週目 | 季節の話 | 月の行事や天気に合わせた商品の使い方 | 商品の写真1枚 |
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| 2週目 | 中の様子 | 仕込みや準備をしているところ | 作業中の手元の写真(人の顔が写らないもの) |
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| 3週目 | よくある質問 | 窓口でよく聞かれることへの答え | なし(文だけでもよい) |
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| 4週目 | お知らせ | 休みの日、営業時間の変わる日など | 日付の確認 |
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種の表は、AIに作らせることができます。「〇〇を扱う店の、11月の投稿の題材を、季節の話・中の様子・よくある質問・お知らせの4種類で2つずつ挙げて」と頼むと、候補が返ってきます。その中から、自分の店に合うものを選んで表に入れます。
4種類を順番に回すのがコツです。週に2本出したい店なら、同じ表を2列にして、種類の組み合わせを変えます。同じ種類が続くと、読む側も書く側も飽きてきます。種類を決めておくと、「今週は中の様子だから、仕込みの写真を撮っておこう」と、写真を前もって用意できるようにもなります。
写真を撮り忘れないために
書くことはあっても、添える写真が無くて出せない、ということはよくあります。種の表の「用意するもの」を見て、その週に撮る写真を前の週のうちに決めておきます。撮った写真は、週ごとのフォルダに入れておくと、投稿の日に探さずに済みます。人の顔や、お客さまの持ち物が写りこんでいないかは、撮った時点で見ておきます。
AIが挙げた題材は、店の事実と照らす
AIは、一般的な店の話として題材を挙げます。「試食を配っています」と書かれても、試食をしていない店なら使えません。挙がった題材は、自分の店で本当にやっていることかを確かめてから、表に入れます。
下書きから人が直して出すまで
種の表ができたら、投稿の日ごとに、次の手順で下書きを作ります。
- 種の表から、今週の題材を選ぶ
- 題材について、自分の言葉で箇条書きのメモを3行ほど書く(事実・数字・伝えたいこと)
- メモをAIに渡し、「この内容で、200字ほどの投稿の下書きにして。誇張しないで、事実だけを書いて」と頼む
- 下書きを、事実・言い回し・載せてよいかの3点で直す
- 出してよいかの確認が要るものだけ、決めた人に送り、決めた期限までに返事が無ければそのまま出す
- 出した投稿を、種の表の横に貼っておく(翌月の種を考えるときの材料にする)
2番の「自分の言葉でメモを書く」を省かないでください。題材だけを渡すと、AIは一般的な話で文を埋めます。その店にしか無い事実(仕込みに何時間かけている、どの畑の野菜を使っている、など)をメモに入れるほど、下書きが店の声に近づきます。
直す3つの点
- 事実:日付・時間・値段・数量など、AIが書いた事実がメモと合っているか。メモに無いことが足されていないか
- 言い回し:店の言葉づかいに合っているか。「ぜひ」「最高の」などの言葉が多すぎないか
- 載せてよいか:お客さまや取引先の名前、写真に写りこんだものに、載せてはいけないものが無いか
5番の「期限までに返事が無ければそのまま出す」は、確認待ちで止まらないための決めごとです。どの種類の投稿に確認が要るかも、先に決めておきます。たとえば、お知らせは店長の確認が要るが、季節の話は担当の判断で出してよい、のように分けます。
AIの文章や画像を仕事で使うときの著作権の考え方は、文化庁が資料にまとめています。ほかの店の投稿を貼り付けて「同じように書いて」と頼むのは避け、自分のメモから下書きを作ることをおすすめします。
例:新しい商品の入荷を、3週に分けて伝える
架空の店の例です。11月に、毎年人気のある冬の商品が入荷することになりました。1回の投稿で全部を伝えるのではなく、3週に分けて、同じ場所で少しずつ伝えることにします。
例:3週に分けた投稿の流れ| 週 | ねらい | 担当のメモ(AIに渡す3行) |
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| 1週目 | 入荷を前もって知らせる | 今年も冬の〇〇を扱う/入荷は11月の第3週の予定/去年は早めに無くなった |
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| 2週目 | 入荷したことと、選び方を伝える | きょう入荷した/大きさが2種類ある/家族の人数で選ぶとよい |
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| 3週目 | 使い方を伝える | 店でよく聞かれるのは日持ちのこと/冷やして保存する/温め直すときのコツ |
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例:2週目のAIの下書き(人が直す前)
お待たせしました。冬の〇〇が、きょう入荷しました。今年も大きさは2種類です。2〜3人のご家族なら小さいほう、4人以上なら大きいほうが目安です。数に限りがありますので、お早めにどうぞ。
担当の方は、この下書きを直します。「数に限りがあります」はメモに無かった言葉なので、本当に数が少ないかを店長に確かめました。今年は多めに仕入れていたため、この一文を削ります。「2〜3人」「4人以上」は、メモの「家族の人数で選ぶ」をAIが具体的にしたものです。店でいつも伝えている目安と合っていたので、そのまま残しました。
3週目の使い方の投稿は、窓口でよく聞かれる日持ちの質問への答えを、そのまま題材にしています。店で実際に聞かれていることは、読む人にとっても知りたいことです。種の表の「よくある質問」の欄と、ここでつながります。
3週に分けると、1本ごとの投稿は短くて済み、担当の方の負担が軽くなります。読む側も、入荷を待つ、選ぶ、使う、という順に情報を受け取れます。1回で全部を詰めこんだ長い投稿より、読み飛ばされにくくなります。
いばらきAIにご相談いただいたら
初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。いまの発信の担当と、止まりがちな理由をうかがい、種の表の作り方を一緒に考えます。最近の投稿やお知らせをお見せいただければ、その場でAIに次の月の種を挙げさせてお見せします。
担当の方ご自身に、AIへの頼み方を身につけてほしいときは、AI研修をご用意しています。1〜5名で、1回2時間、全6回(約2か月)、オンラインで、AIの使い方を1つずつ身につけていただきます。演習の題材は、メールの返事や議事録など、ふだんの事務から選びます。
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まとめ:月の初めに、投稿の種の表を作る
- 発信が止まる理由は「何を書くか」を毎回考えていることと、確認待ち
- 月の初めに、4種類の題材を週ごとに並べた種の表を作る
- AIには自分の言葉の3行のメモを渡し、下書きは事実・言い回し・載せてよいかで直す
- 確認が要る投稿の種類と、返事の期限を決めておく
まずは来月の4週分だけ、種の表を作ってみてください。題材が決まっているだけで、投稿の日に手が止まることが減ります。