
共有のフォルダを開くと、「昔の実績」という名前のフォルダに、印刷した表をスキャンしたPDFや、スマートフォンで撮った写真が何十枚も入っている。中身を見れば役に立ちそうなのに、検索もできず、表計算にも使えないので、誰も開かない。そんな資料はありませんか。
画像のままの資料は、文字として読めないことが一番の壁です。AIを使えば、画像から文字や表を起こせます。ただし、起こした数字が正しいかを確かめないまま使うと、間違いがそのまま会社の数字に入り込みます。
この記事では、古い資料の画像をAIで文字に起こす手順と、起こした数字を合計で確かめる方法を説明します。
画像の資料が使われない理由
画像やスキャンのPDFは、人の目には読めても、パソコンにとっては「絵」です。キーワードで探せず、数字を足したり並べ替えたりもできません。使うには、誰かが表計算に打ち直す必要があります。
打ち直しには時間がかかるうえ、数字の多い表ほど打ち間違いが起きます。そのため「いつか打ち込もう」と思ったまま、何年も置かれている資料が多くあります。
画像のまま眠りやすい資料
- 昔の売上や出荷の実績表を、印刷してから綴じたもの(スキャンして保存してある)
- 前の担当の方が作った、手書きの集計表の写真
- 取引先や役所から紙で受け取り、スキャンだけしてある資料
- 古いパソコンが壊れて元のデータが無くなり、印刷物だけが残った表
どれも、文字に起こせば「去年と比べる」「品目ごとに並べる」といった使い方ができるようになります。
起こす前に、使い道を1つ決める
画像の資料を前にすると、「全部をデータにしておこう」と考えがちです。ただ、使い道の決まっていない資料を起こしても、確かめの手間だけがかかり、結局使われません。「来年の仕入れを決めるために、過去5年の月ごとの出荷を比べたい」のように、使い道を1つ決めてから、そのために要る資料だけを選びます。
AIで文字に起こす手順
画像を読めるAIなら、画像を見せて「この表を表計算に貼れる形にしてください」と頼めば、文字と数字を起こしてくれます。確かめやすくするために、次の順で進めます。
- 画像をそろえる。傾いた写真はまっすぐに撮り直すか回し、1枚の画像に1ページだけが写るようにする
- 1枚ずつAIに見せ、「元の表と同じ行と列の並びのまま起こしてください。読めない所は空けずに『読めない』と書いてください」と頼む
- 起こした結果を表計算に貼る。1枚ごとにシートを分け、シートの名前に元の画像のファイル名を入れておく
- 次の節の方法で、数字を合計で確かめる
- 確かめが済んだシートだけを、使う形(年ごと、品目ごとなど)にまとめ直す
読み取りやすい画像にするための撮り方
- 明るい場所で、影が表にかからないように真上から撮る
- 1枚の写真に1ページだけを入れ、端が切れないようにする
- 字が小さい表は、左右半分ずつに分けて撮り、どちらの半分かをファイル名に書く
- スキャンできるなら、写真よりスキャンのほうが傾きやゆがみが少ない
まとめ直すのは、確かめたあと
最初から「全部の年を1つの表にまとめて」と頼むと、どの数字がどの画像から来たのか追えなくなります。起こすときは元の形のまま、まとめ直すのは確かめたあと、と分けておくと、間違いを見つけたときに元の画像まで戻れます。
AIは、かすれた字や小さな字を、それらしい数字で埋めてしまうことがあります。「読めない所は読めないと書く」と頼んでおくのは、そのためです。
数字の確かめ方(合計で見る)
1つずつの数字を全部、元の画像と見比べるのは大変です。そこで、元の資料にある「合計」を使います。多くの表には、行の合計や列の合計、総計の欄があります。起こした数字を表計算で足し、その結果が元の資料の合計と同じなら、その行や列は正しく起こせている見込みが高くなります。
起こした数字の確かめ方| 確かめ方 | 見つかりやすい間違い | 手間 |
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| 列の合計を、元の資料の合計欄と照らす | 1つの数字の読み違い(3と8など) | 少ない(表計算の足し算だけ) |
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| 行の合計を、元の資料の合計欄と照らす | 行のずれ(隣の行の数字を拾った) | 少ない |
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| 総計を照らす | ページ全体の取りこぼし | 少ない |
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| 前の年や隣の月と比べて、急に大きく変わった数字を探す | 桁の読み違い(0が1つ多い・少ない) | 中くらい(目で追う) |
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| 合計が合わない行だけ、元の画像と1つずつ見比べる | 上のどれかで見つかった間違いの特定 | 合わない所だけなので少ない |
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合計が合ったからといって、間違いが無いとは言い切れません。たとえば、同じ列の中で2つの数字が逆向きにずれて、合計だけ合ってしまうこともあります。会社の大事な判断に使う数字は、合計に加えて、前の年との比べ方などで二重に見ておくと安心です。
確かめた印を残す
確かめが済んだシートには、確かめた日と、確かめた人の名前を書いておきます。合わなかった数字を直した所は、セルの色を変えておくと、あとで見た人にも、どこを人が直したかが分かります。何年かたって資料を使う人が替わっても、どこまで信用してよい数字かが伝わります。
合計の欄が無い資料のとき
合計の欄が無い資料は、ほかの資料に残っている合計(決算の数字、別の報告書の数字など)と照らせないかを探します。それも無いときは、2回別々に起こして結果を比べる、一部の行だけ人が打ち込んで比べる、といった方法で確かめます。
例:表の写真を表計算に
いばらきAIの代表が作った「ふるさと年表」は、47都道府県の1920〜2025年の人口を立体の地図で見られるWebアプリです。古い統計の中には画像でしか残っていないものがあり、それをAIで文字に書き起こし、書き起こした数字を合計と照らして確かめました。会社の古い資料にも、同じ進め方が使えます。
「ふるさと年表」について見る
例:10年前の月ごとの出荷実績を、写真から起こす
架空の例です。ある会社に、品目ごと・月ごとの出荷の実績を印刷した表が、年に1枚ずつ写真で残っていたとします。表の右端に品目ごとの年の合計、いちばん下に月ごとの合計が載っています。
例:起こした表を合計で確かめた結果(架空の内容)| 品目 | 起こした12か月の合計 | 元の資料の合計欄 | 結果 |
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| 品目A | 1,284 | 1,284 | 合う |
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| 品目B | 962 | 932 | 合わない(30の差) |
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| 品目C | 455 | 455 | 合う |
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品目Bだけが合いません。差が30なので、どこかの月で「4」と「7」のような読み違いが起きている見込みがあります。品目Bの12か月を元の写真と見比べると、7月の「48」が「78」と起こされていました。直すと合計が合います。
品目Aと品目Cは合計が合ったので、12か月の数字を1つずつ見比べることはせず、前の年と比べて急に大きく変わった月が無いかだけを目で追います。
このように、合計を使えば、全部の数字を見比べなくても、間違いのありそうな行に絞って確かめられます。確かめが済んだ表は、年ごとのシートを1つにまとめれば、10年分の動きを並べて見られるようになります。
いばらきAIにご相談いただいたら
初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。眠っている資料の画像を何枚かお見せいただければ、その場でAIに起こさせて、どのくらい読めるか、どう確かめるかを一緒に見ます。
枚数が多く、毎回同じ形の資料なら、画像を読み込むと起こした表と合計の照らし合わせの結果が出る道具にすることもできます。お話をうかがったエンジニア(代表)が、そのまま試作を作り、見ていただきながら直します。道具と一緒に、説明のスライドと説明の動画もお渡しします。
業務ツールの開発について見る
まとめ:合計の欄がある資料を1枚選ぶ
- 画像の資料は、文字に起こせば検索や集計に使えるようになる
- 起こすときは1枚ずつ、元の表の形のままで、読めない所は読めないと書かせる
- 数字は合計で照らし、合わない行だけを元の画像と見比べる
まずは、眠っている資料の中から、合計の欄がある表を1枚選んで、AIに起こさせてみてください。合計が合うかどうかで、どこまで任せられるかの手応えがつかめます。