
旅行サイトや地図のアプリに、口コミが1件、また1件と増えていく。うれしい言葉には早くお礼を言いたいし、厳しい言葉にはきちんと答えたい。けれども、フロントや厨房の仕事の合間に、1件ずつ言葉を選んで書く時間はなかなかとれません。気づくと、返信していない口コミが何十件もたまっている、という宿や店は少なくありません。
口コミへの返信は、AIが下書きを手伝いやすい仕事です。口コミの内容を読み取り、お礼やおわびの形に整えるのは、文章の仕事だからです。ただし、お客さまの声に答えるのは店の顔です。AIの下書きをそのまま出すのではなく、人が確かめる所を決めておく必要があります。
この記事では、返信が止まる理由、下書きの頼み方、人が確かめる所を、ほめる口コミと厳しい口コミの2つの例で説明します。
口コミ返信が止まる理由
帝国データバンクが2026年3月に茨城県内の会社に聞いた調査では、生成AIの主な活用業務は「文章の作成・要約・校正」が46.3%で最も多くなっていました。口コミへの返信も、その「文章の作成」にあたる仕事です。
それでも返信が止まってしまうのは、次のような理由からです。
口コミ返信が止まる理由| 理由 | よくある様子 |
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| 書く時間がとれない | フロントや厨房の仕事が優先で、返信は夜や休みの日に回る |
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| 同じ文になってしまう | 「ご来館ありがとうございました」の型ばかりで、気が引ける |
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| 厳しい口コミが怖い | どう答えればよいか分からず、後回しにしているうちに日がたつ |
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| だれが書くか決まっていない | 女将さんや店長が書くことになっていて、手が回らない |
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| 事実を確かめる手間 | 「料理が冷めていた」と書かれても、その日の様子を確かめにくい |
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このうち、AIで軽くできるのは「書く時間」と「同じ文になる」の2つです。厳しい口コミへの答え方や、事実の確かめは、人の仕事として残ります。ただ、AIの下書きが手元にあると、ゼロから書くより、ずっと取りかかりやすくなります。
返信は、口コミを書いた方だけでなく、これから来ようか迷っている方も読んでいます。ていねいな返信が並んでいること自体が、宿や店の様子を伝える材料になります。
下書きの頼み方
AIに口コミだけを渡して「返信を書いて」と頼むと、どの店にも当てはまる、当たり障りのない文になりがちです。店らしい返信にするには、先に店の情報と返信の決まりを渡しておきます。
- 店の情報を1枚にまとめる(店の名前、料理や部屋の特徴、季節の催し、近くの見どころ)
- 返信の決まりを書く(書き出しと結びの言葉、署名の名前、使わない言葉、長さの目安)
- 過去の返信で、店らしいと思えるものを3つほど選び、見本として添える
- 返信したい口コミを1件ずつ渡し、「口コミに書かれていることだけに触れて、書かれていないことは足さない」と頼む
- 下書きを読み、次の節の「人が確かめる所」を見てから、言葉を直して出す
3つ目の見本が効きます。見本があると、AIは言葉づかいや長さをまねるので、毎回の直しが減ります。うまく出せた返信は見本に加え、時々入れ替えていきます。
返信の決まりに書いておくこと
返信の決まりの例| 項目 | 書き方の例 |
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| 書き出し | 「このたびはお越しいただき、ありがとうございました。」 |
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| 結び | 季節の話か、近くの見どころの話でしめる |
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| 署名 | 「〇〇旅館 女将 〇〇」のように、だれが書いたかを出す |
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| 長さ | ほめる口コミは3〜5文、厳しい口コミは5〜8文 |
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| 使わない言葉 | 「スタッフ一同」「心より」の重ね使い、絵文字、値引きの話 |
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決まりは、女将さんや店長が書いてきた返信を読み返して作るのがいちばんです。これまでの返信に、店の言葉づかいがすでに表れています。
口コミを書いた方の名前は入れなくてよい
口コミに書かれた投稿者の名前や、宿泊・来店の日付は、返信の下書きには要らないことがほとんどです。AIに渡すのは、口コミの本文だけにしておくと安心です。
人が確かめる所
AIの下書きは、読みやすく整っていても、事実と違うことや、店として約束できないことを含むことがあります。出す前に、次の所を人が確かめます。
口コミ返信で、人が確かめる所| 確かめる所 | 起きやすいこと | 直し方 |
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| 料理・部屋・設備の事実 | 口コミに無い料理の名前や、無い設備に触れる | 店の情報と見比べ、違う所は消す |
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| 約束にあたる言葉 | 「次回は割引いたします」「二度と起こしません」と書いてしまう | 店として決めたことだけを書く |
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| おわびの範囲 | 事実を確かめる前に、全面的に非を認める | 確かめた事実に合わせて、おわびの言葉を選ぶ |
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| ほかのお客さまの話 | ほかの日のお客さまや、従業員の名前に触れる | 名前や特定できる話は消す |
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| 言葉づかい | かたすぎる、なれなれしい | 見本の返信に合わせて直す |
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2つ目の行に気をつけてください。AIは、口コミの不満に答えようとして、店がまだ決めていない約束を書いてしまうことがあります。返信は多くの人が読む文なので、一度出した約束は取り消しにくいものです。
例:ほめる口コミ・厳しい口コミ
ここでは、県内の海沿いで客室15室ほどの旅館を例に考えます(例として作った旅館と口コミです)。
例1:ほめる口コミ
口コミ:「夕食のあんこう鍋がおいしかった。仲居さんが子どもに声をかけてくれてうれしかった。」
AIの下書きは、お礼の言葉に続けて、あんこう鍋と仲居さんの声かけの2つに触れていました。ただ、「あんこう鍋は地元の漁港から毎朝仕入れています」という一文が足されていました。仕入れの話は口コミにも店の情報にも無かったため、消しました。代わりに、店の情報にある「冬だけのお料理」という言葉を使って、季節の話につなげています。
例2:厳しい口コミ
口コミ:「部屋が寒く、夜中に目が覚めた。フロントに電話したが、毛布が届くまでに時間がかかった。」
厳しい口コミは、AIに下書きさせる前に、責任者がその日の様子を確かめます。この例では、暖房の調子と、夜のフロントの人数を確かめたうえで、AIに「寒い思いをさせたことへのおわび」「毛布が遅れたことへのおわび」「確かめた事実」「店が決めた対応」の4つを入れた返信を頼みました。
例2で、下書きから直した所| 下書きの文 | 直した理由 | 直した文の向き |
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| 全室の暖房を新しくいたします | 店で決めていない約束 | その部屋の暖房を点検したことを書く |
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| スタッフ一同、深く反省しております | かたく、型どおりに読める | 夜の対応で毛布が遅れたことを、具体的におわびする |
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| またのお越しを心よりお待ちしております | おわびの返信の結びとして軽い | 寒い季節の過ごし方の案内につなげる |
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厳しい口コミへの返信は、AIの下書きをそのまま使うより、責任者が中身を決め、言葉の整え方をAIに手伝わせる、という順番のほうがうまくいきます。
いばらきAIにご相談いただいたら
いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、宿やお店の名前と、口コミの返信で困っていることを一言お送りください。公開されている口コミと、過去の返信の見本があれば、ご相談の場で、下書きの頼み方を試してお見せします。
従業員の方が自分でAIに頼めるようにしたい場合は、AI研修をご提案します。AIの使い方を全6回で1つずつ身につける研修で、1〜5名・1回2時間・約2か月、オンラインで行います。演習の題材はメールの返事や議事録など、ふだんの事務の文章です。頼み方の基本と、AIの答えを確かめる習慣を身につけていただけば、口コミの返信にもそのまま生かせます。
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まとめ:店の情報と返信の決まりを1枚にする
- 店の情報・返信の決まり・見本の返信を渡すと、下書きが店らしい文に近づく
- 料理や部屋の事実、約束にあたる言葉、おわびの範囲は、人が確かめる
- 厳しい口コミは、責任者が中身を決めてから、言葉の整え方をAIに手伝わせる
まずは、店の特徴と、返信で使う書き出し・結び・署名を、紙1枚にまとめてみてください。その1枚と過去の返信3つがあれば、今日からでも下書きを試せます。まずは、たまっている口コミのうち、ほめる口コミ1件から始めてみましょう。