茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

県内のほかの会社は、AIをどこまで使っているのか?

茨城の会社の生成AI活用は27.9%|県内調査から読む次の一手

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 茨城県内で生成AIを業務で「活用している」企業は27.9%。中小企業では24.8%
  • 使い道は文章の作成・要約・校正が中心で、データの集計・分析はまだ少ない
  • 使っている会社の多くが効果を感じている一方、「どの仕事に使うか」で迷う会社が多い
  • 次の一手は、文章の次に、毎日の集計や書き写しへ広げること
折れ線グラフを印刷した紙とペン

「よその会社は、もうAIを使っているのか」。役員会でこう聞かれて、答えを探している方は少なくないと思います。全国の調査や大企業の話はよく目にしますが、茨城の会社に絞った数字は、なかなか見つかりません。

2026年6月、帝国データバンク水戸支店が、茨城県内の企業を対象にした生成AIの調査を発表しました。生成AIとは、文章や表を、頼んだ言葉に応じて作ってくれるAIのことです。

この記事では、この調査の数字を、社内で説明するときに使える形で読み解きます。そのうえで、自社がどの位置にいるかを確かめ、次に何へ広げるかを決める手順を紹介します。

県内調査の要点:規模と業界でこれだけ違う

調査は2026年3月17日から31日に行われ、茨城県内の企業349社のうち147社が答えています(回答率42.1%)。県内の企業だけを対象にした、数少ない調査です。

生成AIを業務で「活用している」と答えた県内の企業は27.9%でした。およそ4社に1社です。ただし、規模で分けると差が大きく、大企業では70.0%なのに対して、中小企業は24.8%、小規模企業は20.0%にとどまります。

従業員の数で見ると、21〜50人が41.5%、51〜100人が29.2%、101〜300人が23.1%でした。規模が大きいほど使っている、という単純な形にはなっていません。50人までの会社では、社長や役員が自分で試して、そのまま社内に広げやすいのかもしれません。100人を超えると、部署ごとに決めることが増え、広がるのに時間がかかる、という見方もできます(ここは筆者の推測で、調査では理由までは分かりません)。

業界ごとの差

業界別では、小売が36.4%で最も高く、建設が35.7%、サービスが34.8%と続き、3割を超えました。運輸・倉庫は26.7%、製造は23.8%です。卸売は13.6%で、1割台にとどまっています。

建設が上位にいるのは意外に感じるかもしれません。現場から事務所へ送る報告や、役所に出す書類など、文章を書く仕事が多い業界です。文章づくりから使い始めた会社が多いと考えると、次の節の結果ともつながります。

全国の数字と比べるとき

中小企業基盤整備機構の全国調査(令和8年3月)では、AIを「既に導入している」中小企業は20.4%でした。ただし、聞き方も対象も違う調査なので、県内の27.9%と並べて「茨城が上」とは言えません。社内の資料では、2つの数字を別々に、出典を添えて示すのが安全です。

何に使われているか:文章と情報集めが中心

生成AIを使っている県内の企業に、主な使い道を聞いた結果は次のとおりです。いちばん多いのは「文章の作成・要約・校正」で46.3%。次が「情報収集」の22.0%、「企画立案時のアイデア出し」の12.2%でした。

一方で、「データの集計・分析」と「コード生成などのプログラミング支援」は、どちらも7.3%です。表の数字を扱う仕事には、まだあまり使われていないことが分かります。

使い道ごとに見た、県内での広がりと、社内で次に試す例
使い道県内で使っている割合社内で試す例(筆者の例)
文章の作成・要約・校正46.3%取引先へのメールの下書き、会議メモの要約
情報収集22.0%新しい制度や取引先の業界の下調べ
企画立案時のアイデア出し12.2%販促の案、社内行事の段取りの案
データの集計・分析7.3%日ごとの売上や出荷の表を、週の一覧にまとめる
プログラミング支援7.3%Excelの関数やマクロの下書き

文章の仕事から使い始めるのは、自然な流れです。チャット画面に頼むだけで試せて、結果の良し悪しも読めば分かります。集計や表の仕事は、元の書類を読ませたり、毎回同じ形にそろえたりする工夫がいるので、そこで止まっている会社が多いのだと考えられます。

効果を感じている会社と、迷っている会社

使っている企業のうち、効果が「あった」と答えたのは78.1%でした。中小企業では85.3%、小規模企業では81.8%で、規模の小さい会社のほうが、むしろ効果を感じている結果です。

悪い影響については、「悪影響やトラブルはない」が75.6%でした。気になるのは、「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」が17.1%あったことです。一部の社員だけが使っている状態だと、仕事の早さに差がつき、使い方も社内に残りません。

まだ使っていない会社が迷っていること

生成AIを使ううえでの心配や課題として、いちばん多かったのは「生成AIを活用すべき業務の範囲」で42.2%でした。続いて「専門人材・ノウハウ不足」と「情報の正確性」がどちらも40.8%、「トラブル時の責任所在などのルール整備」と「情報漏洩のリスク」がどちらも29.3%です。

県内の企業が挙げた心配と、使う仕事を決めたあとの考え方(考え方は筆者の整理)
心配・課題割合使う仕事を1つ決めたあとの考え方
活用すべき業務の範囲42.2%回数が多く、元の書類がそろっている仕事から1つ選ぶ
専門人材・ノウハウ不足40.8%その仕事の担当の人が使えれば足りる。全社で詳しい人を育てるのは後でよい
情報の正確性40.8%元の書類と見比べる、合計を確かめる、など人が確かめる手順を決めておく
トラブル時の責任所在などのルール整備29.3%AIの結果を誰が確かめて、誰が使うと決めるかを、その仕事について書く
情報漏洩のリスク29.3%その仕事で扱う書類のうち、入れてよい項目と入れない項目を分ける

1位が「どの仕事に使うか」だという点は、大事な手がかりです。道具の使い方や安全の前に、使う先が決まっていない。裏を返すと、使う仕事を1つ決めれば、残りの心配の多くは、その仕事に合わせて具体的に考えられるようになります。

自社の位置を確かめる手順

数字を読んだら、次は自社に当てはめます。社内で説明する前に、次の順で確かめてみてください。

  1. 社員の方に「仕事で生成AIを使ったことがあるか」「何に使ったか」を聞く。名前は伏せ、使い道だけを集めれば十分です
  2. 集まった使い道を、上の表の5つに振り分ける。文章と情報集めだけなら、県内でも多い使い方の段階です
  3. 使っている人が、部署や年代で偏っていないかを見る。偏りが大きいと、調査にあった「使いこなしの差」が社内でも起きています
  4. AIに入れてよい情報と入れない情報が、社内で決まっているかを確かめる。決まっていなければ、広げる前に決めます
  5. 毎日・毎週、手で集計したり書き写したりしている仕事を3つ書き出す。これが次の一手の候補です

例:社員40人の会社で聞いてみたら

例として、社員40人の会社で聞き取りをしたとします。使ったことがあるのは営業の5人で、使い道はメールの下書きと調べものだけ。事務と現場の人は使っていない。この場合、県内の数字で言えば「使っている会社」ですが、使い道は文章に偏っていて、社内の差も出始めている段階です。次は、事務の担当が毎日つけている出荷の集計から試す、という順番が見えてきます(社員数や人数は説明のための例です)。

聞き取りの結果は、「使い道」「使っている部署」「まだ使っていない部署の手作業」の3列の表に1枚でまとめておくと、役員会でそのまま説明に使えます。県内の数字は横に出典つきで1行添えるだけにして、話の中心は自社の表に置きます。よその会社の割合より、自社のどの仕事に時間がかかっているかのほうが、次の判断に直接つながるからです。

次の一手:文章の次は、集計と書き写し

県内の会社の多くは、文章の仕事でAIの手応えをつかんでいます。次に広げる先として、集計と書き写しの仕事をおすすめします。理由は3つあります。

  • 毎日・毎週くり返すので、1回の短縮が積み重なる
  • 元の書類と出来上がった表を見比べれば、合っているかを人が確かめやすい
  • 担当の人が休むと止まる仕事が多く、一人に頼る状態をほどくきっかけになる

人手の数字と合わせて読む

集計や書き写しを先に挙げるのは、茨城の人手の事情とも関係します。県の資料によると、2025年1月時点で正社員が「不足」と感じている県内企業は56.1%で、コロナ禍以降で最も高くなりました。働く世代の人口も、2020年の1,682千人から、2050年には1,139千人(▲32.3%)まで減ると推計されています。

人を増やしにくい中で、毎日くり返す作業の時間をどう減らすか。文章の下書きは一人ひとりの時間を少しずつ減らしますが、集計や書き写しは、担当の人がまるごと抱えている時間を減らせます。役員会でAIの話をするときは、この2つの数字を並べると、なぜ今なのかが伝わりやすくなります。

ただし、集計はチャット画面に頼むだけでは安定しません。毎回同じ形の表にする、元の書類のどこを読むかを決める、合計が合っているかを人が確かめる。こうした決めごとを先に作ると、毎日使える形になります。AIは読み違いや計算の間違いをすることがあるので、確かめる手順は外せません。

どの集計から始めるかは、「回数が多い」「元の書類がそろっている」「間違えたときの影響が小さい」の3つで選ぶと決めやすくなります。月末の請求のように影響が大きい仕事は、ほかの仕事で手応えを確かめてからにします。

いばらきAIにご相談いただいたら

4つ目の節で作った「使い道・使っている部署・まだ使っていない部署の手作業」の表を、メールに添えてお送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)では、表の右の列にある手作業のうち、文章の次に広げやすいものを一緒に選びます。

社内に広げていく段階では、AX推進顧問として月2回の定例にうかがいます(最低3か月)。1回目の定例では、部署ごとにAIを使える仕事を並べ、取り組む順番をつけた一覧をお渡しします。集計表をお借りできれば、その日のうちにAIで同じ表を作ってご覧いただきます。

社内の使いこなしの差が気になる場合は、社員の方がAIの使い方を全6回で1つずつ身につけるAI研修を組み合わせることもできます。

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まとめ:自社の位置を、社員への一言で確かめる

  • 県内で生成AIを業務で使う企業は27.9%、中小企業では24.8%
  • 使い道は文章が中心で、集計・分析は7.3%にとどまる
  • 迷いの1位は「どの仕事に使うか」。使う仕事を1つ決めると、ほかの心配も具体的になる

明日、社員の方に「仕事でAIを使ったことがあるか、何に使ったか」を一言聞いてみてください。答えを表の5つに振り分けると、自社の位置と次に試す仕事が見えてきます。

出典・参考

よくある質問

茨城県内で生成AIを使っている会社は、どのくらいありますか。

帝国データバンク水戸支店の調査(2026年3月)では、業務で「活用している」県内の企業は27.9%でした。

中小企業に限ると24.8%、小規模企業は20.0%です。調査の対象は県内の企業349社で、147社が答えています。

新聞で「活用は24%」と見ましたが、27.9%とどちらが正しいのですか。

どちらも同じ調査の数字で、対象の範囲が違います。

27.9%は回答した県内企業の全体、24.8%は中小企業だけの割合です。社内の資料に使うときは、どちらの数字かを書き添えると誤解が起きません。

うちはまだ使っていません。遅れているのでしょうか。

県内では、まだ使っていない会社のほうが多い状況です。

調査でも、使っている会社は4社に1社ほどでした。今から始めても、使う仕事を1つ決めて試せば十分に間に合います。

効果があったと答えた会社は、何に使っているのですか。

調査では、効果と使い道を組み合わせた数字までは分かりません。

使い道の全体では、文章の作成・要約・校正が46.3%で最も多くなっています。自社で効果を確かめるには、使う前と後で、その仕事にかかる時間を比べるのが確実です。

この調査の数字を、社内の資料に使ってもよいですか。

数字を引用し、出典を書き添える形で使うのがよいでしょう。

調査を出した帝国データバンクは、レポートの私的な利用を超えた複製や転載を禁じています。図や表をそのまま貼らず、必要な数字だけを書き、出典の名前と発表日、ページの場所を添えてください。

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