茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

人が採れないまま、仕事をどう回していけばいいのか?

茨城の人手不足にAIで備える|正社員不足56.1%の県で

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 茨城県内で正社員が「不足」と感じる企業は56.1%(2025年1月時点)。コロナ禍以降で最も高い
  • 人を増やす以外の手は「仕事を減らす」「人やAIに渡す」「手順を残す」の3つ
  • AIに渡しやすいのは、毎回同じ形で、元の書類があり、人が結果を確かめられる仕事
  • まずは、いちばん時間を取っている作業を1つ書き出し、週に何時間かを測る
空いた椅子が並ぶ事務所

求人を出しても応募が来ない。やっと入った人が1年で辞めて、その穴をベテランが残業で埋めている。茨城の会社の社長から、こうした話を聞くことが増えました。

人を採る努力は続けるとしても、それだけでは追いつかない、と感じている方も多いはずです。この記事では、県の資料にある人手の数字を確かめたうえで、人を増やす以外の3つの手と、そのうちAIに渡しやすい仕事の見分け方を紹介します。最後に、月末の集計を例に、どこから手を付けるかを具体的に書きます。

数字で見る茨城の人手不足

茨城県議会の特別委員会に県の産業戦略部が出した資料には、帝国データバンクの調査をもとにした人手の数字が載っています。正社員が「不足」と感じている県内企業の割合は、年ごとに次のとおりです(各年1月時点)。

正社員が「不足」と感じている茨城県内企業の割合(各年1月時点)
年割合
2020年(令和2年)55.8%
2021年(令和3年)44.7%
2022年(令和4年)52.8%
2023年(令和5年)54.7%
2024年(令和6年)52.6%
2025年(令和7年)56.1%

2021年にいったん下がったあと、また上がり続け、2025年は56.1%になりました。資料では「コロナ禍以降で最も高くなっている」と書かれています。県内の会社の半分以上が、正社員が足りないと感じていることになります。

この先、働く世代はさらに減る

同じ資料には、この先の人口の推計もあります。県の人口は2020年の287万人から、2050年には225万人(▲21.7%)まで減る見込みです。15〜64歳の働く世代は、1,682千人から1,139千人(▲32.3%)へと、人口全体より大きく減ると推計されています。

若い世代の動きも厳しく、2024年には15〜29歳で7,800人の転出超過でした。人を採る競争は、今後も楽にはならないと考えておくのが現実的です。

自社の数字に置きかえてみる

県の数字は全体の傾向です。自社の備えを考えるときは、社内の数字に置きかえます。社員の名簿を見ながら、5年以内に定年を迎える人、ここ3年で辞めた人の数、いま欠員のままの持ち場を書き出してみてください。5年以内に抜ける人が受け持っている仕事が、備えを急ぐ順番の目安になります。名前を並べるだけで、どの持ち場が先に手薄になるかが見えてきます。

人を増やす以外の3つの手:減らす・渡す・残す

人手が足りないとき、手の打ち方は大きく3つあります。どれか1つではなく、仕事ごとに使い分けます。

減らす:やめても困らない仕事をやめる

誰も読んでいない報告書、二重に取っている控え、念のために続けている確認。長く続いている会社ほど、理由が分からないまま残っている仕事があります。AIの前に、まずやめられるものを探します。

探すときは、仕事ごとに次の4つを問いかけます。1つでも「いいえ」なら、やめるか、回数を減らす候補です。

  • この書類や報告を、毎回読んで使っている人はいるか
  • 同じ内容を、別の場所にも書いていないか
  • やめたら、誰がいつ困るかを具体的に言えるか
  • 月に1回で足りるものを、毎週やっていないか

やめる判断は、担当の人だけでは決めにくいものです。「社長が前に頼んだ」「前の担当から引き継いだ」という理由で続いている仕事は、決める立場の人が一言「やめてよい」と言うだけで消えます。AIを入れるより、手早く確実に時間が空く手です。

渡す:人や道具に任せる

ベテランや社長が抱えている仕事のうち、ほかの社員でもできるものは人に渡します。毎回同じ手順でくり返す作業は、AIや道具に渡します。人に渡すか道具に渡すかは、次の節の見分け方で決めます。

人に渡すときに気をつけたいのは、渡した先も人手が足りていないことです。若手に事務を渡した結果、その若手の本来の仕事が回らなくなっては意味がありません。人に渡す前に、渡す仕事のうちAIで短くできる部分を先に短くしておくと、受け取る側の負担が軽くなります。

残す:辞める前に手順を残す

人が辞めたときにいちばん困るのは、その人しか知らない段取りが消えることです。手順を書き残しておけば、次の人が早く覚えられ、AIに渡せる部分も見えてきます。話してもらった内容をAIで手順書の形に整える方法もあります。

手順を残す順番は、「辞める時期が近い人の仕事」「年に数回しかない仕事」「担当が一人しかいない仕事」の順がおすすめです。毎日やる仕事は周りの人も見ているので、何となく引き継がれます。回数の少ない仕事ほど、本人がいなくなると誰も分からなくなります。

一人しか知らない仕事を手順書にする方法を読む

AIに渡しやすい仕事の見分け方

AIは、どんな仕事でも代わりにできるわけではありません。中小企業基盤整備機構の全国調査(令和8年3月)でも、効率化が難しい業務として「人の判断が必要な業務(営業提案、顧客折衝など)」を挙げた会社が7割近くありました。渡しやすい仕事には、次のような共通点があります。

AIに渡しやすい仕事と、人に残す仕事の見分け方
見るところAIに渡しやすい人に残す
形毎回同じ形の表や文書を作る毎回、相手や状況で中身が大きく変わる
元の材料注文書・日報・伝票など、元の書類がある相手の表情や現場の様子を見て決める
確かめ方元の書類と見比べれば、合っているか分かる正しいかどうかを、経験で判断するしかない
間違えたとき人が確かめる段階で直せるすぐ相手に伝わり、取り返しにくい
回数毎日・毎週くり返す年に数回しかない

5つの行の左側に多く当てはまる仕事から、AIに渡す候補にします。右側に当てはまる仕事は、人が受け持ったまま、AIには下ごしらえ(資料を集める、下書きを作る)だけを頼む形が向いています。

たとえば営業の見積もりの相談は、相手の事情を聞いて値を決めるので人の仕事です。それでも、過去の見積書から似た案件を探して並べる、決まった値を書式に流し込む、といった前後の作業はAIに頼めます。1つの仕事を丸ごと渡すか残すかではなく、仕事の中の作業ごとに分けて考えると、渡せる部分が見つかりやすくなります。

AIは間違えることがあります。渡した仕事にも、人が結果を確かめる段階を1つ残します。たとえば、集計表の合計を元の伝票の合計と比べる、送る前の文書に担当者が目を通す、といった形です。確かめる時間を入れても、一から手で作るより短くなる仕事を選ぶのがこつです。

県内の調査(帝国データバンク水戸支店、2026年3月)では、生成AIを使っている企業のうち78.1%が効果が「あった」と答え、中小企業では85.3%でした。人の少ない会社ほど、1つの作業が減ったときの手応えが大きいとも読めます。

例:月末の集計を表1枚にした場合

ここからは、架空の会社を例に、どう進めるかを書きます。会社の規模・人数・時間は、説明のための例です。

例:社員60人の部品加工の会社

経理の担当は2人。そのうち1人が来年の春に退職する予定です。月末には、3つの部署から届く作業時間と材料の使用量をExcelで集め、品目ごとの原価の表を作っています。表の形は部署ごとにばらばらで、集めて整えるだけで丸2日かかり、手順を知っているのは辞める予定の1人だけです。

この会社では、次の順で進めることにしました。

  1. 辞める予定の担当に、月末の集計の段取りを口で説明してもらい、AIで手順書の形に整える(残す)
  2. 手順書を見ながら、使われていない集計の列がないかを確かめ、2つ削る(減らす)
  3. 3部署の表をAIに読ませ、品目ごとの原価の表を同じ形で作る道具にする(渡す)
  4. 残る担当が、AIの作った表の合計を、部署の表の合計と見比べる段階を入れる
  5. 2か月、手で作った表とAIで作った表を並べて確かめ、ずれがなくなってから切り替える
例の会社の月末の集計、進める前と後(数字は説明のための例)
進める前進めた後
手順を知っている人辞める予定の1人だけ手順書があり、残る担当も読める
部署から届く表形が部署ごとにばらばら列の並びをそろえ、使わない列を2つ削った
品目ごとの原価の表担当が手で集めて整えるAIが部署の表を読んで作る
人がすること集める・整える・計算するAIの表の合計を、部署の表と見比べる
かかる時間丸2日半日ほど(見込み)

この例では、集めて整える丸2日の作業が、AIの表を確かめる半日ほどになる見込みを立てました。大事なのは、時間が減ることより、辞める人の頭の中にしかなかった手順が、手順書と道具の両方に残ることです。残った担当1人でも、月末を回せる形になります。

実際には、部署の表の形をそろえてもらう段階で、現場から「この欄はいらない」「この書き方のほうが楽」という声が出ます。そうした声を取り入れながら直していくので、最初の1か月は、手で作る表も並行して残しておきます。

いばらきAIにご相談いただいたら

「一番時間を取る作業」の1行と、辞める予定の方がいればその方の受け持ちを、メールで一言お送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)では、その作業が減らす・渡す・残すのどれに当たるかを、書類を見ながら一緒に仕分けます。

AX推進顧問(月2回の定例・最低3か月)では、退職の時期から逆算して、手順を残す仕事とAIに渡す仕事の順番を決めます。最初の定例で順番の一覧をお出しし、月末の集計表のようなデータがあれば、その場でAIにまとめさせた試作を見ていただきます。

道具として作り込む段階では、定例で話をうかがったエンジニア(代表)が、そのまま開発を受け持ちます。辞める方の段取りを聞いた本人が作るので、手順書と道具の中身がずれません。

AX推進顧問について見る

茨城県の会社のAI導入について見る

まとめ:一番時間を取る作業を1つ書く

  • 県内で正社員が足りないと感じる企業は56.1%。働く世代は2050年までに3割ほど減る見込み
  • 人を増やす以外に、減らす・渡す・残すの3つの手がある
  • AIには、同じ形・元の書類あり・人が確かめられる仕事から渡す

明日、いちばん時間を取っている作業を1つ紙に書き、先週その作業に何時間かかったかを横に書いてみてください。その1行が、減らす・渡す・残すのどれから始めるかを決める材料になります。

書いた作業が「やめても誰も困らない」ものなら減らす、「毎回同じ形」なら渡す、「その人しか分からない」なら残す。3つのうちどれに当たるかを横に書き添えるだけで、来週からの動き方が決まります。

出典・参考

よくある質問

AIを入れたら、人を減らせますか。

人を減らすより、今いる人の手を空けるために使うのが現実的です。

AIは間違えることがあるので、渡した仕事にも人が確かめる段階が残ります。空いた時間を、人にしかできない仕事や、辞めた人の穴埋めに回す形を考えます。

人手が足りなくて、AIを試す時間もありません。

最初は、いちばん時間を取っている作業を1つ選び、書類を1枚用意するだけで構いません。

書類があれば、相談の場でAIに読ませた結果を見られます。社内で一から調べる時間を取らなくても、試せるかどうかは判断できます。

辞める予定の社員がいます。先に何をすればよいですか。

辞める前に、その人の仕事の段取りを話してもらい、記録に残すことです。

話した内容は、AIで手順書の形に整えられます。手順書ができると、次の担当に渡す部分と、AIに渡せる部分を分けて考えられます。

人手不足の対策として、AIと採用のどちらを先にすべきですか。

どちらか一方ではなく、並べて進めるのがよいと考えます。

採用は結果が出るまで時間がかかり、AIは試すまでの時間が短い手です。AIで今いる人の手を空けておくと、新しく入った人に教える時間も取りやすくなります。

現場の仕事も、AIで減らせますか。

現場の作業そのものより、現場と事務所の間の書類仕事から減らすのが始めやすい方法です。

日報や点検の記録を書き直す、写して集計する、といった作業は、元の書類があり、人が結果を確かめやすいので、AIに渡しやすい仕事です。

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訪問をご希望の場合はご相談ください。

事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。