茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

紙とExcelに同じことを2回書く手間は、なくせるか?

茨城の中小企業の業務効率化|紙とExcelの二重入力から

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 県内の調査では、生成AIの使い道は文章が中心(46.3%)で、データの集計・分析は7.3%にとどまる
  • 二重入力は「紙からExcel」「Excelから別のソフト」「メールから表」の3か所で生まれやすい
  • AIに任せるのは「読み取って表に入れる」所。人は元の書類と見比べる所を受け持つ
  • 最初は、毎日くり返し、元の書類がそろっている1つの書き写しから始める
表計算の画面を開いたノートパソコンと手元

電話で受けた注文を紙に書き、あとでExcelに打ち込む。Excelでまとめた数字を、今度は会計ソフトに打ち直す。同じ中身を2回、3回と書いている仕事は、どの会社にも1つはあるはずです。これを二重入力と呼びます。

二重入力は、1回ごとの時間は短く、担当の人も慣れているので、なかなか問題として挙がりません。「いつものこと」として、社長や役員の目に入らないまま続いていることも多い仕事です。けれど毎日積み重なると、事務の担当の時間の多くを占め、写し間違いの元にもなります。

この記事では、県内の会社でAIがどの仕事に使われているかを確かめたうえで、二重入力が生まれる場所の見つけ方と、AIで写す作業をなくしていく手順を、手書きの注文を例に紹介します。

県内の会社で、AIが使われている仕事・まだの仕事

帝国データバンク水戸支店が県内の企業に聞いた調査(2026年3月)で、生成AIの主な使い道を見ると、いちばん多いのは「文章の作成・要約・校正」で46.3%でした。一方、「データの集計・分析」は7.3%です。県内のAIは、文章の仕事から先に広がり、数字を扱う仕事は後回しになっている、という形です。

表や数字の仕事こそ、二重入力が多く残っている所です。文章の下書きは担当の人がその場で使えますが、紙の書類を読み取ってExcelに入れる、といった仕事は、AIに何をどう渡すかを決めないと使えません。この「決める」手間が、使われていない理由の1つだと考えられます。裏を返せば、読み取る項目と表の形を一度決めてしまえば、あとは毎日同じように任せられる仕事でもあります。文章の仕事より準備はいりますが、一度回り始めると、担当の人の手元から毎日まとまった時間が空きます。

人が足りないほど、二重入力は重くなる

県の資料によると、正社員が「不足」と感じている県内企業は、2025年1月時点で56.1%でした。事務の担当が1人減ると、残った人が書き写しの量をそのまま引き受けることになります。書き写しは、人が減っても量は減らない仕事です。

同じ県内調査では、生成AIを使っている会社の17.1%が、「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」と答えています。一部の社員が自己流でAIを使うだけでは、会社全体の書き写しは減りません。仕事の流れの中に、AIを使う場所を決めておく必要があります。

二重入力が生まれる場所

二重入力は、情報が「形を変えて受け渡される所」で生まれます。中小企業でよく見かけるのは、次の3つの場所です。

二重入力が生まれやすい3つの場所
場所よくある例なぜ二重になるか
紙からExcelへ手書きの注文書・日報・点検表を、事務所でExcelに打ち込む現場では紙のほうが速く、事務所ではデータが要る
Excelから別のソフトへExcelでまとめた売上を、会計ソフトや請求のソフトに打ち直すソフト同士がつながっていない
メールやFAXから表へ取引先から届く注文や問い合わせを、受注表や台帳に書き写す取引先ごとに形が違い、そのままでは表に入らない

自社の二重入力を探すには、1つの書類を始まりから終わりまで追いかけるのが近道です。たとえば、注文が届いてから請求書を出すまでに、注文の中身が何回書かれているかを数えてみます。3回以上書かれていたら、少なくとも2回は書き写しです。

  • その書類は、最初に誰が、何に書いているか
  • 次に、誰が、どの表やソフトに書いているか
  • 同じ中身を見ながら書いている所はどこか
  • 書き写した先の表は、誰が何に使っているか

4つ目の問いで、書き写した先の表が誰にも使われていないと分かることもあります。その場合は、AIに任せる前に、書き写しそのものをやめられます。

なくせる書き写し・残す書き写し

書き写しの中には、わざと残しているものもあります。たとえば、注文を受けた人とは別の人が受注表に打ち込むことで、聞き間違いに気づける、という役目を果たしている場合です。こうした書き写しは、なくすのではなく、AIが読み取った結果を人が見比べる形に置きかえると、確かめる役目を残したまま手間を減らせます。

AIで写す作業をなくす手順

AIは、紙の写真やメールの本文から、決めた項目を読み取り、表の形にそろえることができます。写す作業をAIに任せるまでの手順は次のとおりです。

  1. 書き写しを1つ選ぶ。「毎日くり返す」「元の書類がそろっている」「間違えても人が確かめる段階で直せる」ものにします
  2. 写す先の表で、使っている列を書き出す。使っていない列はこの機会に消します
  3. 元の書類のどこを読めば、それぞれの列が埋まるかを、書類の写しに印を付けて決める
  4. 取引先名や品名の呼び方をそろえた一覧を作る(略し方や書き癖を1つの名前にまとめます)
  5. 元の書類を撮るかメールを転送するだけで、AIが読み取って表に足す形を作る
  6. 読み取りに自信のない値と、ふだんと大きく違う値に印を付け、人は印の付いた行だけ元の書類と見比べる
  7. 2週間ほど、手で写した表とAIの表を並べて確かめ、ずれがなくなってから手で写すのをやめる

7つ目の「並べて確かめる」期間は省かないでください。AIは読み違いをすることがあり、特に手書きの数字や、かすれたFAXの文字は間違えやすくなります。並べて確かめる期間に、どの書類のどの欄で間違えやすいかが分かれば、その欄だけを重点的に見る形にできます。

Excelから別のソフトへの書き写し

Excelから会計ソフトや請求のソフトへの書き写しは、紙の読み取りとは少し考え方が違います。多くのソフトには、決まった形のファイルを読み込む機能があります。AIの役目は、いまのExcelの表を、そのソフトが読み込める形に並べ替えることです。並べ替えの決まりを一度作ってしまえば、毎回の打ち直しは、ファイルを読み込む操作に置きかわります。

どの形なら読み込めるかは、使っているソフトの説明書や、ソフトの会社の案内に書かれています。まずは、そのソフトに「読み込み」の機能があるかを確かめてください。

AIに入れてよい情報も、始める前に決めておきます。取引先の名前や金額を入れる場合は、入れた内容をAIの会社が学習に使わない設定にしてから使います。

例:手書きの注文を一覧表にする

例:社員35人の業務用食材の卸の会社

飲食店からの注文は、電話とFAXで届きます。電話は受けた人が注文票に手書きし、FAXはそのまま束ねます。夕方、事務の担当が注文票とFAXの束を見ながら、翌日の出荷の一覧をExcelで作り、さらに同じ中身を請求のソフトに打ち込んでいます。夕方の2時間ほどがこの作業で埋まり、担当が休むと、ほかの人が手分けしても夜までかかります(会社の規模や中身は説明のための例です)。

この会社では、書き写しが「注文票・FAXから出荷の一覧へ」と「出荷の一覧から請求のソフトへ」の2か所ありました。まず1つ目の、紙から一覧への書き写しをAIに任せることにしました。

例の会社の注文の受け渡し、見直す前と後(見込みを含む)
見直す前見直した後
電話の注文受けた人が注文票に手書き注文票に手書きのまま(項目の並びだけ整える)
FAXの注文紙の束のまま机に置く届いたら撮る(複合機で読み込む)
出荷の一覧づくり事務の担当が夕方に2時間かけて打ち込むAIが読み取って一覧に足す。担当は印の付いた行だけ確かめる
請求のソフトへの入力出荷の一覧を見て打ち直す次の段階で、一覧からそのまま取り込める形にする

電話の注文票は、項目の並びを「店名・品名・数量・届ける日」の順に整えるだけにしました。書く人の手間は変わらず、AIが読み取りやすくなります。注文票の束は、夕方まとめてではなく、昼と夕方の2回に分けて撮ることにしました。FAXは届いたら複合機で読み込み、決まった置き場所に入れます。

2週間並べて確かめたところ、間違えやすいのは手書きの数量の「1」と「7」、品名の略し方でした。この2つを重点的に見る形にして、手で打ち込むのをやめます。2つ目の書き写し(一覧から請求のソフトへ)は、1つ目が落ち着いてから取りかかります。

順番に進める理由は、1つ目で「読み取った一覧が正しい」と信じられる状態を作っておくためです。一覧が正しいと分かっていれば、2つ目の請求のソフトへの取り込みでは、並べ替えの決まりだけを確かめれば済みます。

いばらきAIにご相談いただいたら

まとめの節で数えた「書類の名前と書かれた回数」のメモに、元の書類を1枚添えてメールでお送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)で、その書類をAIで読み取り、写す先の表に入れた試作をお見せします。

2週間並べて確かめる期間も、試作を使いながら一緒に進めます。読み違いの多い欄が分かれば、印の付け方をその場で直します。道具づくりは、話をうかがったエンジニア(代表)が受け持ちます。

1つ目の書き写しが落ち着いたら、次の書き写し(Excelから会計ソフトへ、など)に広げるかを相談しながら決めます。広げるときの作り足しは開発として、日々の小さな直しは保守としてお受けします。

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まとめ:1つの書類が何回書かれているかを数える

  • 県内ではAIは文章の仕事が中心で、集計・分析への活用は7.3%。表や数字の仕事に二重入力が残っている
  • 二重入力は、紙からExcel、Excelから別のソフト、メールから表の3か所で生まれやすい
  • AIは読み取って表に入れる所を、人は見比べる所を受け持ち、並べて確かめてから切り替える

まずは、注文や日報など、毎日出てくる書類を1つ選び、最初に書かれてから最後に使われるまでに何回書かれているかを数えてみてください。2回以上なら、そのうちの1回はAIに任せられる候補です。

数えた結果は、書類の名前と回数、書いている人の名前を1行ずつ並べたメモにしておきます。そのメモがあれば、社内で「どこから始めるか」を話し合うときも、外に相談するときも、同じ材料で話せます。

出典・参考

よくある質問

二重入力をなくすには、新しいシステムが必要ですか。

必要とは限りません。いまの紙やExcelはそのままに、書き写す作業だけをAIに任せる方法もあります。

新しいシステムを入れると、使い方を覚える手間や、いまの道具との入れ替えが必要になります。現場が慣れるまでの時間も見込んでおく必要があります。まずは1つの書き写しで試し、効果を確かめてから広げるのがおすすめです。

FAXの文字がかすれていても、AIは読めますか。

読めることが多いものの、かすれた所ほど読み違いが増えます。

FAXは、紙で届いたものを撮るより、複合機で読み込んだ画像を使うほうが読み取りが安定します。それでも読めない所は印を付けて人が元の紙を見る形にし、よく注文をくれる取引先には、メールで送ってもらえないか相談してみるのも1つの手です。

事務の担当がパソコンに慣れていません。

担当の方の作業は、書類を撮るか読み込むことと、印の付いた行を確かめることだけにできます。

AIへの頼み方を毎回考える必要がないよう、読み取る項目や表の形は道具の中に決めておきます。説明のスライドと動画があれば、あとから担当が替わっても使い方を引き継げます。

二重入力をなくすと、確かめる人がいなくなりませんか。

確かめる役目は、AIの結果を見比べる形で残します。

書き写しには、写しながら間違いに気づく役目があることもあります。AIが読み取った値のうち、自信のないものや、ふだんと大きく違うものに印を付け、人がその行を元の書類と見比べる形にすれば、確かめる役目は残ったまま手間が減ります。

どの書き写しから始めればよいですか。

毎日くり返し、元の書類がそろっていて、間違えても人が確かめる段階で直せるものから始めます。

月末の請求のように、間違いがそのまま取引先に届く書類は、ほかの書き写しで手応えをつかんでからにします。

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事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。