茨城の会社とAI公開 約9分で読めます

頼んだシステムが、思っていた物と違ったらどうするか?

茨城でシステム開発を頼む前に、社内で決めておく5つのこと

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 頼む前に決めるのは「何の仕事を変えるか」「誰が使うか」「何を残すか」「誰が決めるか」「作ったあと誰が直すか」の5つ
  • 仕事の流れを、書類が動く順に紙1枚に書くと、作るものの範囲がはっきりする
  • 仕様書を詰めるより、動く見本を触って確かめるほうが、現場に合ったものになりやすい
  • 作ったあとの不具合・小さな直し・大きな作り足しの受け持ちを、作る前に決めておく
コードを表示したノートパソコンの机

「受注から出荷までを1つの画面で見られるようにしたい」「紙の点検表をやめて、スマホで記録したい」。業務のシステムやアプリを作りたいと考えたとき、多くの会社はまず、作ってくれる相手を探し始めます。

けれど、相手を探す前に社内で決めておくべきことがあります。ここが決まっていないと、見積もりの比べようがなく、作り始めてから「思っていたのと違う」が続き、出来上がっても現場で使われない、ということが起きます。

この記事では、システム開発を頼む前に社内で決めておきたい5つのことと、仕事の流れを紙1枚に書く手順、動く見本で先に確かめる進め方、作ったあとの保守の決めごとを紹介します。

作る前に決める5つのこと

茨城県では、新しい仕事の進め方を後押しする動きが続いています。県の産業戦略部は令和8年度、「生成AIやIоTなどデジタル技術の活用を支援することで、県内中小企業等の生産性向上を後押しし、競争力の強化と持続的な成長を図る」ための新しい事業を始めました。人手の面でも、正社員が「不足」と感じている県内企業は2025年1月時点で56.1%と、人の手だけで仕事を回すのは難しくなっています。

とはいえ、システムを作れば仕事が楽になるわけではありません。頼む前に、次の5つを社内で決めておきます。

システム開発を頼む前に社内で決めておく5つのこと
決めること書き方の例決めていないと起きること
1. 何の仕事を変えるか「注文書を受けてから出荷の指示を出すまで」作るものの範囲が広がり続け、終わらない
2. 誰が使うか「事務の3人がパソコンで、倉庫の5人がスマホで」使う人に合わない画面になる
3. 何を残すか「会計ソフトはそのまま。Excelの受注表はやめる」いまの道具と二重に入力することになる
4. 誰が決めるか「画面の形は事務の主任、範囲と予算は専務」直しの相談のたびに話が止まる
5. 作ったあと誰が直すか「不具合と小さな直しは作った相手に。社内の窓口は総務」使い始めてからの直しが進まず、使われなくなる

5つのうち、見落とされやすいのは3つ目と5つ目です。新しいシステムを入れても、いまのExcelや紙をやめる決めごとがなければ、現場は両方に書くことになり、手間が増えます。また、使い始めてから「ここを直したい」という声はほとんどの場合に出てくるので、受け持ちを先に決めておかないと、少しずつ使われなくなります。

仕事の流れを紙1枚に書く

5つのうち1つ目の「何の仕事を変えるか」を決めるには、いまの仕事の流れを書き出すのがいちばんの近道です。むずかしい図は要りません。書類が動く順に、紙1枚に書きます。

  1. 変えたい仕事の、始まりと終わりを決める(「注文が届いたとき」から「出荷の指示を倉庫に渡したとき」まで、など)
  2. 始まりから終わりまでに、書類やデータがどこを通るかを、順に横へ並べて書く
  3. それぞれの場所で、誰が、何を見て、何を書いているかを書き添える
  4. 同じ中身を写している所に丸を付ける
  5. 担当の人が休むと止まる所に三角を付ける
  6. 丸と三角の付いた所のうち、いちばん時間のかかっている所を、システムで変える最初の範囲にする

書き出すと、変えたい所は思っていたより狭いことに気づく会社が多いものです。「受注から出荷まで全部」ではなく、「取引先ごとに形の違う注文書を、受注表に写す所」が本当の手間だった、ということがよくあります。範囲が狭いほど、早く作れて、早く確かめられます。

たとえば、ある会社が受注の流れを書くと、次のようになります(例)。「取引先からFAX・メールで注文が届く → 事務の担当が印刷して机に置く → 別の担当が受注表(Excel)に打ち込む(丸) → 主任が在庫の表と見比べて出荷日を決める(三角) → 倉庫へ出荷の指示書を手書きで渡す(丸)」。この1行だけで、写す所が2か所、主任が休むと止まる所が1か所あることが分かります。

茨城県の製造業の統計を見ると、従業者4人以上の事業所のうち、30〜299人の中規模の事業所が1,472(30.5%)あります。この規模の会社は、部署ごとに書類の形が違い、流れの途中で写す作業が生まれやすい規模です。人が少ない会社なら1人の頭の中で済んでいた受け渡しが、人数が増えると紙やExcelでの受け渡しに変わるためです。流れを1枚に書くと、部署の境目にある書き写しが見えてきます。

動く見本で先に確かめる

これまでのシステム開発では、作る前に細かい仕様書を作り、それに沿って作るのが一般的でした。ただ、中小企業の現場の人に、文字だけの仕様書を読んで「これで使えるか」を判断してもらうのは、むずかしいことです。仕様書の上では正しくても、実際の画面を触ると「ボタンが遠い」「入れる順番が仕事と逆」といった食い違いが見つかります。食い違いが見つかるのが出来上がった後だと、直すのに時間がかかり、現場の気持ちも離れてしまいます。

いまは、AIを使った開発の道具が進み、小さな動く見本(試作)を短い時間で作れるようになりました。仕様書を詰める前に、まず見本を作り、現場の人に触ってもらい、「ここが使いにくい」「この欄は要らない」という声で直していく進め方がとれます。

例:紙の設備点検表をスマホに移したい社員90人の工場

毎朝、保全の担当4人が、紙の点検表に30項目ほどの○×と数値を書いています。仕様書から入る場合、項目の一覧と画面の説明を文章で詰めることになり、現場の人は「たぶん大丈夫」と答えるしかありません。動く見本から入る場合、点検表の写真をもとにスマホの入力画面の見本を作り、翌日の点検で1人に実際に使ってもらいます。「手袋をしたままだと○×のボタンが小さい」「数値は前回の値が出ていると楽」といった声が、1回の点検で出てきます(会社の規模や中身は説明のための例です)。

動く見本で確かめる進め方には、もう1つ良い点があります。見本を触った段階で「やっぱり要らない」と分かれば、作り込む前にやめられることです。仕様書をすべて詰めてから作り始めると、途中で引き返しにくくなります。見本の段階でやめる判断ができると、その分の時間を、別の仕事の見直しに回せます。やめた理由も、次に作るものを考えるときの材料として残しておきます。

頼む相手を選ぶときは、「契約の前に、うちの書類で動く見本を見せてもらえるか」「見本を触った声で直してもらえるか」を聞いてみてください。

見本を触るときに見ること

  • ふだんの仕事の順番どおりに、画面を進められるか
  • いま紙やExcelに書いている項目が、過不足なく入っているか
  • 使う場所(事務所のパソコン、倉庫のスマホ、車の中)で無理なく使えるか
  • いちばん忙しい日の量を入れても、待たされずに使えるか
  • 間違えて入れたときに、すぐ直せるか

見本を触ってもらうのは、決める人だけでなく、毎日使う人にもお願いします。決める人が「良い」と思った画面でも、毎日使う人には手間が多い、ということはよくあります。

作ったあとの保守の決めごと

システムは、作って終わりではありません。中小企業基盤整備機構の全国調査(令和8年3月)では、AIを入れた中小企業の運用の課題として、「ランニングコストが高い」が4割台、「運用担当者の負荷が重い」が3割前後を占めました。使い続けるための費用と手間は、作る前から考えておく必要があります。

作ったあとに出てくる頼みごとは、大きく3つに分かれます。どれを誰が受け持つかを、作る前に決めておきます。

作ったあとの頼みごとと、決めておくこと
頼みごと例決めておくこと
不具合の対応画面が開かない、計算が合わない誰に連絡し、どのくらいで見てもらえるか
小さな直し欄の並びを変える、項目を1つ足すどこまでが保守の範囲に入るか
大きな作り足し別の部署の仕事にも広げる、新しい機能を作る保守とは別に、開発として相談するか
問い合わせ使い方が分からない、新しく入った人に教えたい社内の窓口は誰か。説明の資料や動画はあるか

もう1つ決めておきたいのが、データの持ち主です。何年か使ううちに、システムの中には受注や点検の記録がたまっていきます。相手を替えたい、別のソフトに移したい、となったときに、そのデータを自社で取り出せるか。システムを動かすアカウントを誰の名義で作るかで、答えが変わります。

使い方の説明が社内に残るかどうかも、保守の手間を左右します。使う人が替わるたびに作った相手へ問い合わせる形だと、社内の窓口にも相手にも負担がかかります。説明の資料や動画を渡してもらえれば、新しく入った人にも社内で教えられます。

いばらきAIにご相談いただいたら

この記事の手順で書いた、仕事の流れの1枚をメールでお送りください。初回のご相談(無料・オンライン・30分〜)では、丸と三角の付いた所から、最初に作る範囲を一緒に絞ります。

いばらきAIの開発は、この記事で紹介した「動く見本で先に確かめる」進め方です。話をうかがったエンジニア(代表)が試作を作り、毎日使う方に触っていただいた声で直してから、本番に移します。開発だけのご依頼も、聞き取りのうえでお受けします。

5つ目の「作ったあと誰が直すか」には、保守でお答えします。不具合の対応、小さな直し、問い合わせの窓口をお引き受けし、大きな作り足しは開発として改めてご相談します。アカウントとデータは御社の名義で作り、説明のスライドと動画も一緒にお渡しします。

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まとめ:変えたい仕事の流れを、紙1枚に書く

  • 頼む前に、変える仕事・使う人・残すもの・決める人・作ったあとの直しの5つを決める
  • 仕事の流れを書類が動く順に書き、写している所と止まる所に印を付ける
  • 仕様書より先に動く見本を触り、作ったあとの受け持ちと名義も決めておく

まずは、変えたい仕事の始まりと終わりを決めて、その間の流れを紙1枚に書いてみてください。丸と三角の付いた所が、頼む相手と最初に話す中身になります。

書いた1枚は、社内の関係する人にも見せて、抜けている所を書き足してもらいます。いろいろな部署の目が入るほど、作るものの範囲がぶれにくくなります。

出典・参考

よくある質問

システム開発は、何から頼めばよいですか。

変えたい仕事の流れを紙1枚に書き、いちばん時間のかかっている所から頼むのがおすすめです。

範囲を狭くすると、早く作れて、早く確かめられます。うまくいったら、次の範囲に広げます。最初の1つで進め方に慣れておくと、2つ目からは話が早くなります。

既製のソフトを入れるのと、自社用に作るのは、どちらがよいですか。

自社の仕事の流れに合う既製のソフトがあれば、まずそれを試すのが早道です。

合うソフトがなく、仕事のほうを大きく変えないと使えない場合は、自社用に小さく作るほうが、現場で使われやすくなります。どちらにするかは、流れを書いた1枚を見ながら決めます。

仕様書を書ける人が社内にいません。

仕様書を書けなくても、仕事の流れの1枚と、いま使っている書類があれば相談できます。

動く見本を触りながら直していく進め方なら、文章で細かく決める必要はありません。現場の人が「ここが使いにくい」と言える形で確かめていきます。細かい決めごとは、見本を直しながら相手と一緒に固めます。

開発にはどのくらいの期間がかかりますか。

作る範囲によって大きく変わるので、範囲を狭く決めることがいちばんの短縮になります。

変えたい所を1か所に絞り、動く見本で確かめながら進めれば、最初の見本は早い段階で見られます。見本を触ってから本番に移すまでの期間は、直しの量によって決まります。

作ったシステムを、別の相手に直してもらうことはできますか。

アカウントやデータが自社の名義で、作りの説明が残っていれば、別の相手に頼める余地が広がります。

名義が作った相手のままだと、引き継ぎがむずかしくなることがあります。作る前に、名義と、説明の資料を渡してもらえるかを確かめておきます。

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  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
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