
「せっかく応募があったのに、返事が3日遅れて、ほかの会社に決まってしまった」。採用の担当を総務や経理と兼ねている会社では、こうしたことが起きがちです。応募は求人サイト、メール、電話とばらばらに届き、だれにいつ何を返したかは、担当の方の記憶と手帳に頼っています。
茨城では、若い世代の県外への転出が続いています。会える人の数が限られるなかで、連絡の遅れや抜けで応募者を逃すのは、とてももったいないことです。
この記事では、県の資料で若い世代の動きを確かめたうえで、採用でたまる事務を分け、AIに任せる所と人が会って決める所を整理します。最後に、応募の連絡を1つの一覧で管理する手順を例で紹介します。
数字で見る茨城の若い世代
茨城県の産業戦略部が県議会の特別委員会に出した資料には、採用を考えるうえで見ておきたい数字がいくつも並んでいます。
県の資料にある、若い世代と人手の数字| 項目 | 数字(資料の文言のまま) | 元の調査 |
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| 若い世代の県外への動き | 令和6(2024)年は15〜39歳で転出超過、特に15〜29歳で大幅な転出超過(▲7,800人) | 総務省「住民基本台帳人口移動報告」 |
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| 15〜29歳の人口の見通し | 令和2(2020)年の40万人から、令和32(2050)年には24万人(▲40.0%) | 国立社会保障・人口問題研究所の推計 |
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| 働く世代の人口の見通し | 15〜64歳は令和2(2020)年の1,682千人から、令和32(2050)年には1,139千人(▲32.3%) | 国立社会保障・人口問題研究所の推計 |
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| 正社員の不足 | 令和7(2025)年1月時点で、正社員が「不足」と感じている県内企業は56.1%で、コロナ禍以降で最も高い | 帝国データバンク「人手不足に対する茨城県内企業の動向調査」 |
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同じ資料では、令和6年はほとんどの年代でわずかながら転入超過となっている一方で、15〜39歳では転出超過だとしています。県全体に人が入ってきていても、採用の中心になる若い世代は外へ出ていく流れが続いている、ということです。
そのうえ、15〜29歳の人口は、30年ほどで4割減ると見込まれています。応募してくれる人の数そのものが、これから少しずつ減っていきます。
1人の応募者の重みが増している
応募が少ないほど、1人ひとりへの返事の速さと、ていねいさが結果を分けます。採用の事務を減らすのは、担当の方を楽にするためだけでなく、来てくれた応募者を逃さないためでもあります。
採用でたまる事務(求人票・連絡・記録)
従業員が数十人から百人ほどの会社では、採用だけを受け持つ人がいないことがほとんどです。総務や経理の方が、ほかの仕事の合間に採用の事務をこなしています。たまる事務は、おおきく3つに分けられます。
採用でたまる3つの事務| 事務 | 中身 | よく起きること |
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| 求人票 | 求人サイトやハローワーク、自社のホームページに載せる文を作り、直す | 載せる場所ごとに書き直し、内容が食い違う |
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| 連絡 | 応募のお礼、面接の日程の相談、結果の知らせ、入社までの案内 | 返事が遅れる、だれに返したか分からなくなる |
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| 記録 | 応募者ごとの経歴、連絡の履歴、面接での話、結果 | 手帳やメールに散らばり、あとから見返せない |
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この中で、応募者を逃す原因になりやすいのが「連絡」です。応募の入口がばらばらだと、メールで来た人には返したのに、求人サイトの画面で来た人を見落とす、ということが起きます。電話で受けた応募は、メモが机の上に残ったままになることもあります。
応募から入社までの連絡を並べてみる
自社の採用で、応募者に連絡する場面を順に並べてみると、どこで遅れや抜けが起きているかが見えてきます。多くの会社では、次のような流れになります。
- 応募が届く(求人サイト・メール・電話・知り合いからの紹介)
- お礼と、次の流れを知らせる
- 面接の日程を相談して決める
- 面接の前日に、場所と時間をもう一度知らせる
- 面接のあと、結果を知らせる
- 入社の日までに、初日の案内と用意するものを知らせる
それぞれの場面の横に「いつまでに」「だれが」を書き込んでみてください。空欄になる所や、人によって答えが違う所、「担当がそのとき気づいたら」と書きたくなる所が、抜けやすい所です。
求人票の書き方については、伝わらない所をAIに見つけてもらう方法を職種別のページで紹介しています。この記事では、連絡と記録に絞って考えます。
採用・人事のAI活用を見る
AIに任せる所・人が会う所
採用は、人と人が会って決める仕事です。AIに任せてよいのは、その手前と後ろにある、決まった形のくり返しの部分です。
採用の事務で、AIに任せる所と人に残す所| 場面 | AIに任せる所 | 人に残す所 |
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| 応募が届いたとき | 届いた内容から、名前・応募した仕事・連絡先・希望などを一覧の形に書き出す | 書き出した内容が元の応募と合っているかを見る |
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| お礼と日程の相談 | 会社の決まった文をもとに、応募者ごとの下書きを作る | 日程の候補を決め、文を読んで送る |
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| 面接のあと | 面接のメモを決まった項目に整える | 合否を決める、結果を伝える言葉を選ぶ |
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| 毎日の確かめ | 返事をしていない応募者、日程が決まっていない応募者を一覧から拾う | 拾われた人に、その日のうちに連絡する |
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合否の判断を、AIに任せることはしません。AIの答えには間違いや偏りが入ることがあり、人の一生に関わる判断を任せるのは向いていません。AIはあくまで、人が会う時間をつくるための手伝いです。
連絡の見本は4通あれば足りる
AIに連絡の下書きを作らせるときは、会社としての見本の文を先に決めておきます。見本が無いと、AIは毎回ちがう調子の文を作り、担当の方が直す手間がかえって増えます。採用の連絡は、多くの場合、次の4通で足ります。
採用の連絡の見本(4通)と、応募者ごとに変える所| 見本 | 決まった中身 | 応募者ごとに変える所 |
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| 応募のお礼 | 応募へのお礼、次の流れ、問い合わせ先 | 名前、応募した仕事、どの入口から来たか |
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| 日程の相談 | 面接の場所か方法、所要時間、持ち物 | 日程の候補(人が入れる) |
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| 結果の知らせ | 結果と、次の手続き | 名前、結果(人が決めたもの) |
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| 入社までの案内 | 初日の時間と場所、用意するもの | 入社の日、配属 |
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見本の文には、会社らしい言葉づかいや、工場の場所が分かりにくい場合の道案内など、これまで担当の方が口で補っていたことを書き込んでおきます。応募者からの問い合わせが減り、返事の手間も減ります。
応募者の情報の扱い
応募者の名前や経歴は、大切な個人の情報です。AIに入れる前に、使う道具が入れた内容を学習に使わない設定になっているかを確かめます。そのうえで、AIに渡すのは整理に要る項目だけにし、採用が終わった応募者の情報をいつ消すかも社内で決めておきます。
例:応募の連絡を1つの一覧で管理する
ここでは、県北で食品の工場を営む、従業員80人ほどの会社を例に考えます(例として作った会社です)。採用は総務の担当の方が1人で受け持ち、春と秋に製造の仕事の募集を出しています。応募は月に十数件、求人サイト・メール・電話の3つから届きます。
困っているのは、どの応募者にどこまで連絡したかが、担当の方の頭の中にしか無いことです。担当の方が休んだ週に、2人の応募者へ返事ができませんでした。
一覧づくりの手順
- 一覧の列を決める:受け付けた日、入口(求人サイト・メール・電話)、名前、応募した仕事、連絡先、次にすること、次にする日、担当
- 届いた応募をAIに渡して、決めた列の形に書き出させる。電話の応募は、受けた人がメモを写真に撮るか、聞いた内容をそのまま打ち込んで渡す
- 書き出された内容を、担当の方が元の応募と見比べて一覧に入れる
- 会社のお礼の文と日程の相談の文を見本として決めておき、AIに応募者ごとの下書きを作らせる。日程の候補は人が入れる
- 毎朝、一覧をAIに見せ、「次にする日」が今日以前なのに済んでいない人を拾わせる
- 拾われた人には、その日のうちに連絡する。担当の方が休む日は、代わりの人が同じ一覧を見て連絡する
電話の応募は、とくに抜けやすい入口です。受けた人が採用の担当でないことも多く、メモが担当に届かないまま終わることがあります。電話を受けたら「名前・連絡先・応募した仕事・電話をくれた日時」の4つだけを聞いて一覧に入れる、と全員で決めておくと、あとの整理はAIに任せられます。
5つ目の手順が、抜けを防ぐ要です。人は忙しいと確かめを飛ばしてしまいますが、毎朝の決まった作業にすれば、返事の遅れに気づくのが早くなります。
例の会社で、一覧を作る前と後| 場面 | 前 | 後 |
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| 応募が届いたとき | 入口ごとに別の場所に残る | 1つの一覧に、同じ形で並ぶ |
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| お礼と日程の連絡 | 毎回いちから文を書く | 見本からの下書きを読んで直して送る |
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| 担当の方が休んだ日 | だれも状況が分からない | 代わりの人が一覧を見て連絡できる |
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| 返事の抜け | 応募者からの問い合わせで気づく | 毎朝の確かめで、その日のうちに気づく |
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最初は、表計算の一覧とふだんのAIの画面で十分です。応募が増えて手で写す作業が重くなったら、届いた応募が自動で一覧に入る小さな道具にすることを考えます。
いばらきAIにご相談いただいたら
いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、会社名と、採用のどこで困っているかを一言お送りください。応募者の情報は入れずに、今使っている一覧や連絡の文の見本があれば、それだけで話が進められます。
業務ツールの開発では、話を聞いたエンジニアがそのまま作ります。上の例のような応募の一覧と連絡の下書きの仕組みも、御社の入口や連絡の決まりに合わせ、試作を見ていただきながら形にします。アカウントは御社の名義で作り、使い方の説明のスライドと説明の動画もお渡しするので、担当の方が替わっても引き継げます。
作ったあとは、保守として、不具合の対応や小さな直し、問い合わせの窓口をお受けします。
業務ツールの開発について見る
茨城県のAI導入について見る
まとめ:応募の入口を全部書き出す
- 若い世代の転出が続く茨城では、来てくれた応募者を逃さないことが大切
- 採用の事務のうち、連絡と記録は決まった形にしてAIに手伝わせやすい
- 合否の判断と、人と会う時間は人に残す
まずは、自社に応募が届く入口(求人サイト、メール、電話、紹介など)を全部書き出し、それぞれ今どこに記録が残っているかを並べてみてください。ばらけている所が、一覧にまとめる最初の場所です。入口が3つ以上ある会社ほど、一覧にしたときの効き目が大きくなります。