
中途の採用で、1人の応募者に社長と部長と現場の責任者が会うことになりました。社長は手帳に一言、部長はExcelに長文、現場の責任者は何も書かずに口で感想を伝えます。数週間後、3人の応募者のうちだれに来てもらうかを決める段になって、記録を並べても比べられません。
採用の事務は、総務や事務の方がほかの仕事と兼ねて受け持っていることが多いものです。面接の日程を整え、記録を集め、評価をまとめて社長に渡す。記録の形がばらばらだと、まとめる担当の方の手間が増え、判断も感覚に頼りがちになります。
この記事では、面接の記録がばらばらになる理由と、評価の項目を先に決める方法、面接のメモをAIで評価表の形にする手順、そして人が決める所を、例を使って説明します。
面接の記録がばらばらになる理由
面接の記録がそろわないのは、面接する人の書き方の癖だけが原因ではありません。多くの場合、次のことが決まっていないまま面接が始まっています。
- 何を見る面接なのか(仕事の経験か、人柄か、続けて働けそうか)
- それを確かめるために、何を聞くのか
- どの程度なら「よい」とするのか
- 記録をどこに、いつまでに残すのか
これが決まっていないと、面接する人はそれぞれ自分の関心で話を聞き、自分の書きやすい形で残します。あとから比べようとしても、ある人は経験の話を、別の人は趣味の話を書いていて、同じ物差しになりません。
茨城県の資料によると、正社員が「不足」と感じている県内企業は、令和7年1月時点で56.1%で、コロナ禍以降で最も高くなっています(元の調査は帝国データバンク)。人が足りない中で採用の機会を逃さないためにも、限られた面接の場で、必要なことを確かめられる形を作っておく値打ちがあります。
評価の項目を先に決める
面接の前に、評価の項目を4〜6個に絞って決めます。項目は、その仕事で本当に必要なことから選びます。募集する仕事ごとに項目を変えてかまいません。
例:事務の募集での評価の項目| 項目 | 見る点 | 聞く問いの例 | 段階の目安 |
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| 仕事の経験 | 似た仕事をしたことがあるか | 「前の職場で、毎日どんな事務をしていましたか」 | そのまま任せられる/教えればできる/経験なし |
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| 段取り | 仕事の順番を自分で組めるか | 「忙しい日に、仕事の順番をどう決めていましたか」 | 具体的な例がある/一般論のみ |
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| パソコンの使い方 | 表計算や文書づくりに慣れているか | 「表計算で、よく使っていた機能を教えてください」 | 慣れている/基本はできる/これから |
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| 人とのやり取り | 社内外の人とのやり取りに抵抗がないか | 「電話や来客の応対で、気をつけていたことは」 | 具体的な例がある/一般論のみ |
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| 働き方の希望 | 勤務の時間や日数が合うか | 「希望の勤務の時間や日数を教えてください」 | 合う/相談すれば合う/合わない |
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「段階の目安」の列があると、面接する人どうしで見方がそろいます。「よかった」「まあまあ」のような書き方では、人によって意味が違います。段階を3つほどに決め、言葉で書いておくと、あとで比べたときに迷いません。
問いの例は、項目ごとに1つ決めておけば十分です。面接する人が全部の問いを読み上げる必要はありません。会話の流れの中で、項目ごとに1回は話題にする、と決めておくだけで、聞き漏れが減ります。
項目は、募集が終わるたびに見直します。採用した方が働き始めて数か月たったころ、面接のときの表を見返し、「この項目は見ておいてよかった」「この項目は仕事に関係が薄かった」と振り返ると、次の募集の項目が実際の仕事に近づいていきます。
項目の下書きは、AIに作らせてもよい
求人票の仕事の中身をAIに渡し、「この仕事の面接で確かめたい項目を5つ、聞く問いの例と一緒に挙げて」と頼むと、下書きが返ってきます。そこから、自社の仕事に合うものを選んで直します。ただし、仕事と関係の無いことを聞く問いが混ざっていないかは、人が目を通して確かめてください。
メモをAIで評価表の形にする手順
項目が決まったら、面接のたびに次の手順で記録を整えます。面接する人は、面接中はこれまでどおり自由にメモを取ってかまいません。
- 面接が終わったら、その日のうちに、面接する人が自分のメモを打つか、手書きのメモを写真に撮る
- メモと評価の項目の表をAIに渡し、「項目ごとに、応募者が話したことを事実だけで整理して。メモに無い項目は『聞けていない』と書いて」と頼む
- AIが整えた表を、面接した本人が読み、聞いた話と違う所を直す
- 面接した本人が、項目ごとの段階を自分で選んで書き入れる
- 面接する人が複数いるときは、それぞれの表を採用の担当の方が1つにまとめる
2番で「事実だけで」と頼むのは、AIが評価めいた言葉を足すのを防ぐためです。AIに任せると、「意欲が高い」「協調性がある」のような言葉で、メモに無い判断を書き足すことがあります。整えるのは、応募者が話した中身だけにします。
4番の段階を選ぶのは、AIではなく面接した本人です。表の形になったメモを見ながら選ぶと、記憶と印象だけで選ぶより、項目ごとの理由がはっきりします。
応募者の情報の扱い
面接のメモには、応募者の名前や経歴など、個人の情報が含まれます。個人情報保護委員会は、生成AIのサービスに個人情報を入れる場合について、利用目的の範囲内かを確かめることや、入れた情報が学習に使われないかを確かめることなどを、注意として示しています。名前は記号に置きかえてからAIに渡すなど、入れ方を社内で決めてから始めます。
人が決める所
AIで記録がそろうと、評価までAIに任せたくなるかもしれません。しかし、採用は人の判断が欠かせない仕事です。この記事では、次の所は人が決めることをおすすめします。
面接の記録と評価で、AIと人が受け持つ所| 作業 | 受け持つのは |
|---|
| 評価の項目と問いの下書き | AIが下書き、人が決める |
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| 面接での問いかけと、応募者の話を聞くこと | 人 |
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| メモを項目ごとに整えること | AI(面接した本人が読んで直す) |
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| 項目ごとの段階を選ぶこと | 面接した本人 |
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| 複数の面接官の表をまとめること | 採用の担当の方(AIで並べるのは可) |
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| 合否を決めること | 社長や責任者 |
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例:AIが整えた表と、面接した人の直し
架空の例です。AIは、部長のメモから「段取り」の項目を「前の職場では、締め切りの早い順に並べ、朝いちばんに1日の順番を書き出していた、と話した」と整えました。部長は、この表に「具体的な例がある」の段階を選び、さらに「書き出した紙を見せてくれた」と書き足しました。現場の責任者は口で感想を伝えていただけでしたが、採用の担当の方が話を聞いてメモにし、同じ手順で表にしました。3人分の表を並べると、項目ごとに見方が近い所と分かれた所が分かり、社長はそこを中心に話を聞いて決めました。
面接の表と評価は、採用が決まったあとも決めた期間だけ保管し、期間が過ぎたら消す、と決めておきます。だれが見てよいかも、あわせて決めます。応募者の大切な情報を預かっているという前提で扱います。
この例で、AIは応募者の評価を一つもしていません。話された中身を、同じ物差しの上に並べ直しただけです。比べやすくなったぶん、社長や面接した人どうしで「どこで見方が分かれたか」に時間を使えるようになります。
いばらきAIにご相談いただいたら
初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。いまの面接の進め方と記録の残し方をうかがい、評価の項目と問いを一緒に考えます。求人票をお見せいただければ、その場でAIに項目の下書きを作らせてお見せします。
面接した人がメモを入れると、評価表の形に整い、応募者ごとに面接官の表が並ぶ、という道具が必要なときは、業務ツールの開発としてお受けします。お話をうかがったエンジニアがそのまま作り、個人の情報の扱い方を決めてから作ります。アカウントは御社の名義で作ります。
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まとめ:次の募集の前に、評価の項目を5つ決める
- 面接の前に、評価の項目・聞く問い・段階の目安を決める
- 面接中は自由にメモを取り、終わったらAIで項目ごとに整える
- AIには事実だけを整えさせ、段階と合否は人が決める
- 応募者の個人の情報は、入れ方を社内で決めてからAIに渡す
まずは、次に募集する仕事について、確かめたい項目を5つ書き出してみてください。それだけでも、面接する人どうしで同じ所を見られるようになります。