
取引先から「〇〇を3台と、取り付けの部材一式で見積もりをください」とメールが届きます。営業の方は、前に似た見積もりを出したExcelをコピーし、宛名と日付を書き換え、価格表を開いて品名と単価を1行ずつ写します。数量を入れ、合計を確かめ、PDFにして送ります。
慣れた作業ですが、写す所が多いぶん、宛名の直し忘れや、古い単価のまま出してしまうといったミスが起きます。価格表を見に行く手間で、返事が翌日にずれることもあります。
この記事では、見積書のどこで書き写しているかを確かめたうえで、品目と単価の一覧を整える方法、依頼の文からAIで下書きを作って人が確かめる手順を、品目と数量から見積書を作る例で説明します。
見積書で書き写している所
見積書を1枚作るときの作業を、書き写しの場所ごとに分けてみます。
見積書づくりの書き写しと、起きやすいミス| 書き写す所 | どこから写すか | 起きやすいミス |
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| 宛名・日付・見積番号 | 前の見積書、取引先の一覧 | 前の取引先の名前が残る、日付の直し忘れ |
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| 品名・型番 | 価格表、カタログ | 似た型番の取り違え |
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| 単価 | 価格表 | 古い価格表の単価を使う |
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| 数量・単位 | 依頼のメールや電話のメモ | 個と箱、mとセットの取り違え |
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| 納期・支払い・有効期限などの条件の文 | 前の見積書 | 取引先ごとの条件の違いを直し忘れる |
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合計の計算は、Excelの式が入っていれば自動です。手間とミスが集まっているのは、計算の前の書き写しのほうです。とくに単価は、価格表が何か所かに分かれていたり、最新の版がどれか分からなかったりすると、ミスのもとになります。
見積もりの手間を減らすことは、県もテーマにしています。茨城県の「令和8年度 デジタル技術を活用した生産性向上支援事業」では、「見積作成省力化に関するAI技術活用支援等業務」を県内のIT企業が受託し、2026年11月に中間報告会、2027年1月に結果報告会を予定していると発表されています。
品目と単価の一覧を整える
AIで見積書の下書きを作るときに、いちばん大事なのは、AIに渡す品目と単価の一覧です。AIは、渡された一覧の中から品目を選んで単価を写します。一覧が古かったり、同じ品物が2行あったりすると、そのまま下書きに出てしまいます。
例:品目と単価の一覧に持たせる列| 列 | 書くこと | なぜ要るか |
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| 品番 | 社内で決めた番号 | 似た品名を取り違えないため |
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| 品名 | 見積書に載せる正式な名前 | 見積書の書き方をそろえるため |
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| よく言われる呼び方 | 取引先が使う略し方や古い名前 | 依頼の文の言い方から品目を探せるようにするため |
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| 単位 | 個・箱・m・式など | 数量の取り違えを防ぐため |
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| 単価 | いま使う単価 | 見積書に写すため |
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| 更新日 | 単価を最後に見直した日 | 古い単価で出さないため |
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| 注意 | 「取り付けは別」「在庫が少ない」など | 見積書の条件の文に添えるため |
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3つ目の「よく言われる呼び方」が、AIを使うときの決め手です。取引先は「いつものステー」「白いほうのカバー」のように、正式な品名を使わずに頼んでくることがあります。営業の方の頭の中にある「この言い方はこの品番」という対応を、一覧に書き出しておくと、AIが依頼の文から正しい品目を選べるようになります。
「更新日」の列は、仕入れの値上がりが続く時期ほど役に立ちます。月に1回、更新日が古い順に並べ替えて、仕入れ先の価格と見比べる日を決めておくと、古い単価のまま見積もりを出すことを防げます。AIの下書きにも更新日を一緒に書き出させれば、確かめる人が古い単価に気づけます。
一覧は1つだけにする
価格表が営業ごと、部署ごとに別々にあると、どれが最新か分からなくなります。AIに渡す一覧を「正しい一覧」として1つに決め、単価を変えるときはその一覧だけを直す、と決めます。見積書の下書きは、いつもその一覧から作られるので、古い単価が紛れこみにくくなります。
AIで下書きを作り、人が確かめる手順
一覧が整ったら、見積もりの依頼が来るたびに、次の手順で下書きを作ります。見積書のひな形(Excel)は、いま使っているものをそのまま使います。
- 依頼のメールや電話のメモを、品目と単価の一覧と一緒にAIに渡す
- 「依頼の文から品目と数量を読み取り、一覧の品番・品名・単位・単価で、見積書の明細の行にして。一覧に無い品物と、数量の分からない品物は『要確認』と書いて」と頼む
- 書き出された明細の行を、見積書のひな形に貼る(合計はひな形の式で出る)
- 宛名・日付・有効期限を、取引先の一覧から入れる
- 人が確かめる:品目の選び方、数量と単位、単価の更新日、条件の文
- 値引きや特別な条件は、営業の方か責任者が決めて書き入れ、送る
5番の確かめは、全部を同じ重さで見るのではなく、間違えたときの影響が大きい順に見ます。まず数量と単位、次に品目の選び方、最後に条件の文です。数量の取り違えは金額を大きく変えますが、条件の文の言い回しは、送ったあとに直せることもあります。
AIは、一覧に無い品物を、似た名前の品目に当てはめてしまうことがあります。2番で「一覧に無いものは『要確認』」と書かせているのは、そのためです。要確認の行があれば、営業の方が取引先に聞くか、仕入れ先に単価を確かめます。
値段を決めるのは人
AIの下書きに出てくるのは、一覧の単価をそのまま写したものです。取引先との付き合いや、まとめての注文による値引き、急ぎの手配の上乗せといった判断は、AIには任せません。そうした判断は、営業の方や責任者が下書きを見ながら決めます。下書きが早くできるぶん、値段を考える時間に回せます。
例:品目と数量から見積書へ
架空の会社の例です。設備の部材を扱う会社に、取引先から次のメールが届きました。
例:届いた見積もりの依頼
お世話になります。来月の工事で、いつものステーを40本と、白いほうのカバーを8枚、それと取り付けのボルトを一式お願いしたいので、見積もりをいただけますか。納期も教えてください。
例:AIが書き出した明細の行(単価は一覧の値を写すので、ここでは省略)| 品番 | 品名 | 数量 | 単位 | メモ |
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| 例:ST-120 | 取付ステー 120型 | 40 | 本 | 「いつものステー」は一覧の呼び方から選んだ |
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| 例:CV-08W | カバー 8型 白 | 8 | 枚 | 「白いほうのカバー」は一覧の呼び方から選んだ |
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| 要確認 | 取付ボルト | 一式 | 式 | 一式の中身(本数)が依頼の文から分からない |
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| — | 納期 | — | — | 一覧の注意に「カバー 8型 白は在庫が少ない」とある |
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営業の方は、1行目と2行目の品目が合っているかを確かめます。3行目の「一式」は、40本のステーに合わせた本数かどうかを取引先に聞くことにしました。4行目の注意は、AIが一覧の「注意」の列から拾ったものです。営業の方は在庫を確かめ、納期の文を書き入れます。
前の見積書をコピーして書き換えていたときと比べると、宛名の直し忘れや、古い単価の写し間違いが起きる場所が減ります。下書きを人が確かめる手順は残りますが、確かめる所が表の中にそろっているので、見る順番に迷いません。
いばらきAIにご相談いただいたら
初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。いまの見積書の作り方と価格表の置き方をうかがい、品目と単価の一覧をどう整えるかを一緒に考えます。見積書のひな形と価格表、依頼のメールを1通お借りできれば、その場でAIに明細の下書きを作らせてお見せします。
依頼の文を貼ると、見積書の下書きができあがり、確かめる所に印が付く、という道具が必要なときは、業務ツールの開発としてお受けします。お話をうかがったエンジニアがそのまま作り、営業の方に試作を触っていただきながら直します。アカウントは御社の名義で作り、作ったものは御社のものになります。
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まとめ:品目と単価の一覧に「よく言われる呼び方」の列を足す
- 見積書の書き写しは、宛名・品名と単価・条件の文の3か所に集まる
- AIに渡す品目と単価の一覧を1つに決め、更新日と呼び方の列を持たせる
- 一覧に無い品物と数量の分からない品物は『要確認』にさせる
- 数量と単位から順に人が確かめ、値段の判断は人が行う
まずは、いまの価格表に「よく言われる呼び方」の列を1つ足して、営業の方に思いつくものを書き込んでもらってください。その一覧が、AIで下書きを作るときの土台になります。