毎日の手作業を減らす公開 約7分で読めます

Excelの在庫表が合わなくなったら、次はどうするか?

卸・小売の在庫管理をExcelから一歩進める|AIと小さなアプリで

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • Excelの在庫表が合わなくなるのは、記録が「あとでまとめて」になり、入力する人と場所が限られるから
  • 月額の在庫ソフトを入れる前に、自社の入出庫の流れと、今の帳票との相性を確かめる
  • 棚の前で、その場でスマホから記録できる小さなアプリにすると、記録の遅れとずれが減る
  • AIは、注文書の読み取りや、在庫のずれの見つけ出しで手伝える
段ボールが並ぶ倉庫の棚

「Excelの在庫表では120個あるはずなのに、棚を数えたら95個しかない」。卸や小売の会社で、こうしたずれが月に何度も出てくるようになったら、Excelの在庫表が仕事の量に追いつかなくなってきた合図です。

とはいえ、すぐに大きな在庫管理のソフトを入れればよい、とも限りません。自社の仕事の流れに合わないソフトを入れると、今度はソフトとExcelの両方に入力することになりかねません。

この記事では、Excelの在庫表が回らなくなる理由を整理し、月額の在庫ソフトを入れる前に確かめること、自社の流れに合わせた小さなアプリという選び方を、入出庫をスマホで記録する例で説明します。

Excelの在庫表が回らなくなる時

帝国データバンクが2026年3月に茨城県内の会社に聞いた調査では、生成AIを業務で「活用している」割合は、小売が36.4%と業界別で最も高かった一方で、卸売は13.6%と1割台にとどまっていました。同じ「ものを売る」仕事でも、卸ではまだAIや新しい道具に手がつけられていない会社が多いようです。

卸や小売の在庫管理は、多くの会社でExcelから始まります。品目が少なく、入力する人が1人のうちは、それで十分に回ります。回らなくなるのは、次のような変化が重なったときです。

Excelの在庫表が回らなくなる合図
合図起きていること
棚の数と表の数が合わない出荷や入荷を、あとでまとめて入力している
入力が1人に集まるその人が休むと、在庫の数が分からなくなる
ファイルが増える「在庫表_最新」「在庫表_最新2」のようなファイルが並ぶ
同時に開けないほかの人が開いているあいだ、入力を待つ
品目が増えて探せない表が何千行にもなり、探すのに時間がかかる

ずれの原因を3つに分ける

棚の数と表の数のずれは、たいてい次の3つのどれかから生まれます。どれが多いかによって、打つ手が変わります。

  • 記録の遅れ:出荷や入荷を、あとでまとめて入力している。記録する場面を、ものが動くその場に近づけると減る
  • 記録の抜け:返品、試供品、破損した品のように、決まった流れの外で動いたものを記録していない。流れの外の動きにも記録の手順を決めると減る
  • 数え違い:入数(1箱に何個入りか)の違いや、ばら売りの数え方が人によって違う。数え方の決まりをそろえると減る

どれが多いかは、棚卸でずれた品目をいくつか選び、その品目の1か月の動きをさかのぼってみると見えてきます。

どれも、Excelが悪いわけではありません。Excelは1人で計算や集計をするのが得意な道具で、何人もが倉庫や売り場から、その場で記録する使い方には向いていない、ということです。

月額の在庫ソフトを入れる前に確かめること

在庫管理には、毎月の利用料を払って使うインターネット上のソフト(SaaSとも呼ばれます)がたくさんあります。合うものが見つかれば、それを使うのが近道です。入れる前に、次のことを確かめておくと、合わないソフトを選ぶことを避けやすくなります。

  1. 今の入出庫の流れを、紙1枚に書き出す(入荷・検品・棚入れ・出荷・返品・棚卸)
  2. それぞれの場面で、だれが、どこで、何を見て記録しているかを書き込む
  3. 取引先から届く注文書や、取引先へ出す納品書の形を集める
  4. 気になるソフトの無料の試用で、書き出した流れを1日分そのまま通してみる
  5. ソフトに合わせて変えなければならない所と、Excelや紙に残る所を書き出す

5つ目で「Excelや紙に残る所」が多い場合は、注意が要ります。ソフトとExcelの両方に入力する仕事が残ると、かえって手間が増えることがあります。

ソフトを積み上げる前に

在庫・受発注・請求で別々のソフトを入れ、その間をExcelで写す。こうした形になっている会社は少なくありません。ソフトを選ぶときは、ほかのソフトとの間で書き写しが生まれないかも確かめます。比べ方の軸は、別の記事で紹介しています。

月額のソフトか自社開発かの比べ方を見る

自社の流れに合わせた小さなアプリ

既製のソフトがどれも自社の流れに合わない場合は、自社の流れに合わせた小さなアプリを作る、という選び方もあります。大きなシステムを作るのではなく、いま困っている所だけを、使う人の動きに合わせて形にするやり方です。

Excel・月額の在庫ソフト・小さなアプリの違い
比べる所Excelの在庫表月額の在庫ソフト自社の流れに合わせた小さなアプリ
記録する場所事務所のパソコンソフトの決まった画面棚の前でスマホから
仕事の流れ自由だが、人によってばらばらソフトの流れに合わせる今の流れに合わせて作る
何人で使えるか同時に使いにくい使える使える
変えやすさ自分で変えられる変えられない所がある相談して直せる
始めるまですぐ設定と慣れの時間試作を見ながら作る時間

小さなアプリが向くのは、品目の数え方や棚の呼び方が独特で、既製のソフトの言葉に合わせると現場が迷う場合です。反対に、一般的な流れで回っている会社なら、既製のソフトのほうが早く始められることもあります。

AIが手伝える所

  • 取引先ごとに形の違う注文書を読み取り、出荷の予定を一覧にする
  • 入出庫の記録と棚卸の数を比べ、ずれの大きい品目を拾う
  • よく売れる時期や、動いていない品目を、記録から読み取って知らせる

AIの読み取りや拾い出しは、人が確かめる前提で使います。注文書の数字の読み違いは、そのまま出荷の間違いにつながるので、読み取った内容は出荷の前に人が見比べます。

例:入出庫をスマホで記録する

ここでは、県内で業務用の食品資材を卸す、従業員35人ほどの会社を例に考えます(例として作った会社です)。品目はおよそ1,500。倉庫の担当が紙に書いた出荷の控えを、夕方に事務の方がExcelへ入力していました。入力が翌日にずれる日もあり、営業の方が在庫を聞かれても、その場で答えられませんでした。

作ったアプリの流れ

  1. 倉庫の担当が、出荷のときに棚の前でスマホを開き、品目を選ぶか、箱の品番を写真で読み取る
  2. 数を入れて「出荷」を押すと、在庫の数がその場で減る
  3. 入荷のときも同じ画面で「入荷」を押して数を足す
  4. 営業の方は、外出先のスマホで在庫の数を見られる
  5. 月末の棚卸では、数えた数を入れると、記録とのずれが大きい品目だけが一覧に出る

記録する場面を、紙に書いてあとで写す形から、棚の前でその場で押す形に変えたのがいちばんの違いです。事務の方の夕方の入力がなくなり、在庫の数が記録の時点で更新されるようになりました。

例の会社で、アプリを使う前と後
場面前後
出荷の記録紙の控えを夕方にExcelへ入力棚の前でスマホから記録
在庫の数を聞かれたとき事務所に電話して確かめてもらう営業の方が自分のスマホで見る
棚卸全品目の表を印刷して突き合わせるずれの大きい品目だけを見直す

例の数字や変化は、考え方を示すためのものです。どこまでを画面にするかは、会社の流れによって変わります。

いばらきAIにご相談いただいたら

いばらきAIの無料相談は、オンラインで30分〜です。メールで、会社名と、在庫表で困っていることを一言お送りください。今の在庫表の見出しの行と、入出庫の流れを書いた紙があれば、話がぐっと早くなります。

業務ツールの開発では、話を聞いたエンジニアがそのまま作ります。倉庫や売り場での動きをうかがい、試作を現場の方に触っていただきながら、使われる形に直していきます。アカウントは御社の名義で作り、説明のスライドと説明の動画もお渡しします。既製のソフトのほうが合う場合は、そうお伝えします。

業務ツールの開発について見る

卸・小売のAI活用を見る

まとめ:入出庫の流れを紙1枚に書く

  • 在庫表が合わなくなるのは、記録が「あとでまとめて」になっているから
  • 月額の在庫ソフトは、自社の流れを1日分通してから選ぶ
  • 合うソフトが無ければ、棚の前で記録できる小さなアプリという選び方もある

まずは、入荷から出荷、棚卸までの流れを紙1枚に書き、それぞれの場面でだれがどこで記録しているかを書き込んでみてください。「あとで写している」所が、最初に変える場所です。

出典・参考

よくある質問

Excelのまま続けてはいけませんか。

回っているなら、続けて構いません。品目が少なく、入力する人が1人で、棚の数と合っているうちは、Excelで十分です。

棚の数とのずれが増えた、入力が1人に集まって止まる、といった合図が出てきたら、見直しを考える時期です。

小さなアプリは、あとから機能を足せますか。

足せます。困っている所だけで始め、使いながら足していくのが小さなアプリの良さです。

小さな直しは保守として、新しい機能を大きく作り足す場合は開発としてご相談のうえで進めます。

取引先から届く注文書もAIで読めますか。

読めます。形のばらばらな注文書から、品目・数量・納期などを読み取って一覧にできます。

読み取った数字は、出荷の前に人が元の注文書と見比べて確かめます。

倉庫の担当が年配で、スマホの操作が心配です。

画面を、押す所が少ない形に作ります。品目を選び、数を入れ、出荷か入荷を押す、の3つで済むようにするのが基本です。

試作の段階で倉庫の担当の方に実際に触っていただき、迷った所を直してから使い始めます。

今のExcelのデータは使えますか。

使えます。今の在庫表の品目や数を、新しいアプリの最初のデータとして取り込みます。

取り込む前に、品目の名前のゆれ(同じ品物の書き方の違い)を整えると、あとの記録がそろいやすくなります。

無料相談

会社名と困りごとを、一言送るだけ

まずは30分、
話を聞かせてください。

時間
30分〜
相談料
無料
場所
オンライン

訪問をご希望の場合はご相談ください。

事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。