
修理の持ち込みを受ける窓口では、お客さまに紙の受付票を書いてもらいます。品物、症状、連絡先。夕方、事務の方がその日の受付票を受付簿のExcelに写し、修理の担当へ回す一覧を作ります。月末には受付簿を見ながら、品物の種類ごと・症状ごとに件数を数え、会議の資料にします。
受付票を書いてもらう、写す、回す、数える。どれも慣れた仕事ですが、窓口が混んだ日は写す作業が翌日にずれこみ、修理の担当が受付票を探しに来ることもあります。
この記事では、受付から集計までの流れを書き出す方法と、その中で書き写している所の見つけ方、AIに任せる所と人が残る所の分け方を、受付票を一覧にする例で説明します。
受付から集計までの流れを書く
最初にやるのは、受付の仕事を流れに沿って並べることです。窓口に立つ方、写す方、受け取る方、数える方が別々のことも多く、だれも流れ全体を見ていない、ということがよくあります。
書き方は簡単です。紙を横に置き、左から右へ、受付票が生まれてから月末の資料になるまでの段階を並べます。段階ごとに、だれが、何に書いているかを書き添えます。
例:修理の受付から月末の集計までの流れ| 段階 | だれが | 何に書く | 書き写しているか |
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| 受ける | 窓口の方とお客さま | 紙の受付票 | —(ここが元の記録) |
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| 写す | 事務の方(夕方) | 受付簿のExcel | 受付票から写している |
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| 回す | 事務の方 | 修理の担当への一覧(印刷) | 受付簿から写している |
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| 進み具合を残す | 修理の担当 | 一覧の紙に手書きで済みの印 | — |
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| 戻す | 事務の方(翌朝) | 受付簿の「済み」欄 | 一覧の紙から写している |
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| 数える | 事務の方(月末) | 月の集計表 | 受付簿を見ながら数えている |
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この例では、6つの段階のうち4つで、何かを見ながら別の物に書いています。1件の受付が、元の紙を入れて4回書かれている計算です。流れを書くと、この回数が初めて目に見えます。
中小企業基盤整備機構の調査では、AIをすでに導入している中小企業のうち、営業・販売・サービス・アフターサービス部門でAIを導入していると答えた割合は60.3%でした。お客さまを受け付ける窓口まわりの仕事は、AIを使い始める場所として選ばれている分野の1つです。
どこで書き写しているか
流れを書いたら、書き写している段階に印を付け、それぞれがなぜ生まれたかを考えます。理由によって、打つ手が変わります。
- 紙からExcelへ(写す):お客さまに書いてもらう紙が元の記録になっているため。ここはAIで読み取れる
- Excelから印刷の一覧へ(回す):修理の担当がExcelを見られないため。担当の方が画面で見られるようにすれば消える
- 手書きの済み印からExcelへ(戻す):進み具合が紙に残っているため。担当の方が画面で済みを付けられれば消える
- 受付簿から集計表へ(数える):種類の分け方が受付簿に無いため。受付簿に「種類」の列があれば、Excelの集計で数えられる
4つのうち、AIが直接役に立つのは1つ目と4つ目です。2つ目と3つ目は、見る場所を1つにそろえる、という仕組みの話で、AIを使わなくても消せます。AIを入れる前に、仕組みで消せる書き写しを先に片づけると、AIに任せる範囲が小さく、確かめやすくなります。
受付票の紙は、すぐにやめなくてよい
窓口で紙に書いてもらう形は、お客さまにとって分かりやすいものです。年配の方が多い窓口では、紙のほうが早いこともあります。紙はそのまま残し、紙を読んで一覧にするところをAIに任せれば、お客さまの側は何も変わりません。
AIに任せる所・人が残る所
受付の仕事は、お客さまと向き合う所と、裏で記録を整える所に分かれます。AIに任せるのは、裏で記録を整える所です。
受付の仕事の分け方| 仕事 | 受け持つのは | 理由 |
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| お客さまの話を聞き、受付票を書いてもらう | 人 | 症状を聞き返したり、急ぎかどうかを判断したりする |
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| 受付票を読み、受付簿の1行にする | AI | 決まった欄に写すくり返しの作業 |
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| 症状の書き方から、種類を分ける | AIが候補を出し、人が決める | 書き方がばらばらで、分け方に迷うものがある |
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| 読み取りが怪しい所の確かめ | 人 | 元の受付票を見ればすぐ分かる |
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| 修理の順番を決める | 人 | お客さまとの約束や、部品の届き具合を見て決める |
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| 月末の件数を数える | Excelの集計 | 受付簿に種類の列があれば、式で数えられる |
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症状の種類分けは、AIが役に立つ場面です。お客さまは「電源が入らない」「つかない」「うんともすんとも言わない」と、同じ症状を違う言葉で書きます。あらかじめ決めた種類の一覧をAIに渡し、どれに当たるかの候補を出させると、月末の集計がそろいます。迷うものには印を付けさせ、人が決めます。
最初に見直す手順
流れを書き、任せる所を分けたら、次の順で1つずつ変えていきます。一度に全部を変えると、窓口が混乱します。窓口が落ちついている時期を選んで始め、1つ変えたら1〜2週間は様子を見てから次へ進みます。
- 受付簿に「種類」の列を足し、種類の一覧(10個ほど)を決める
- 夕方、その日の受付票をスマートフォンで撮り、AIに「受付簿の列の順で、1枚を1行にして。種類は一覧から選び、迷うものには印を付けて」と頼む
- 書き出した行を受付簿に貼り、印の付いた行だけ元の受付票を見て直す
- 修理の担当の方が受付簿を画面で見られるようにし、印刷の一覧をやめる
- 担当の方に、受付簿の「済み」欄を画面で付けてもらう
- 月末の件数は、受付簿の「種類」の列からExcelで数える
1番の種類の一覧は、過去の受付簿を3か月分ほどAIに読ませて、「症状の書き方を、似たものどうしでまとめて10個ほどの種類にして」と頼むと、下書きが作れます。下書きを見て、修理の担当の方が「この2つは分けたい」「これはまとめてよい」と直せば、現場で使える一覧になります。
受付票には、お客さまの名前や電話番号が書かれています。使うAIのサービスが、入力した内容を学習に使わない設定になっているかを確かめ、どこまで入れてよいかを社内で決めてから始めます。
例:受付票を一覧にする
架空の窓口の例です。ある日の受付は12件でした。
例:1枚の受付票に書かれていたこと
品物の欄に「草刈機」、症状の欄に「エンジンがかからない。去年の秋から使っていない」、連絡先の欄に電話番号、急ぎの欄に丸。窓口の方が余白に「来週の月曜に使いたいとのこと」と書き添えています。
AIはこの受付票を、受付簿の1行にします。品物は「草刈機」、種類は一覧の「始動しない」、急ぎは「あり」、備考に「来週月曜に使いたい」。余白の書き添えも、備考の欄に拾います。
12件のうち、AIが印を付けたのは2件でした。1件は症状の欄に「音が変」とだけあり、種類を決めかねたもの。もう1件は電話番号の数字がかすれていたものです。事務の方は2件の受付票だけを見直し、1件は修理の担当に種類を聞いて決めました。
月末には、受付簿の「種類」の列から、種類ごとの件数がExcelで出ます。「始動しない」が多い月があれば、季節の前に点検を呼びかける案内を出す、といった次の打ち手を考える材料になります。数えることに使っていた時間を、数字を読んで考える時間に回せます。
いばらきAIにご相談いただいたら
初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。受付から集計までの流れを一緒に書き出し、仕組みで消せる書き写しと、AIに任せる書き写しを分けます。お名前などを伏せた受付票を数枚お借りできれば、その場でAIに一覧を作らせてお見せします。
受付票を撮ると受付簿に行が増え、修理の担当の方が画面で済みを付けられる、という形の道具が必要なときは、業務ツールの開発としてお受けします。お話をうかがったエンジニアがそのまま作り、窓口の方や担当の方に試作を触っていただきながら直します。アカウントは御社の名義で作り、作ったあとの不具合の対応や小さな直しは保守としてお引き受けします。
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まとめ:受付票が月末の資料になるまでを、1枚に書く
- 受付から集計までを段階に分け、書き写している所に印を付ける
- 見る場所をそろえれば消える書き写しは、AIより先に片づける
- 受付票を読んで1行にする作業と、種類の候補出しはAIに任せる
- お客さまとの応対、迷うものの判断、修理の順番は人に残す
まずは、きょう受け付けた1枚の受付票が、月末の資料になるまでに何回書かれるかを数えてみてください。その回数が、見直しの出発点になります。