一人に頼る仕事をほどく公開 約10分で読めます

任せた仕事がうまく回っているか、どう知ればいいのか?

仕事を任せる仕組みの作り方|社長が社員に任せても目が届く

執筆いばらきAI編集部

この記事でわかること

  • 手放せない理由は「任せたあとの様子が見えない」ことにある場合が多い
  • 全部を確かめるのをやめ、間違えると困る所だけを確かめる所として決める
  • 確かめる日と、そのときに見る数字を3つ程度に絞って、先に決めておく
  • 数字のまとめはAIや業務ツールに任せ、社長は数字を見て話す時間に使う
クリップボードとノートパソコン

請求書の発行を経理の社員に任せた。ところが月末になると気になって、結局、全部の請求書をもう一度自分で見てしまう。社員の方も「どうせ社長が見るから」と、確かめを社長に預けるようになる。任せたはずの仕事が、二人分の手間になって戻ってきます。

社長が手放せないのは、社員を信じていないからではありません。任せたあとに、うまくいっているかどうかを知る方法がないからです。知る方法があれば、全部を見なくても安心できます。

この記事では、任せられない理由をほどき、確かめる所だけを決めるやり方、確かめる日と見る数字の決め方を説明します。任せる仕事の選び方は「社長の仕事を減らすには」の記事で扱ったので、ここでは、選んだ仕事を任せたあとの仕組みに絞ります。

任せられない理由

「任せたいけれど任せられない」という社長の話をうかがうと、理由はだいたい次の4つのどれかに当てはまります。理由によって、打つ手が変わります。

任せられない理由と、打つ手
理由社長の口から出る言葉打つ手
様子が見えない「ちゃんとやれているか分からない」確かめる日と見る数字を決める
間違えたときが怖い「取引先に迷惑がかかったら困る」確かめる所を決め、そこだけは二人で見る
やり方が自分の頭の中にしかない「説明するより自分でやったほうが早い」手順を書き出す(話してもらう形でもよい)
社員の手が空いていない「みんな忙しそうで頼みにくい」社員の手元の作業を先にAIや道具に移す

この記事で扱うのは、1つ目と2つ目です。3つ目の「やり方が頭の中にしかない」は、一人しか知らない仕事を手順書にする記事で、4つ目は社長の仕事を減らす記事で扱っています。

一人しか知らない仕事を、AIで手順書にする

「全部見る」は、任せていないのと同じ

様子が見えない不安から、社長が全部を見直すようになると、社員の方は自分で確かめるのをやめます。確かめる人が社長一人になり、社長が忙しい月には、だれも確かめないまま仕事が出ていきます。全部を見る形は、安心に見えて、いちばんもろい形です。

反対に、確かめる所が決まっていると、社員の方は「ここは社長が見る、ここは自分の責任」と分かります。責任の線がはっきりすると、任された人の確かめ方も丁寧になります。

確かめる所だけを決める

任せた仕事のすべての手順を確かめる必要はありません。確かめる所は、「ここを間違えると、取り返しがつかない、または取引先に迷惑がかかる所」だけです。それ以外は、任せた人の責任で進めてもらいます。

確かめる所の決め方

  1. 任せる仕事の手順を、上から順に1行ずつ書き出す
  2. 各行に「ここを間違えたら、どうなるか」を一言で書く
  3. 「取引先に迷惑」「お金が合わない」「あとから直せない」のどれかに当たる行に印を付ける
  4. 印の付いた行だけを、確かめる所として決める(多くて3〜4か所)
  5. 確かめる所ごとに、だれが、何と見比べて確かめるかを書く

例:請求書の発行で確かめる所

例として、請求書の発行の手順が10行あったとします。「間違えたらどうなるか」を書いていくと、印が付くのは「金額」「送り先」「支払期日」の3行でした。この3つだけを、送る前に社長か別の人が見比べます。ほかの7行(番号を振る、控えを保存する、など)は、任せた人の責任にします。

確かめる所を1枚の紙にする

決めた確かめる所は、1枚の紙にまとめて、任せた人と社長の両方が持ちます。紙には「確かめる所」「何と見比べるか」「だれが見るか」の3列だけを置きます。見る人が替わっても、紙を見れば同じ確かめ方ができます。

この紙を作るときに、AIが手伝えます。手順を話して書き起こした文や、いつもの手順のメモをAIに渡し、「間違えると取引先に迷惑がかかる手順を挙げて」と頼むと、印を付ける候補が出てきます。AIの挙げた候補は抜けや見当違いもあるので、最後は社長と任せる人とで決めます。

確かめる所は、任せる人と一緒に決める

確かめる所を社長が一人で決めて渡すと、任された人には「見張られる所の一覧」に見えます。一緒に手順を書き出し、「ここを間違えたら困るね」と話しながら印を付けると、同じ紙が「二人で守る所の一覧」になります。

任せる人は、実際に手を動かす側なので、社長が気づいていない危ない所を知っていることがあります。「この取引先は、毎月請求の書式を変えてくる」「この品目だけ単価が季節で変わる」。こうした話は、一緒に書き出す場でしか出てきません。

確かめる日と見る数字を決める

確かめる所が決まったら、次は「いつ見るか」と「何を見るか」です。毎日少しずつ気にするより、見る日を決めて、その日にまとめて見るほうが、社長も任された人も楽になります。

仕事の種類ごとの、確かめる日の目安
仕事の種類確かめる日の目安見るもの
毎日くり返す仕事(受注の入力、出荷の手配など)週に1回、決まった曜日その週の件数と、直しの数
月に1回の仕事(請求、締め、給与の準備など)送る前と、終わった翌週の2回確かめる所の結果と、残っている件数
期限のある仕事(見積もり、申請など)期限の数日前進み具合と、困っていること

見る数字は3つまで

見る数字を増やすと、見るだけで時間がかかり、また全部を見るのと変わらなくなります。数字は3つまでに絞ります。選び方の目安は、「量」「遅れ」「直し」を1つずつです。

  • 量:その期間にこなした件数。急に減ったら、何か詰まっている合図です。
  • 遅れ:期限を過ぎた件数、または残っている件数。0でなければ、理由を聞きます。
  • 直し:差し戻した件数、あとから直した件数。増えていれば、手順か確かめる所を見直します。

数字を見たら、任された人と5分だけ話します。数字がいつもどおりなら「ありがとう」で終わり。いつもと違えば「何があった」と聞く。この短いやり取りが続くと、社長は全部を見なくても様子が分かり、任された人は困りごとを早めに相談できるようになります。

確かめる日を、予定表に先に入れる

確かめる日は、決めただけでは忙しい月に飛ばされます。社長の予定表に、任された人との10分を先に入れておきます。出張や来客と重なったときは、日をずらすのではなく、副社長や部長など代わりに見る人を決めておくと、仕組みが止まりません。

確かめる日を飛ばすと、任された人は「もう見なくていいのか」と受け取ります。反対に、短くても決まった日に見る習慣が続いていると、「見てもらえている」という安心が残ります。続けることそのものが、任された人へのいちばんの合図です。

数字のまとめは、人の手でやらない

見る数字を、任された人が毎週手で数えて表にするのでは、その人の仕事が増えるだけです。件数や遅れの数は、ふだんの記録から数えられることが多いので、AIや業務ツールに任せます。

たとえば、受注の記録がExcelにあるなら、その週の件数と期限を過ぎた件数を数えて、決まった曜日に1枚にまとめる仕組みを作れます。日報や連絡のメッセージから、困りごとの言葉をAIに拾わせて添える形もあります。まとめるのは道具、数字を見て話すのが人、と分けます。

例:週に1回届く1枚の中身

例として、1枚の上に3つの数字を大きく並べ、それぞれの横に先週の数字を小さく添えます。下には「いつもと違う所」を2〜3行だけ。たとえば「期限を過ぎた件数が2件(先週0件)。どちらも同じ取引先」。社長は上の数字と下の数行を見て、気になる所だけを聞けば済みます。

確かめる所の一部を、道具に先回りさせることもできます。請求書なら、金額が前の月と大きく違う取引先に印を付ける、支払期日が空欄のものを知らせる、といった形です。人が見る前に目印が付いていれば、確かめる時間はさらに短くなります。目印はあくまで手がかりで、最後に見るのは人です。

例:3つの数字だけ見る

ここからは、ある仕事を任せたときの流れを、例で通して見ます。会社と数字は説明のための例です。

例:経理の社員に請求の仕事を任せた社長

例として、従業員40人ほどの会社で、これまで社長が自分で出していた月末の請求書を、経理の社員に任せることにしました。毎月の請求書はおよそ60通です。

  1. 手順を書き出し、確かめる所を「金額」「送り先」「支払期日」の3つに決めた
  2. 確かめる日を「送る前日」と「翌月10日」の2回に決めた
  3. 見る数字を「出した請求書の数」「支払期日を過ぎても入金のない件数」「送ったあとに直した件数」の3つに決めた
  4. 数字は会計の記録から自動で数え、翌月10日に社長へ1枚で届く形にした
  5. 翌月10日に、社長と経理の社員で10分だけ数字を見て話す

最初の月、「送ったあとに直した件数」が4件ありました。話を聞くと、どれも取引先の担当の方が替わって、送り先が古いままだったものでした。そこで、確かめる所の「送り先」に「取引先から担当替わりの連絡が来ていないか」を足しました。翌月は0件になりました。

社長が見たのは、月に1回の1枚と、送る前日の3か所だけです。60通を全部見直していたころと比べると、社長の手元に残る作業はずっと少なくなります。経理の社員の方にとっても、自分で確かめる所がはっきりすれば、どこまでが自分の責任かで迷わずに済みます。こうした状態になれば、この仕組みはうまく回っています(ここまで、すべて説明のための例です)。

仕事が変われば、見る数字も変わる

同じ考え方でも、任せる仕事が違えば、確かめる所と見る数字は変わります。もう1つ、別の仕事で並べてみます。

例:仕事ごとの確かめる所と、見る3つの数字(説明のための例)
任せた仕事確かめる所量遅れ直し
月末の請求書金額・送り先・支払期日出した請求書の数期日を過ぎても入金のない件数送ったあとに直した件数
資材の発注数量・単価・納期出した発注の数納期に届かなかった件数数量を直した件数
お客さまへの見積もり単価・値引き・有効期限出した見積もりの数回答の期限を過ぎた件数出し直した件数

表を見ると、どの仕事でも「量・遅れ・直し」の形は同じで、中身だけが変わっているのが分かります。新しい仕事を任せるときは、この3列を埋めるところから始めると、確かめる仕組みを短い時間で作れます。

うまく回らないときの見直し方

数字を見ても話すことがない月が続くなら、見る数字が仕事に合っていない可能性があります。反対に、毎回いつもと違う数字が出るなら、確かめる所が足りないか、手順に無理があります。3か月ほど回したら、確かめる所と見る数字を、任された人と一緒に見直します。

見直しのときは、「この3か月で、確かめる所で見つかった間違いは何件あったか」も数えます。0件が続いている確かめる所は、任された人に任せきってよい所かもしれません。確かめる所を減らせたら、それは任せる仕組みが育った証拠です。社長の手元から、もう一歩離れられます。

いばらきAIにご相談いただいたら

AX推進顧問では、月2回の定例で社内の仕事を知り、AIに任せる仕事と取り組む順番を決めて進めます。社長の手元にある仕事を社員の方に任せたいというご相談なら、任せる仕事の確かめる所と見る数字を、定例の中で一緒に決めます。

見る数字を自動でまとめる道具が必要になったら、開発としてお作りします。話を聞いたエンジニアがそのまま作り、試作を見ながら形を決めます。アカウントは御社の名義で作り、説明のスライドと動画もお渡しします。

初回のご相談(無料・30分〜)はオンラインで行います。メールで、任せたい仕事と、いま困っていることを一言お送りください。

AX推進顧問について見る

まとめ:任せたい仕事の手順に、印を付けてみる

  • 手放せない理由が「様子が見えない」なら、確かめる仕組みで解ける
  • 確かめる所は、間違えると困る所だけ。多くて3〜4か所
  • 確かめる日と、見る数字3つ(量・遅れ・直し)を先に決める
  • 数字のまとめは道具に任せ、社長は数字を見て話す

まずは、任せたいと思っている仕事を1つ選び、手順を1行ずつ書き出して、「間違えたらどうなるか」を書き添えてみてください。印が付くのが3か所ほどなら、その仕事はもう任せられます。任せる仕事そのものの選び方は、次の記事もあわせてどうぞ。

社長の仕事を減らすには|手元の作業を人とAIに1つずつ渡す

よくある質問

確かめる所以外で間違いが起きたら、どうしますか。

まず、その間違いが「取引先に迷惑」「お金が合わない」「あとから直せない」のどれかに当たるかを見ます。当たるなら、確かめる所に足します。

当たらないなら、任された人に直してもらい、同じ間違いが続くようなら手順を見直します。確かめる所を増やしすぎると、また全部を見る形に戻るので、足すのは本当に困る所だけにします。

社員を監視しているように受け取られないか心配です。

見る数字を、任された人と一緒に決めると、受け取られ方が変わります。数字は人を評価するためではなく、困りごとに早く気づくためのものだと、最初に伝えておきます。

数字を見て話すときも、責めるのではなく「何があった」と聞く形にします。困ったときに相談しやすくなった、と感じてもらえれば、仕組みは続きます。

AIに数字をまとめさせて、間違いはありませんか。

間違えることがあります。そのため、元の記録と合計が合っているかを、最初の数か月は人が確かめます。

件数を数えるような決まった作業は、AIより業務ツールの計算に任せるほうが確実な場合もあります。AIは、日報の文から困りごとを拾うような、言葉を扱う所に使うのが向いています。

任せる仕事が多いと、見る数字も増えてしまいます。

仕事ごとに3つずつ見る必要はありません。いちばん大事な仕事から始め、回るようになったら次の仕事へ広げます。

仕事が増えたら、「遅れ」の数字だけを全部の仕事でまとめて見る形にすると、1枚に収まります。いつもと違う仕事だけ、詳しく見ます。

任せた社員が辞めたら、また社長に戻ってきませんか。

戻ってくる量は小さくできます。確かめる所の紙と手順の書き出しが残っていれば、次の人に渡す材料がそろっているためです。

次の人には、まず確かめる所の紙を渡し、最初の数か月は確かめる日を増やして見ます。仕組みが人ではなく紙と道具に残っていることが、任せる仕組みのいちばんの強みです。

無料相談

会社名と困りごとを、一言送るだけ

まずは30分、
話を聞かせてください。

時間
30分〜
相談料
無料
場所
オンライン

訪問をご希望の場合はご相談ください。

事前に書類をお送りいただければ、その書類で試作をお見せします。ふだん使っている表や紙の書式など

ご相談の流れ

  1. メールを送る会社名と困っていることを一言お送りください。
  2. 初回のご相談返信で日程を決め、オンラインでお話をうかがいます。
  3. ご提案・お見積もり取り組むことと金額を書面でお出しします。
  4. ご契約・開始ご納得いただけたら始めます。